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富井副部長にプランチャを(チリ)|酒と肴 その三十

思春期に『美味しんぼ』を愛読していたのが原因で、スーツは黒が基本ですし、あるビールに対して距離を置いてきました。いわゆる山岡士郎の呪いです。

酒の味も分からぬ小学生男子。飲み物は水道水と牛乳、ファンタが全てだった癖に、その後30年以上も思い込み続けるなんて恐ろしい子!
やがて順調に中年になり、そのビールを飲む機会も多くありましたが、先入観に囚われ正確な味の判断ができません。どうにもあの頃の記憶は書き換えが難しくて厄介です。

さらに「こだわり=格好いい」という勘違いから「ビール? ●●はダメだね、○○じゃなきゃ」なんて、偏見に満ちた富井副部長的発言も重ねてきました。ビール党を名乗る人間としては恥じ入るばかりです。

そこでこれまでの行いを反省し、新たな扉を開くため、最近は国内・国外問わず喉越しスッキリ、キレ味爽快なビールを中心に頂いています。

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今年は梅雨入り前から暑い日が多いので、夏本番に向けてチリコンカーンとコロナエキストラで予行演習を開催しました。

スパイスを効かせ、レッドホットに仕上げたチリ。パクチー、クリームチーズと合わされば、自ずと体がスッキリ味のビールを求めます。
そこにキン冷えしたコロナを流し込むと、気分はもう地下強制労働施設。ではなくメキシコ、心の中でルチャドールがロープワークを始めました。きっとビール差別をしてきた私を戒めるため、プランチャ(フライング・ボディプレス)をキメてくれるのでしょう。

長期予報ではこの夏、気温も降水量も平年並みか高くなる見込みです。昨年の最高気温は静岡県浜松市で41.1度でした。蒸し暑い梅雨、そして猛暑の盛夏。つまりはビールがますます美味しくなるということ。

こだわりを持つのは楽しいものですが、偏見は世界を狭める危険性があります。『美味しんぼ』で槍玉にあがったあのビールは、『賭博破戒録カイジ』ではうますぎて「犯罪的だ・・・・・・・・!」とまで絶賛されていましたし。

つまり、私が言いたいのは四の五の言わず

「男は黙ってサッポロビール」

ではなく、

「みんなちがって、みんないい」

ということです。

Don't think! Feel.  DD! Viva Cerveza!

メニューと材料
・チリ(合い挽き肉、ミックスビーンズ、玉ねぎ、人参、クリームチーズ、チリ&ガーリック(スパイス)、パクチー)

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