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メトロポリスのマリアが元祖?女性アンドロイドのレアなMVをご紹介(オススメMV #104)

こんにちは、吉田です。
オススメMVを紹介する連載の104回目です。(連載のマガジンはこちら)

今回は、女性のアンドロイドがメインで、しかも製造工程をガッツリ表現しているレアなMVを紹介します。
アンドロイドと書きましたが、皆さんはアンドロイドやロボット、あるいはサイボーグの定義を知っていますか?
ロボットは人間の機能を再現した機械のことで、アンドロイドはロボットの中でも容姿が人間に近いものを言います。
サイボーグは全く違い、機能を増強あるいは補強するために機械を組み込んだ人間のことで、機械ではありません。
そして今回は女性のアンドロイド、つまり女性の人間を模したロボットがメインのMVですが、その中でも製造工程を詳細に表現している変わったMVを2つ紹介します。

では、まず最初のMVはこちら。
ベラ・ポーチの「Build a Bitch」です。どうぞ!

YouTubeのサムネイルからしてショッキングな画像ですが、MVの映像も生々しい表現が多いMVとなっています。
しかし、不思議と嫌悪感がなく、コミカルな雰囲気さえ漂わせ、サラッと観ることができるMVとして仕上がっています。

この「Build a Bitch」のMVの主演を務めるのが、楽曲をリリースしたアーティスト、ベラ・ポーチ(Bella Poarch)その人です。
実はこの「Build a Bitch」のMVでベラ・ポーチの存在を知り、ネットで検索して知っている程度ですが、USのアーティストのようです。
しかし、アーティストというよりも「SNSセレブ」として有名な方のようで、「SNSセレブ」というのはどんな方なのかピンときませんが、TikTokで世界3位のフォロワーを持っているというのは相当なお方のようです。

この「Build a Bitch」は、2021年5月にリリースされたベラ・ポーチのデビューシングルなのですが、CD等の物理媒体でのリリースはなく、ネット配信のみでのリリースというから今風ですね。
そして、楽曲と同時に発表されたのが、このMVとなっています。

さて、「Build a Bitch」のMVに話を移しましょう。
男性が店頭に並ぶ一見ぬいぐるみ屋さんっぽいお店は、実は好みの女性のアンドロイドを提供するお店という設定です。
地下に生産工場があるのでいわば製造直売で、かつ好みの女性のアンドロイドを作ってくれるのでパターンオーダーとでもいうのでしょうか。
キワどい内容のMVですが、リズミカルな楽曲のおかげもあって明るいMVとして仕上がっており、かつ最後は女性のアンドロイドが反乱を起こすストーリーのため気持ちよく観ることができます。
人間が突然変異というか群れや組織の中での異端者が革命を起こしていくのと同様、女性アンドロイドの中でベラ・ポーチ扮する主人公が他のアンドロイドとは違う行動を起こしますが、定石ともいえる展開のため新鮮味は無いものの安心して観れるMVになっています。

出演者の多くはベラ・ポーチのお仲間のSNSセレブの方々らしいのですが、特に女性アンドロイドの方々にはそれぞれのキャラ設定を際立たせてもよかったのでは?とも思いつつ、逆にこれぐらいあっさりした味付けだからこそ軽く観れるMVとしてイイ感じに仕上がっているともいえるため、その意味ではバランスが取れたMVとして仕上がっています。

話は逸れますが、女性アンドロイドではなく、女性のサイボーグを主人公にしたMVというのもあり、以前本連載で紹介したテイラー・スウィフトの名作MV「Bad Blood」もそのひとつです。
「Bad Blood」のほうは凝りに凝った設定で、それぞれの女性サイボーグのキャラが際立っていながらギリギリのところで抑えてあり、完成度はメチャクチャ高いMVとして仕上がっています。
ちなみに、「Bad Blood」の登場人物がなぜサイボーグとわかるかというと、瀕死の重傷を負ったテイラー・スウィフト扮する主人公を復活させて驚異的な能力を身に着けさせたことから、機械なのか生体工学なのかナノテクノロジーか何かによってサイボーグ化されたと推測しています。
※ご興味ある方は以前の連載をご覧ください⇒「テイラースウィフトとイギーアゼリアに見る、ギリギリセーフとギリギリアウトの違いとは?」

話が逸れてしまったので戻しましょう。
続いての女性アンドロイドのMVはコチラ。
ザ・ウィークエンドの「Save Your Tears (Remix)」です。

アンドロイドをテーマにしつつ、ごちゃごちゃせず最初から最後までサラッと観ることができる良作MVとしてまとまっています。
アニメのMVですが、暖色系の映像が中心となっており、メロディアスな楽曲とあわせて不思議な暖かさを感じるのは私だけでしょうか?

実はこのMVは以前に「リミックスMVって勝手に命名。」の回でチラッとだけ紹介しているのですが、その際は例として取り上げただけですが、今回はメインとしての登場となります。

この「Save Your Tears」はリミックス版なのですが、オリジナルの「Save Your Tears」は2020年にリリースされたザ・ウィークエンドの4thアルバム「After Hours」に収録され、同年にシングルカットされた楽曲で、USチャートで4位となるヒットとなっています。
アリアナ・グランデとコラボしたこのリミックス版「Save Your Tears」は翌2021年にリリースされ、オリジナルを超えるUSチャートでNo.1を獲得したのですが、私もオリジナル版よりアリアナ・グランデとコラボしたこのリミックス版のほうが断然好みです。

「Save Your Tears」のMVについても同様、オリジナルよりもアリアナ・グランデのこのリミックス版のほうがいい味出していて好みです。
荒野の中にあるガラス張りの建物から地下に降りていく映像の中で、急に不気味な女性の顔のドアップが映し出されます。
その顔こそ、主人公となる女性アンドロイドの頭部なのですが、その頭部が研究所かあるいは工場の中をベルトコンベアーに乗って移動しながら、手や足などのパーツの生産工程を映し出す...という流れです。
そして、ザ・ウィークエンド扮する(と言ってもアニメですが)研究所長がなぜか手動の操作でアンドロイドを組み立て、最後に眼球を装着すると、今まで不気味な顔だったアンドロイドが、アリアナ・グランデ扮する女性のアンドロイドとなって完成するのです。
オープニングとは逆に地下から地上に移動するエレベータに移動する映像をはさみ、最後にガラス張りの建物の中にザ・ウィークエンドの研究所長とアリアナ・グランデのアンドロイドが並んで立つところで終わります。
しかし、てっきり抱き合って終わると思いきや、なぜか等身大のリカちゃん人形のようにアンドロイドが大きな箱に入れられていている、という不思議な終わり方になっています。(どんな意味があるのか、不明です...)

同じアンドロイドをテーマにしながらも、ベラ・ポーチの「Build a Bitch」との違いは明白です。
「Build a Bitch」では男性の彼女にするために多数の女性アンドロイドが生産されていますが、「Save Your Tears」では研究所長ひとりのために1台(ひとり?)のアンドロイドが生産されています。
ちなみに、たくさんの足や指などのパーツはたくさん作った中の最高のパーツだけを厳選して組み立てるためではないかと想定されます。
また、「Build a Bitch」のアンドロイドは最初はおとなしいものの最後は攻撃的になりますが、「Save Your Tears」のアンドロイドはやさしいイメージで、これはアリアナ・グランデのボーカルが影響しているとも思われます。
どちらがいい/悪いという話ではなく、比べてみると違いがあり、その違いを把握して観るとまた更に楽しめるのでは?ということです。

またまた脱線しますが、女性のアンドロイドが映像というか動画で世に出たのは、フリッツ・ラング監督の映画「メトロポリス」が最初ではないかと思われます。
「メトロポリス」の中でマリアという女性が出てくるのですが、そのマリアを模したロボットを作るのが女性のアンドロイドとなります。
ちなみに、この連載でも取り上げたジョルジオ・モロダーが編集した「メトロポリス」もあるのですが、そちらは音楽も凝っていて、さながらMVのプレイリスト的な映画として仕上がっており、私のお気に入りの映画のひとつでもあります。(以前の連載のジョルジオ・モロダーの回はコチラ⇒「ジョルジオモロダー御大の登場だ!」
また、以前の連載でもメトロポリスを取り上げていますので、ご興味ある方はご覧ください。(コチラ⇒「マドンナのメッセージMVでは、サステナブルなExpress Yourselfが最高だ!」

脱線話が長くなってしまいましたが、今回の女性のアンドロイドが登場するMVはいかがでしたでしょうか?
違うテイストですので、ぜひ見比べて楽しんでいただければ幸いです。

ではまた次回に。

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