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ロックダウンが続くと、ビール好きにはたまらなく悲しいことが起こるかもしれない。

*こちらの記事は2020年4月16日に執筆いたしました。


先日、知人のツイッターで「自宅近くのパブがビールのをお持ち帰りをしている」という、つぶやきを見た。パブとは談笑しながらその場で酒を酌み交わす場所、その場で飲めないのに持ち帰ってもなあ、と思った。
イギリスでは3月20日に首相であるボリス・ジョンソンが「パブ、レストラン、ジム、カフェの営業を停止」というオーダーを発令した。これにより、レストランや一部のカフェ、ガストロパブ(クオリティの高い食事を出すパブ)などは営業をテイク・アウェイやデリバリーに切り替えたが、ドリンクやスナックの提供がメインだったパブは閉店を余儀なくされている。
しかし、先日、ビール好きにはたまらなく悲しいお知らせが入ってきた。英「インディペンダント」紙によると、このままロックダウンが続けば、パブの閉店により、5千万パイント(1パイント=約568ml)ものビールが無駄になるというのだ。The Campaign for Real Ale (Camra、リアル・エール・キャンペーン)によると、全国およそ3万9千店のパブが平均15バレル(約2455リットル)のビール樽をストックしていたと換算した場合、このような数字になるということだ。Camraの最高責任者、トム・スタイナー氏は、ビールには醸造日を元に、美味しく頂ける期間が設けられているが、それは大抵の場合、デリバリーから3か月、長くても4か月以内。もしこのままロックダウンが夏まで続けば、現在パブに保管されているビールのほとんどは廃棄するしかない。素晴らしい才能と労力によって美味しく作られたビールが捨てられてしまうのは、本当に悲しいことだと語る。

そこで、政府は、賞味期限切れの売れ残ったアルコールに関しては、酒税の払い戻しを申請することができると発表。また、新しいビール樽を搬入するなど、再オープンの準備のために、パブ側に十分な告知をする、と述べた。しかし、問題はビールだけではない。閉店中にも発生している家賃がある。再オープンどころか、このまま家賃が払えずに永久閉店となってしまうパブも出てくるかもしれない。前述のパブがお持ち帰りビールを提供するのも苦肉の策だろう。

「パブ、pub」という単語の由来は「public house」(大衆・公共の家)の省略、つまり、イギリスにおいてパブは、その地域の人達にとってコミュニティの中心となる大事な場所。もし地元のパブがなくなれば、そこに住む人たちにとって、公共の場をなくすことにもなりかねない。

ロックダウンが解けて、たくさんの人で賑わうパブで、家族や仲のよい友人たちとお酒を楽しめる日が一日でも早く訪れてほしい。

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