梦@えだ豆

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斑鳩兄弟のピクニック

恐ろしい夢を見た。 兄さんに羽が生えて、何処かへ羽ばたいてしまう夢を。 昔から三角は自由人だった。 だからなのか、本当に有りそうなことで起きたときの汗が尋常じゃない程で。 「シャワー浴びよう....」 隣でスヤスヤと気持ち良さそうな寝息をたてる相手を見て、思わず笑みが溢れた。 起こさないように注意をしながらベッドから降りる。 “んぅ....”と声が背後から聞こえればしまった、という気持ちと共に“どうしたの....?”なんてふわふわとした声が聞こえた。 「おはよう兄さん」

    • 瑠璃川幸生誕祭2019

      「おい幸!」 「何、ぽんこつ てか時間考えてよ今何時だと思ってんの?」 201号室に元気な声が響く。 時刻は12時を丁度過ぎたあたりで、幸は寝る準備に取りかかっていた。 なぜこんな時間まで起きていたのか、 理由は公演衣装に使った布を整理していたところ、気が付いたらトートバッグを作り終わっていたからだ。 話は変わるが、日付が変わった7月8日。 この日は何を隠そう、瑠璃川幸の誕生日なのだ。 「あ、いや....」 「気持ち悪いんだけど、 さっさと言って」 “誕生日おめで

      • GFの平和な1日

        テストが終わった後の自由時間。 エマが纏っている空気がこの上なく暗かった。 「どうしたエマ」 「レイ....」 そう言いかけてはエマは顔を上げた。 今にも泣き出しそうな顔にレイは少し驚いた。 訂正。泣き出した。 「うわぁぁん、レイどうしよう」 だっと勢いに任せて抱き付いてきたエマを受け止める。 エマの勢いがよすぎて少し後ろによろけた。 背中を軽く叩き落ち着かせる。 「何があった。とりあえず落ち着け」 うん、と小さく頷き深呼吸をする。 呼吸が落ち着いてきた頃に、レ

        • 天馬と幸ちゃんが買い物に行くだけのお話

          これは、ある晴れた日の出来事だ。 珍しく仕事がOFFなのか、それとも午後からなのか分からないが、穏やかな陽気の中、皇天馬はうたた寝をしていた。 手には新しい映画の台本。 台詞の練習をしていたのだろう。 誰も居ない談話室には皇の寝息だけが静かに響いていた。 その時、男性としては少し高い声が遠くから聞こえてきた。 「ポンコツ役者、買い物付き合って」 声の主は瑠璃川幸。 皇とは同じ夏組の劇団員だ。 瑠璃川の声で起こされた皇は、あからさまに不機嫌そうな表情を浮かべる。 「なん

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