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「他人」ではない。「母」だから苦しいんだ。いまなお「母」の記憶に縛られる

「私の娘なのになんでできないの」

実の母から繰り返し言われた呪詛。

私は算数が苦手だった。小学校で課された計算ドリルは大っ嫌いだった。

そのドリルやテストがバツ印ばかりで返却されると母は私を嘲った。

バツ印も嫌だったけれどそれ以上に嫌だったのはその母の態度だった。

得意だった国語や社会科でいくら頑張っても母の眉間にはしわが寄る。

「なんで算数を頑張らないの。なんで私の娘なのにそんなにできないの。私はやらなくてもできたのに。」

宿題の計算ドリルに挑もうとしてもできなかった時の母の態度が怖くて、ただ怖くて1ページもできなかった。

そして算数ができないループにはまっていった。

中学に進学後は算数とは縁が切れた。数学の登場だ。

幸いにも数学の教師にも恵まれ再スタートがきれた。そして今は無事、理工系の高校、大学を卒業した。

だけど、今でもなお続く実の母からの干渉そしてふとしたきっかけで思い出される侮蔑の言葉。

私自身に内在するこどもの部分はまだ母に怯えている。

忘れられたら楽になるであろう母との記憶。

他人だからではない「母」だからこんなにも苦しい。

この「母」の呪縛は私が生きている限り続くだろう。

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