飲酒学の担い手として|日々の雑記#55
酒呑み。呑む理由と言い訳を模索する日々。 ビール党 、日本酒派、泡盛好きのよろず酒類承り。表面的な知識に基づく実のない問わず語り、そこはかとなく下品。 豆と信州食材への愛、それはアルコール中年。(豆千:プロフィールより)
人生の大半を「飲酒学」に捧げてきました。
先日迎えた四十数回目の誕生日。気づけば飲酒学者としてのキャリアはゆうに20年を超え、ようやくこの学問の面白さが分かってきたところです。なお、主な活動は以下の通り。一般的な学術研究と何ら変わりません。
【現地調査】(Soto-nomi):店舗、屋外での飲酒および飲酒者の観察
【臨床試験】(Ie-nomi):自宅での飲酒が与える心身と家計への効果確認
【研究開発】(Oryori):対象(酒)の特性を引き出す化合物(肴)の研究
【論文作成】(note):飲酒文化の発展を目的とした研究論文の執筆、発表
参考に、トップの画像は先日行った臨床試験の様子です。
「誕生日、自分へのプレゼントとして多種多様なビールを投与」したところ、脳内麻薬が分泌され多幸感に溢れる結果になりました。ですが、二日酔いを抑制するまでには至らず、お腹と懐具合に支障を与えることが判明。副次的効果としては台湾マンゴービールは「リピあり」と言うことです。
なお、これらは公的な研究ではなく、あくまで自主的な活動のため、予算はつきません。副業で会社員をしていますので、そちらの報酬から持ち出しで取り組んでいるのが現状です。
そして日々研究に勤しんでも、ただお酒を呑んで、酔っ払っているだけと思われてしまうのが飲酒学の辛いところ。没頭した翌日、頭痛などの症状が出ても自業自得とされるあたり、「異端の学問」とされる所以です。
飲酒学の原点となるお酒は、紀元前4,000年から存在すると言われています。日本ですと縄文時代の頃。きっと私のご先祖様も研究熱心で、竪穴式住居の天井が回転する、不思議な現象を体験していたことでしょう。場合によっては、地球の自転を証明していたかもしれません。話が逸れましたが、それぐらい歴史のある学問だとお伝えしたいのです。
加えてこの学問の興味深いところは、その発展性です。
飲酒に連なる領域は理学から哲学まで幅広く、この辺りは新潟大学日本酒学センターの提唱する「日本酒学(Sakelogy)」の考え方と共通するところがあります。
「理学」や「哲学」なんて言葉は敷居が高そうですが、言うなればお酒にまつわる蘊蓄は理学的であり、飲み屋での独り言は哲学的なのです。
つまり、これら酔っ払いから生まれる現象を、様々な視点と手法、つまりは社会学的アプローチで捉えてツマミにすることが飲酒学だと言えるでしょう。
さて今回の論文はここで、一区切り。
週末ですので、そろそろ次の「研究開発」と「臨床試験」に向けた準備を始めなければなりません。研究室の冷蔵庫にはビールと、昨日のカレーが保管されていはず。グラタンにリメイクして、飲酒と家計の両立を証明するのも興味深いですね。
今夜の研究も長くなりそうです。
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