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「本を語る」100日100冊チャレンジ 第99日「生きるコツ」



❶[1BOOK]
「生きるコツ」
姜尚中 毎日新聞出版  2020年11月20日

❷[3POINT +1]
◎「はじめに」
人生にプロとアマの違いがあるだろうか?
プロであれば、その道の専門家として素人よりははるかに事情に精通し、道を極めているはずだ。では人生を極めることは可能だろうか?

①コロナ時代を生き抜く
☆手ごろな距離感のコミュニティ
身体を介し対面で行われるリアルなコミュニケーションによって成り立つコミュニティと、SNSを介してつながるリモートのコミュニティ。この両者を上手く交差させながら、手軽な距離感のリアルなコミュニティで人とのコミュニケーションを楽しみつつ、他方でそうした対面的な世界の外に広がる世界とリモートでつながっている。それぞれとつながることで、2つの世界のコミュニケーションを楽しむというライフスタイルこそ、コロナ禍を生きる、望ましい「新しい日常(ニュー・ノーマル)なのかもしれない。

②老いてなお興味津々
☆チャレンジは未知との遭遇〜思い切りの力
怖れよりは、吹っ切れた生き方をしたい。そんな願望が私の中にむくむくと頭をもたげ、悔いのない人生だありたいと思うようになったのである。
まだまだ、やりたいことはたくさんある。臆病な、引っ込み思案の私がそんな図太さのようなものを身につけるようになったのであるから、人生はわからない。いや、本人にもわからないからこそ、生きていることは面白いのかもしれない。自分も知らない自分に出会えるのであるから。

③軽井沢での日々、猫のいる暮らし
☆東京ー軽井沢、二拠点生活の心地よさ
東京から遠ざかりたい。かと言って「田舎暮らし」に徹することにどこか抵抗感もある。そんな複雑な思いが募っていた私にとって、千葉や埼玉のように首都圏に近いわけではなく、それでいて東京から遠く離れているわけでもない場所。それが、信州だったのである。
軽井沢は私の中にずっとモヤモヤしていた東京をめぐる葛藤を和らげてくれる場所だったのだ。

❸[1ACTION]
[実行すること=自分との約束]
二拠点生活も視野に入れて、今後の生活を考える。

[思いついたこと]
正直に言います。私は、姜尚中さんのファンです。この3年半の読書を中心とした生活の中で、姜尚中さんの本は、何度も読ませていただきました。また、以前からテレビのコメンテーターとして、淡々とした口調で、少し抑え気味の穏やかな発言に、惹かれていました。おそらく、自分にはないものをそこに見いだし、勝手に憧れているだけなのでしょうが。

自分が、自分が・・と前に出る人は、どこに行っても目立ちます。それくらい自己主張しないと、人に認められることもなく、「サイレント・マジョリティ」として、埋没してしまうのが現実です。そんな中で、ご本人も言うように「引っ込み思案」の典型のような著者が、流れの早い、マス・メディアの世界で、よく生き残れているな〜と思います。

[そして]
そんな姜尚中さんが、還暦を過ぎてから、運転免許を取ったり、小説を書いたり、嫌いだったゴルフを始めたりと、次々とチャレンジされているのです。私はよく冗談で、「60過ぎたら怖いものなし」と言っていますが、還暦という区切りによって、なぜか吹っ切れることは確かだと思います。人の目を気にする必要もだんだんとなくなり、オンラインでのつながりが広がっていくにつれ、行動の自由が制限されるのとは裏腹に、心の自由度は上がっていくばかりです。

この本は、2020年、コロナ禍の真っ只中に出版されています。「アフターコロナ」をどう生きるか、みんなが考え始めていた頃ですね。そんな中で「手ごろな距離感」を提唱されているのは、本当に「先見の明」ではないでしょうか。日本中のどこでも、インターネットされ繋がっていれば、どこに住んでもいい時代になりました。私もまた、ここにいなければならない理由がなくなり、これからの20年(くらいかな?)をどこで生きるのか、どうやって生きるのか、真剣に考えており、その一つの選択肢として「二拠点」もあると思います。

❹[1episode]
☆おわりに
私が妻と相談の上、首都圏の住み慣れた場所を引き払って長野県の軽井沢に移り住むようにしたのは、父が果たせなかった悠々自適の生活を実現したいと思っていたからだ。そこに至る直接のきっかけなどは本書の第5章をはじめ、随所で述べた通りである。悠々自適、高原の空を漂う浮き雲のような生活であれば、そもそも老いることを憂えることもなければ、歳を重ねることに衰えを感じることもないはずだ。
もちろん、実際にはいろいろな些事が積み重なって決して浮き雲みたいにはいかない。それでも、私は自分の人生の中で初めて「身の丈の豊かさ」によって叶えられる「平穏」な生活があることを発見したのである。
そして、高原に移ってから8年近く、コロナ禍で日本のみならず、世界が動揺する中、そうした生活がどんなに大切なことか、多くの人々が以前より身をもって気づきつつあるように思える。その意味では自惚れて言えば、私の選択は、時代を先取りしていたことになる。「コツ」が言うまでもなく「骨」に由来し、物事の芯の部分を指しているとすれば、私の体験は「生きるコツ」にかなっていたのであり、読者がそのことに気づいてくれれば、望外の幸せである。




#望月俊孝
#4C速読
#継続は力なり
#宝地図
#読書会

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