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書いては消し、書いては消し

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かれこれ数日、書いては消し、書いては消し、、、を繰り返している。毎日、自分に何ができるのかと自問自答、時に友人と意見を交換したりしてはいるが、何から書き出してよいやら気持ちがまとまらない。最初は、Systemic Racism、Systemic Oppressionの話から書こうかと思ったのだが、「書いては消し」を繰り返しているうち、自分が知っていることを書き留めようと気が変わった。こうしてこれを打っている今、階下をプロテストに参加している人々がJustice!と声を上げながら歩いているし、空には警察か、はたまたメディアかのヘリコプターが旋回している。昨日はモーターサイクリストのデモで、今はバイク(自転車)のデモと、スタイルも様々で、色々な人々が色々な形で運動をささえ、声を上げている。

2003年だったか。ワタシはJames McBrideのバンドの全米ツアーに参加することになった。ジェームスは、ポーランド系移民の白人のお母さんとアメリカ人で黒人のお父さんを持つ黒人のミュージシャン、そして作家だ。彼の書いた本の中でも、恐らく彼のお母さんの伝記のThe Color of Water(邦題:母の色は水の色)が一番知られているかと思う。この時のツアーは、彼の著書と当時リリースされたばかりのジャズアルバムのプロモーションを兼ねて、ライブハウスやコンサート会場だけでなく、日中は本屋さんでのインストア・ライブや、沢山の高校、大学を回った。黒人のアーティスト、そして作家だということから、黒人が経営する、黒人の歴史や文化に重きをおいた本屋さんや、黒人の子供たちだけが通う学校もいくつか訪れる機会があった。

そのうちの一つの学校でのこと。我々が学校に到着し、一通り関係者に挨拶をしていた時、校長先生から「念のため」という前置き付きで、地元のKKKから爆弾予告が入っている旨を極めてあっさりと伝えられた。先生の説明では、KKKとしては、黒人学校にゲストアーティストがやってきてコンサートを開くなど以ての外ということらしかった。ワタシは素直に

ヒーマイガーΣ(゚д゚lll)

と思ったし、それが思いき入り顔に出ていたに違いない。バンドのメンバーとローディーも、自分よりはビクついていなかったとはいえ、やはり驚いた顔をしていた。けれど先生たちは口々に、こんなことはしょっ中ですとおっしゃっていたし、明らかに「慣れっこ」で見事に落ち着いたものだった。コンサート自体は、とても良いものだった。生徒たちもノリノリ、爆弾の爆発騒ぎもなかった。終わってツアーバスに戻ったあと、何も食べる気にならないぐらい疲れて爆睡したのを覚えている。

ワタシは人の親ではないから想像でしかモノを語れないが、もし自分に子供がいて、その子供が通う学校に頻繁に脅しのメールや爆弾予告などがあったなら、子供を送り出すことに都度不安を感じ、無事に帰ってきたら胸をなでおろし、それを毎日繰り返すだろう。しかしながら、このワタシの垣間見た部分というのは、黒人の人たちが日々味わう恐怖のほんの一部、たった一つの例にすぎない。最近では、家にいたら警官が令状なしに突然入ってきて、彼らの判断ミスで家主の黒人が殺されるという類の事件が一件どころか、続けて数件起きた。本来なら一番安心していられるべき家で、誤って殺されてしまうような現実から、我々は目を背けてはいけない。気の毒な話であるとか、警察官みんなが悪い人じゃないからなどと片付けられない次元の問題だ。況してや、今回のジョージ・フロイドのリンチ事件も、職務質問中(というより尋問中)に丸腰、無抵抗の相手が息ができないと言っているにも関わらず、首を踏みつけ続け、息の根を止めてまうというのは、一警官の持つ権限を逸脱するはおろか、人権無視も甚だしい。

ざっくり書きなぐった印象が拭えないが(すまん!)、要するに、この人種(人権)問題は、ワタシのいる社会で起こっていることであり、その社会の一員として、Black Lives Matterをサポートするのは必然として受け止めていると、一先ず書いておきたかったのである。

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