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【禅寺紹介その3】1年に3日間しか公開しない国宝。〜鎌倉円覚寺〜

おはようございます。くんくんです。実際に行った禅寺を紹介シリーズ第三段。今回は普段は非公開。神奈川県唯一の国宝建造物。一年のうち三日間しか見ることができません。それでも中には入れません。外から見るだけ。それが、国宝円覚寺舎利殿。


◆円覚寺とは

臨済宗円覚寺派の大本山であり、鎌倉五山第二位に列せられる。
とてもとてもとても由緒ある有名なお寺。観光名所でもある。

◆円覚寺舎利殿の文化財としての価値

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社寺建築には、

和様・・・・平安時代以降の日本式建築様式
禅宗様・・・鎌倉時代に禅宗導入とともに伝わった中国を模倣した建築様式
大仏様・・・平家が焼いた東大寺復興のために、中国から取り入れた建築様式

この3つがあります。

※奈良の法隆寺などは、上記よりもさらに古いので別扱いです。

密教系寺院は和様、禅宗寺院は禅宗様建築でしたが、
比較的すぐに、折衷様式 = つまり混ぜ混ぜになります。
ミックスジュースのようなイメージで大丈夫です。
オレンジ30%、りんご30%、ぶどう40%。みたいな。
さらに、
おなじオレンジでも産地により味が違うってことがあるように、同じことが建築でもあります。

 人・年代・地域・宗派により違いがある
ここが古建築の面白いところ

社寺建築を見る際は、この部分は禅宗様だな、ここは和様だなとか、何時代に建ったものだろうとかそういったところを見ながら考えるのがとても楽しい。

古建築は、現存するほとんどが、折衷様式(ミックスジュース型)なので、
逆の言い方をするとオレンジ100%とかりんご100%がほとんど残っていないのです。
つまり、禅宗様100%、大仏様100%というのは、数え切れるほどしかありません。当然、全て国宝指定。


ここで、純粋な様式を守った代表的な建築物を紹介します。

まず

和様の代表格は、平等院鳳凰堂です。10円玉での裏側ですね。

平安貴族が自分が極楽浄土に行きたがために建てたお寺。極楽浄土を現在の世界に表現したと言われています。建てられたのは1000年前。権力者が自分のために建てた建物は、権力を失うとともに建物も無くなってしまうことが歴史上多い。そんな中、この平等院が現存することに非常に価値があると思う。
おそらく、建物の美しさが時代や立場を越えてみんなに愛され続けてきたのだと思います。入場料高いけど納得して払います!!


つぎに、

大仏様の代表格は、東大寺南大門。入ってすぐにある大きい門です。

1181年、平氏によって東大寺と興福寺をはじめ現在の奈良市内の大半が焼き討ちされました。お寺が全部焼けた。その復興を命じられた重源さんというお坊さんが中国に渡って最新の建築様式を導入して建てられたものが南大門。
大仏様はその後、なぜか全国にあまり広まらず…。現存するは、この南大門と兵庫県の浄土寺浄土堂ぐらい。


最後に、

禅宗様の代表格が、こちらの円覚寺舎利殿なのでございます。

禅宗様は、鎌倉時代に栄西が臨済宗を伝えたのと同じごろに入ってきました。新しい宗派が伝わるということは、その教えだけでなく、当時の最先端の建築・医学・文化など様々なものが同時に入ってきました。まずは、中国様式の真似を徹底したと思われる貴重な遺構、それがこの円覚寺舎利殿。

円覚寺舎利殿は、その伝来当初の純粋な禅宗様をいまに伝える現存する最古の建築物です。たしか中学の社会の教科書にも載っている建物です。


◆鑑賞ポイント

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禅宗様建築特徴
・屋根の先端の強い軒先の反り、
・扇状に伸びる垂木の配置(上層部のみ)
・屋根の出を支える構造材を密に組んでいる(詰組という)
・柱が円柱で上部が細くなる(粽という)
・柱と柱を上部は台輪、中は貫で繋ぐ

他に、窓や扉や床など、細かい部分にも禅宗様の特徴がたくさんあります。

あとは、シンプルに、かっこいい!! めちゃくちゃかっこいい!!


◆舎利殿は1年に3日しかみれないレアなもの

円覚寺自体は、常に入れるのです。

が、

この舎利殿は、1年のうち3日しか見ることができません。
文化財を守るためにそうされているのだと思います。

2020年のスケジュール
日にち;2020.11/1(日)〜3(火)
時間;午前9時〜午後4時(最終日は3時半まで)


一度、ねらいを定めて訪れてみられてはいかがでしょうか?

ご一読いただきありがとうございました。

次回もおすすめ禅寺書きます。


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