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絶対にがっかりさせない、フレーミング・リップスのライブはアディクティブ。スペクタクル満載のエンターテイメントに今回も忘れられない夜となった。


恐らく、フレーミング・リップスのロンドンショーは、ここ10年程、皆勤賞だと思う。とは言え、今回のAmerican Head ツアーは、コロナ前のリスケ・ギグ。ということは、私は少なくとも3年はリップスを観ていないということになるのか。

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今回のライブにマイケルはいなかった(泣)。



会場となったケンティッシュ・タウン・フォーラムは、小さすぎず、大きすぎずで、ちょうどよい大きさ。自宅から車で15分程なので、今回もささっと運転して会場へ。

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サポートアクトの演奏が終わると、スタッフがリップスの為のセッティングをし始めるのだが、楽器や音響だけでなく、例の舞台演出の準備もしないといけないので、ローディーを含め、ステージ上には約8~10人ほどのスタッフが忙しく動き回っている。ステージには既に2台のドラムセットと2台のキーボードが設置され、両端には強大な瓢箪型のオブジェが。インフレータブルの透明のバルーンボールがテストされているし、何やらピンク色のアレも。リップスのギグって、もうこの時点で(メンバーもまだステージに立っていないのに)、今回の演出がどんなものになるのか想像してしまい、顔がニヤけてくる。


そろそろ開演時間、という頃、まだ客電も落ちていないのに、ウェイン登場。これは珍しくない。オーディエンスに軽く挨拶をしているうちに、SEが止まり、残りのメンバーもステージへ。ここでやっと会場の電気が落ちる。ちょっと拍子抜けした登場の仕方だった。

「1975年のチケットをまだ持っていてくれてありがとう」とウェインが言うと会場は大爆笑。その後すぐにバブルに入り、”Silver Trembling Hands”で幕を開けた。予習の為に、事前にセットリストをチェックして一応プレイリストなども作っておいたのだが、今回のUKツアーでは毎回セットリストが違う!!大まかな流れは同じだが、ところどころで曲順、もしくは演奏する曲も微妙に違ってる。なんせ曲の量が半端なく多いので、自分的にある程度予想を立てて挑んだ。

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ただ、絶対に大泣きしてしまう”Race for the Prize”はアンコールの最後というのが分かっていたので安心。しかし、何故か2曲目の”Do You Realize??”で涙が!どうした私!?まだ始まったばかりだぞ。

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続いて巨大ピンクのロボットが段々と膨らみ立ち上がってくると、皆もう次の曲が何か分かってる。Yoshimi は、皆が大好きな曲。ウェインはロボットの足の間に立ち支えながら歌う。あまりにも巨大なため、完全に膨らむのに1ヴァーズ分はかかるのだ。間奏に、ウェインがおもむろに持ち出したのは紙鉄砲。カラフルな紙のストリングが勢いよく筒状のバズーカから発射されると、オーディエンスは歓喜に包まれた。


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『American Head』の収録曲を生で聴くのは初めてだった今回のライブ。リップスの場合、ライブでの演奏が、レコードのそれとはまったく違うもののように聴こえるのは珍しくないので(どちらが良いとかではなく)、この2020年にリリースされた(新)アルバムを割と聴き込んで今回のライブに挑んだ。”Mother I've Taken LSD”は、ライブで聴くと、懐古的な歌詞がバックのスクリーンに映し出されるからか(今回のライブではほとんどの演奏曲で歌詞表示が演出の一つになっており、大切な役割を果たした)、よりリレイタブルに聞こえる。また、アンコールでプレイした”Assassins of Youth”の美しいこと。スティーヴのファルセットにウェインのコーラスが重なって、よりエモーショナルに感じた。

しかし、今回のライブで私がその演奏の構成に嗟嘆の声をあげたのは、『The Terror』(2013年)収録の”Always There, In Our Hearts”だった。2013年のロンドン、ランドハウスのギグでも観ているはずなのだが、今回はよりウェインの声がスプーキーで、生の声と打ち込みの声が重なり、その上ギターのエッジが効いているものだがら、ダークかつヘビーにサウンドが会場内に鳴り響き、圧倒的な存在感を与えた。

そしてウェインはおもむろに、ロボット・バードを取り出す。パタパタと音を立て羽を上下させて飛ぶ、あのおもちゃだ。オーディエンスに向けて飛ばすもあまり成功とはいえない出来(笑)。落下した鳥を観客が飛ばしなおすも、飛ぶ方向が予測できないものだから、皆頭上を注意して見守る。そんなこんなで始まったのが、”My Cosmic Autumn Rebellion”。

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いつのもリップスのギグと違ったのは、ゲストヴォーカルの登場。カナダ出身の14歳、Nell Smithだ。ウェインからマイクを渡されると、ロックダウン中に一緒にレコーディングしたという、Nick Cave And The Bad Seedsのカバー”Red Right Hand”を披露した。発達中のヴォイスで演奏された名曲は、私的には少々学芸会パフォーマンスのノリが否めなかった。とは言えまだ14歳。今後の成長を期待したい。

また、なにやら、観客の一人、エイミーが誕生日だったらしく、しかも今日は彼女の62回目(!)のリップスのギグということもあり、ウェインは「彼女が120歳になったとき、曾孫から、今まで一番印象に残っている誕生日は?と訊かれたら、この日だったと答えられるように、スペシャルな日にしてあげたい」と述べて全員でバースデー・ソングを合唱。間違いなく最高のバースデーになったことだろう。

本編終了後、メンバーは一度、ステージから去ったものの3分ほどで復帰。アンコールでは、4曲を披露した。ウェインが「F#ck Yeah!!」とオーディエンスに呼び掛けると「London!!」とのレスポンスが。「F#ck Yeah!!」「London!!」「F#ck Yeah!!」「London!!」と繰り返すと、あの’FUCK YEAH LONDON’バルーンが登場。観客の興奮も一気に高まる。そしてみんなが待っていた”Race for the Prize”へ。紙吹雪でステージ見えないんだけど、もう嬉しくてしょうがない。

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LEDライト、レーザー、コンフェティ、発行ライト、ティッカーテープ・キャノン。予想も期待もしていたけど、そんなレベルではなかった!



Theirs is to win
If it kills them
They're just humans
With wives and children

ステージに映し出されたリリックス。20年以上たった曲が、パンデミックを経験した私たちにとって、現在を象徴するような内容になっていることに、皮肉を感じつつも、胸を揺さぶられるメッセージ。もう言うまでもなく、号泣。ありがとう、ウェイン。ありがとう、リップス。またロンドンに帰ってきてね。

あのメロディを頭にしっかり焼きつけて、会場を後にした。





BBC Radio2のDJ、ジョー・ワイリーも来ていたもよう。

リバプールのショーにはエコバニもいた!?


こちらは、公式ファンページ。私のインスタポストも再投稿してくれました。

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このTシャツを買わなかったことを後悔しているんだけど、一体どこに着て行く!?!?



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