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⑫-3『事件現場清掃人 生と死を看取る者』

文献情報3/3です!
今回が最終まとめになります!



◆P97 片付けられない女子のゴミ部屋

音楽にかかわる仕事をしているか細い30代の女性。
部屋中に大量のごみ袋、大量の衣類が乱雑に放置され、足の踏み場がないほどに積み重なっていた。

夜の仕事をしている女性の部屋がごみ屋敷になっていることはよくあるというが、その女性は会社勤めをしていた。

 下着を数日穿いてはそのまま脱ぎ捨て、また新品の下着を購入する。
におうのは嫌だからゴミはまとめる。でもどうしてもごみ収集の時間に間に合わせられない。
そんな毎日を送っているうちに、部屋にはどんどん衣類とゴミが溜まっていく。
いよいよ限界に達し、依頼をしてきたのだという。

それ以来、女性はたびたび連絡をしてくれるようになったという。
まるで脱皮を繰り返すように、今も部屋が限界に達するたびに、清掃と引っ越しを繰り返しているのだとか。

 

◆ゴミ屋敷から“発掘”されるもの

特殊清掃の現場では、部屋がごみや物であふれている場合が少なくない。
その場合、特殊清掃や遺品整理に加え、大量の廃棄物の処理を行うことになる。
欠かせないのは、玄関やキッチン、浴室を先に片付けること。
まずはごみを置く場所を確保してから、人の背丈ほどに積み上げられた残置物をスコップで“掘って”いく。

掘ってはゴミ袋にいれ、置き場がなくなったらトラックの荷台に運んでを何度も繰り返し、最終的には2トントラック10台分の量になることもある。

ゴミの山を掘っていると、思わぬものが出てくることがあるという。

ある現場では、尋常でない量の抗うつ剤が出てきた。

また、銃器が出てきた現場も二度経験したという。
一度は、狩猟免許を持っている個人の部屋の金庫。
もうひとつは、大量のごみの中から。まさか本物とは思わなかったそうだが、銃口を見てみると、モデルガンならあるはずの銃口をふさぐ板がなかったらしい。
慌てて警察に連絡すると、結果その拳銃は本物で、著者の指紋しか出てこなかったために事情聴取を受けることになったという。

またある現場では、ごみの山から遺体が出てきたという。
依頼内容は、「住人が夜逃げしたから残置物を処分してほしい」とのことだった。
部屋はまさにごみ屋敷、トイレの中にさえゴミがあふれ、ドアが閉まらないほどだった。
片付けをすすめ、あとは押し入れの中を残すのみに。
そのふすまをあけたとき、ミイラ化した遺体があったのだ。
「夜逃げした主人が見つかりました。押し入れの中で」と、依頼主に電話したのだという。


◆P104 ペットに看取られる

ごみ屋敷からは、ペットの死骸もよく出てくる。
とくに高齢者の孤独死の現場にペットはつきもの。

 

◆P107 精神疾患と自殺

ある不動産会社からの依頼。
独り身の中年男性が自殺をし、死後1週間以上たってから発見されたということだった。

その家ではもともと父子が暮らしており、社会生活を営むことができない息子の面倒を父親がみていた。
しかし一年ほど前に父親が他界。息子はしばしば家賃を滞納することがあったよう。

 家の前を通った通行人が、首を吊ってぶら下がっている息子の姿を窓越しに見つけ、警察に通報し、死亡が発覚した。

著者は見積もりのために、現場を訪れた。
部屋は汚れていなかったが、遺体の腐敗臭が鼻についた。

まず見つけたのは、鴨居から垂れ下がった紐。
真下の床に滴り落ちた体液と脂、そして糞尿が染みついていた。
紐が垂れていたのは、遺体を搬送する際、警察が輪の部分を切ったためと思われた。

キッチンは調理道具がしっかりそろっているものの、しばらく調理をした形跡はなかった。

2階には、二次元のアダルトキャラクターのグッズがぎっしり。
パソコンゲーム、アニメDVD,少女キャラのフィギュア、雑誌……。

 靴箱の上にはレポート用紙。何気なくめくると、つたない文字で恨みの文章が。
働けないために生活が苦しいこと、親戚にお金を無心するも、冷たくあしらわれてしまったこと。
親戚への恨み言が4,5枚にわたり書かれていた。

 大家さんが言うには、その親戚は「私たちには関係ない」の一点張りで、話をしようにもできなかったという。
親戚から遺品を放棄するといわれない限りは処分しようにできないため、特殊清掃の費用は大家が負担、残置物はすべて1点ずつ写真を撮り、別の場所へ移すことに。
のちに、親戚から一筆貰って解決したそう。

 

◆P115 トイレの中の即身仏

 
故人は30代の女性、知的障害を患っている。
父親に先立たれ、その後母親も死亡。
故人は怖くなって家を飛びだし、警察に捕まる。
悪いことは何もしていなかったため、家に戻され一人暮らしを始める。

その1年半後、彼女の遺体が発見された。
自治体から派遣されたケースワーカーは定期的に部屋を訪問していたようだが、不在と判断されていた模様。

亡くなったトイレは部屋の中心にあり、近隣住民も死臭に気が付かなかった。
やがて遺体の腹が割れ、吹き出た体液が階下の天井に到達。ようやく死亡が発覚したのだった。

遺体は、便座に座ったまま白骨化して見つかった。

清掃を進めていくと、個人の白骨化した右手が見つかった。
警察に連絡し、駆けつけた警官は、ハンバーガーショップのテイクアウト用のビニール袋に右手を入れて持ち帰っていったという。

 

第4章     遺族たちの愛

◆P141 与える者は与えられる

友人から「相談がある」と連絡があった。「実は俺に兄がいることがわかった」というのだ。

ことの顛末はこうだった。
突然、友人のもとに警察から連絡があり、戸籍上の兄がいることと、そしてその人物が孤独死をしたために遺族として遺品や遺骨を相続する必要があるということを告げられたのだという。

友人には父が異なる姉と弟がいることは知っていたそうだが、兄がいるのは初耳だった。
名前を聞いてもピンとは来なかったが、どうやら異母兄弟のようで、母親の戸籍謄本を確認すると、たしかにその名前が記載されていたという。
友人がまだ幼いころに共に過ごした時期もあったようだが、当人はそれを記憶していなかった。

 相談内容は、兄が暮らしていた賃貸物件をどのように処理すればよいか教えてほしいということだった。
著者は、まずは現場がどんな状況かを確認するよう、友人に伝えた。

 友人は、アパートを訪れ、大家さんとともに部屋の中を確認。
故人と大家さんは良好な関係を築いていたようで、「残置物を引き取ってくれさえすればいい」「と言う話で、特殊清掃にかかる費用は請求されなかったという。(こう言ってもらえるケースは珍しいらしい)

しかし友人は、面識はないとはいえ兄が迷惑をかけたということで、著者のもとに特殊清掃を依頼した。が、結局その話はなくなった。

「ぜひ私たちに清掃をやらせてほしい」と名乗りを上げる人たちがいたからだった。

友人は警察から連絡を受けたとき、「故人が生前懇意にしていた人がいるから連絡するように」と言われていた。もしかすると遺体の第一発見者だったのかもしれなかった。
お礼を兼ねて、その友人が連絡をすると、相手は友人の兄が常連だった居酒屋のオーナーだった。
工場に勤めていた兄は、その店に足繁く通っていたそう。

そして最終的に、居酒屋のオーナー夫妻と数名の常連客で、部屋をすべて片付けたのだという。
故人の思い出を語らいながら、にぎやかに作業を行ったのではないだろうか。

最後に友人は、お骨や遺品を受け取るために個人が暮らしていた街を訪れた。礼を言うべく、部屋を片付けてもらった夫妻に会いに行ったところ、
「お兄さんの骨を、私たち家族の墓に入れさせてください」
と言われたのだという。

もしかすると生前に、「死んだらうちの墓に入ればいいよ」などと冗談交じりに話していたのかもしれない。

友人は結局、兄のお骨を夫妻に渡した。
人生の大半を過ごしたであろうその土地に埋葬されるのが、兄のためかもしれないと考えたためだった。


第5章    死後の世界

◆P155 遺族に拒絶される財産

現場は、一等地に立つ高級マンション。連絡をしたのは、マンションの管理組合で、廊下に漂う腐臭をどうにかしてほしいという依頼だった。

マンションの一室で孤独死をした人の妻と二人の娘が相続を放棄したという。

相続放棄とは、個人の権利や義務を一切受け継がないということ。

遺族が相続するのは財産ばかりではなく、借金の返済義務も相続することになる。

また、個人の遺体を引き取り、供養しなければならない場合もある。そういった煩雑な手続きに追われることを避けるため、財産を放棄するのは珍しいことではない。

 

◆P161 死後を案ずる人々

著者の事務所では、遺族や大家など、特殊清掃の依頼主から預かったいくつかのお骨を安置しているという。

遺骨を産業廃棄物として処分してほしいと言われることもあるそうだが、遺体の遺棄は法律で禁止されている。

 また、墓地の設置許可は条件が厳しく、埋葬することもできない。

寺院や霊園に永代供養するにも数十万はかかり、そのひようを 負担できる遺族や大家も多くはない。そのため、変わって現場から出てきたお骨を預かっているのだという。

それらの遺骨は、海洋散骨を行うことを依頼主に約束しているという。

沖縄の海の見える場所に慰霊碑を作り、遺体が引き取られることなくなくなった人たちの名前を慰霊碑に刻み、誰でも訪れることができる場所にしたいのだという。

 

◆P165 事故物件専門不動産

事故物件となった建物は、その後どのように扱われるのか。

ある物件で人が亡くなった場合、次の借り手・買い手に何が起こったのかを伝える「告知義務」がある。それは、宅地建物取引業法で定められているが、内容は期間は明確に定められていないため、業者によって判断はまちまちである。

例えば孤独死して死後時間がたってから発見されれば間違いなく事故物件となるが、家族と暮らす高齢者が病死した場合はおそらく該当しない。

事故物件扱いになると、賃料や売値が相場の3割引き程度の金額になるのが一般的だという。

著者の会社では、事故物件専門の不動産業も営んでいるという。

 

第6章    生まれくる命

◆p173 ある心中の現場

まだ著者が特殊清掃の仕事をはじめたばかりのころ。
葬儀社の社長から依頼があった。はじめに「心中らしい」というとは告げられていた。

そこは、個人経営のカレーショップが入った建物。
依頼してきた会社の建物の前で合流すると、著者が先頭になって現場へ足を踏み込んだ。

室内の様子は悲惨なものだった。
死後数週間は経っていたのか、キッチンには鮮血が飛び散った後と思われる、乾いて黒くなった血痕と、床には黒い血だまり。付近には遺体が腐敗した跡が残っていた。

トイレには、遺体の腹が割れて吹き出た体液が床一面に広がり、じっとりしみ込んでいた。
その傍らに七輪があったため、おそらく練炭自殺だったと思われた。

見積もりの承諾をもらい、後日作業をした。
ひととおり清掃と遺品整理が終了。最後に残っていた布団に手をかけた。
すると、吐しゃ物なのか吐血なのか、枕には茶色く汚れた跡。
掛け布団をめくると、漏らした尿と、遺体から染み出た脂が小さなシミになっていた。

自殺した夫は、妻だけでなく、幼い子どもにも手をかけていたのだった。



今日は以上です!
noteを6つも一気に更新したのはさすがに初めてです(;´∀`)
反応をもらえるとうれしいですし、スキがのびるとやる気につながりますが、今回はそんなことを気にしている場合ではありません!!
今年中にノルマを終える!!!それだけです!

以前に宣言した今年のノルマは、残すところ2冊!!
補填資料として紹介したものです。
よっしゃ!やりきってやるぜ!!!🔥
俄然やる気になってきました!

次の記事は年明けになるかもしれません。
では、みなさんよいお年を!

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