瑠璃川幸生誕祭2019

「おい幸!」

「何、ぽんこつ
てか時間考えてよ今何時だと思ってんの?」

201号室に元気な声が響く。
時刻は12時を丁度過ぎたあたりで、幸は寝る準備に取りかかっていた。
なぜこんな時間まで起きていたのか、
理由は公演衣装に使った布を整理していたところ、気が付いたらトートバッグを作り終わっていたからだ。

話は変わるが、日付が変わった7月8日。
この日は何を隠そう、瑠璃川幸の誕生日なのだ。

「あ、いや....」

「気持ち悪いんだけど、
さっさと言って」

“誕生日おめでとう”
その台詞がなかなか出てこない天馬。
幸はそんな天馬のことを眉をひそめ、ジト目で見ていた。
意を決したように天馬の口が動いた。
それと同時に部屋の扉が勢いよく開かれる。

「幸チャン!誕生日おめでとうッス!」

「え?は?誕生日?」

突然の太一の登場。
唐突の祝いの言葉。
謎に悔しがる天馬。

「え?今日、幸チャンの誕生日ッスよね?
7月8日」

情報が足りなすぎて混乱に陥る。
しかし、太一の焦ったような言葉で色々な事が繋がった。

「くそっ!オレが先に言おうと思ったのに....!」

「え?てことは、俺っち一番?
やったー!」

「プレゼントだったら負けねぇからな!」

「うぐっ、俺っちだってお金無いけど一生懸命選んだから負けないッス!」

そんな言い争いをし始める二人をみて思わず吹き出してしまう幸。

「あはは!流石ぽんこつとバカ犬」

「おい!」

「ひ、酷いっす~」

「....でも、ありがと」

心から嬉しそうな笑顔を向けられ、
素直にお礼を言われ、なにも返すことの出来なくなってしまった二人。

「おい、お前ら!
今何時だと思ってんだ!
七尾もさっさと部屋に戻れ」

「わぁ!左京にぃ....」

「げ、左京さん....」

「出たよ、銭ゲバヤクザ」

こんな3人が左京に説教されるお話はまたどこかで....。


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