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保育園ってもうプール入らないの!?②

こんにちは!こんばんは!おはようございます!!
 最近保育園の先生に向けた研修を担当することがチョコチョコあるのですが…。そこで話題になることが「夏の遊び問題」。端的に言うと暑すぎるので夏場全く外で遊べない、言うのです。「じゃぁ水遊びすらええやん」ということになりますが、僕が住む東京都内でも「暑さが危険なので園や区市の判断で水遊びも含めて全廃!」という保育園も多々出現。。
 ほほぉ・・・なるほど。しかしその安全対策は本当に子どものためになるのですかしら…という疑問が浮かんだので、暑さと水遊びの関係性を僕なりに検証してみることにしました。(全3回)

前回のお話

では、今回はなぜプールで熱中症になるんだろうを考えてみました。


プールで熱中症が起こる条件を考察

熱中症保険安全マニュアルより

“図3-10はプールサイドで測定した暑さ指数とプールの水の温度の関係です。学校等では、プールサイドはコンクリートのところが多く、また日よけがないので、炎天下では高温となります。図3-11は高校水泳部の練習時の脱水量と飲水量・発汗量です。水温の上昇とともに発汗量と脱水量が増加していることがわかります(対象の高校は特別の許可で飲食をしています)。 水泳プールでは飲食が禁止となっていることがあり、水分補給が出来ません。また、屋外プールには日よけがないことが多く、直射日光による輻射が大きく、加えて、裸体であるため輻射熱を遮ることが出来ません。”

熱中症環境保健マニュアル2022

ここから読みけるのは…
・プールがコンクリートで「釜茹で」状態に熱せられている
・プールサイドが日向なので熱を全面的に吸収してしまう+休めない
・水温が上がると脱水量が増す
・脱水するのにルールで飲食禁止があったりする(脱水が加速する)

水が熱せられる環境で水分補給ができず、脱水になる運動量
この条件が重なると水にいるのに熱中症にかかる…という図式ですが、これはこれで納得できますよね。

水温との関係性に注目

 ここでは水温の関係性が示唆されています。

”水温が中性水温(33℃~34℃)より高い場合は、水中でじっとしていても体温が上がるため、体温を下げる工夫をしましょう。体温を下げるには、プール外の風通しのよい日陰で休憩する、シャワーを浴びる、風に当たる等が有効です。中性水温以下であれば、水が体を冷却してくれますので、水中運動は陸上運動より体温は上がりにくいです。(中性水温:水中で安静状態のヒトの体温が上がりも下がりもしない水温)”

独立行政法人日本スポーツ振興センター

ここから読み解けるヒントとしては…
水温 23℃(文科省推奨)< 適正水温 <32℃(死亡事故発生水温)をコントロールすることで熱中症を抑制できるのではないか、という視点です。

体温が移動する物理現象に着目してみる。

人間の体温は物理的に4つの経路から熱が行き来しているといいます。
伝導:直接的な接触によって。
対流:風や流水によって
放射(輻射):赤外線放射によって
気化:水分の蒸発により

 熱エネルギーはこれらのコンセプトで高い方から低い方へ移動する物理現象があります。つまり、熱エネルギーの移動をコンセプトに、熱を溜まりにくい状況を創りせば熱がこもりにくい=熱中症になりにくい環境を創れるのではないでしょうか。

 伝導とえば水に触れていること。対流と言えば、そこに風が起きていること、或いは水が動いていること。気化は体が濡れている状態でいること。意外と簡単にその状況は作れそうです。
 さらに、先ほどのスポーツ振興センターの記事には"中性水温以下であれば、水が体を冷却してくれますので、水中運動は陸上運動より体温は上がりにくい"と記載されています。4つの物理経路に登場する水の水温を中性水温以下に設定することができれば、なお体内に熱はたまりにくくなるわけです。

 なんとなく解決へのヒントが見えてきた気がしませんか?
次回は、このあたりを考察して僕が思うWBGT28~31℃環境下でどうやればプールを楽しめるのか、についての考察をお届けします。

#保育園 #プール #安全対策 #教育 #WBGT #熱中症

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