小児科医と小児神経科医と児童精神科医の違い①〜小児科専門医と小児神経科医〜

みなさん、お元気ですか?ママ友ドクター®︎にしむらゆみです。

私は大学病院で専門外来を立ち上げた経歴を持つ小発達専門の小児科医で3児ママです。コロナ禍をきっかけにオンラインによる発達子育て支援を取り組んでおります。
日頃はインスタをメインで更新していて、アメブロでママ目線の話をお届けし、時々YouTubeで発達相談ライブを行なったり、ママ会みたいな相談会を開いたりしてます。
noteでは『Neo発達外来』をテーマに、専門家目線で伝えたいことを少しずつ書いております。


『子どもの発達に悩んだら何科を受診したらいいの?』


発達に悩んだら受診は必須なのか?
という話はまた別の機会にするとして、最近良く聞かれるのがコレ。なるほど、確かに相談したくなっても若干、混乱しますよね。小児科、小児発達科、小児神経科、児童精神科、児童思春期科・・・色々あります。病院の科ごとが設定する科のネーミングって案外自由なんです。(昔務めてた市中病院では、すくすく相談外来と名付けて発達相談外来を開設しました!)

今回は皆さんが疑問に思うであろうジャンル(科)の医師について投稿していきます‼︎ 
まずはその①、小児科専門医と小児神経科医についてじっくりお話しします!(私見入ってますご了承を)


STEP1〔医学生〕が『小児科医』になるまで・・・


❶・医学部に入り6年間の在学中で卒後に進みたい科をなんとなく物色(!)していく。入学した段階で決めてる人もいるし、途中で何回か変わることもあるし(私は産婦人科医になりたいと思ってたことも。)、5年生の病院実習を通じてなんとなく決めていく。卒業時に決まっていない医学生も少なくない、むしろ多いかも?!研修医2年間を通じてさらに絞っていく。(私は小児科と精神科と、研修医中は最後まで悩みました)

❷・世間のイメージするものとはちょっと違うけど医学生なりの就活をし(競争率の高い人気ブランド病院などが存在する)、世間が想像するよりずっと実は合格率の高い、医師国家試験を受けて合格する。

❸・卒後1~2年目は初期研修(小児科以外の色んな科を研修)。やっぱり子どもが好き、子供や赤ちゃんのための医師になりたいと思うと、人によっては就活して3年目から小児科医として働くところ(入局先)を探す。(大学病院などの場合はそのまま面談だけで入局できることも)

❹・卒後3年目から大学病院や市中病院の小児科もしくは小児専門病院などの小児科で働く、晴れて小児科医です!といえるが、実際には注射などの手技も薬なども初期研修時代の2年間に身につけた成人患者さん対応と全く変わってくるので研修し直し。
主に入院患者さんみたりして、3年間小児科経験を積む。

STEP2〔小児科医〕が『小児科専門医』になるまで

❺・早ければ卒後6年目に症例レポート提出と難しい試験(医師国家試験より合格率低い)、口頭試問を通過すると、専門医制度機関が認める『小児科専門医』資格を取得!
小児科専門医を名乗れる(ただし、5年更新制)
この時点で、新生児から中学生くらいまで幅広いジャンルの知識を持っていて(ザックリなジャンルもあれど)診療できます、任せてください!という段階に。
そこで、ここから更に専門をしぼり認定医や専門医を目指す。(目指さない人もいるし、大学院に入って研究をし博士号取得する人も)

STEP3〔小児科専門医〕が『小児神経専門医・小児発達専門医(注*)』になるまで

❻.小児科専門医を取得すると、
更に自分が専攻したい専門領域のチームに入って(神経、アレルギー、腎臓、内分泌、感染症、新生児…)で必要年数研修を積み、各領域の学会が施行する試験やレポート提出、面接を経て小児〇〇学会認定医を取得。
小児発達関連なら『小児心身症学会認定医』か『小児精神神経学会認定医』が今のところ主流。

❼.小児領域では古くから 小児神経科医・精神科医の先生たちが自閉症などのいわゆる「発達しょうがい」もみてきた。
と言うのも、その70年前、自閉症がカナー医師(精神科医)により論文発表されたとき自閉症は脳の病気、精神の病気と誤解されてたから。

(精神科医カナー先生と小児科医アスペルガー先生の歴史上のわずかな悔しいタイミングの差、さらにマリア・モンテッソーリ医師の編み出した教育法についてなど、紐解くと興味深くてより深く理解できるから別でまとめます!)

けれど、精神科の先生は主に統合失調症や神経症、躁うつ病、神経性食思不振症、不眠症などなど多くが成人が専門。だから幼児期から思春期を専門とする児童精神科医が分化していったかんじ。
そして、神経科医は基本は脳神経や筋肉の病気の専門家。
けいれん、てんかん、脳炎脳症、重症筋無力症、多発性硬化症、麻痺などの難しい病気を診ます。そのため、小児神経専門医を取得するのは超難関!!!


一方で、発達症(発達障害)の子どもたちに関しては,成長の評価だけでなく面談(カウンセリング)や子育て指導、療育指導などが中心になっていく。

❽.そこで、心や発達について別の専門医(子どものこころ専門医)が最近制度化されました!
小児科専門医を取得したら、小児発達関連なら小児心身症学会認定医か小児精神神経学会認定医を取得、そこでやっと発達の専門医『子どものこころ専門医』の受験資格が揃い翌年以降に試験を通過すれば取得!!

(注*)…『小児発達専門医』という名称は無いのでご注意。(だから、私も発達専門の小児科医と肩書き使ってます。子どものこころ専門医も取得してますが、発達症は心・精神の病気のイメージを持たれたくないので、あまり使いません。)

なお、子どものこころ専門医制度は新しく、複雑で移行期間などがあり詳しくはコチラを
一般社団法人 子どものこころ専門医機構
https://kks-kokoro.jp/senmoni/index.html



児童精神科医と何が違うの?どこを受診したらいいの??

この二つについては...長くなったので次の記事でまとめます。

ただ、先に少しだけ書いておくと、結局誰に相談したらいいの?長々書きましたが、○○外来には必ず○○専門医が最低一人はいます。あとはその専門領域の専門資格(肩書き)取得を目標に熱心に患者さんや家族と向き合うドクター。

つまり、認定医や専門医資格がなくても発達や育児相談を熱心に取り組んでる先生も確かにいます。
(開業医むけの『「子どもの心」相談医』という資格もあるくらいです。)

だから、まず子どものことで何となく気になることがあったら、
かかりつけの小児科専門医に相談
⇒解決しなかったらその先生が知っていて信頼している小児発達外来、小児神経外来、児童思春期外来などを紹介してもらう・・・・
という流れがいいのかなと個人的に思います。
でも、かかりつけの先生次第ってところもありますが・・・

乳幼児健診で指摘されたときに、保健センターから相談先を紹介してもらえることもあるけど、大抵はママが自分から専門機関を探すことになり、途方に暮れると言う・・・難しいんですよ。

でもね、そもそも、受診しないと始まらないわけじゃない(初診まで数ヶ月待つこともあるし)、気づいたその日からどう接してって、ママから見て困った行動言動を特性として強みに変えていくか・・・やるべきことは、その日からたくさんある。受診するまでモヤモヤしないでほしいから、今日から日々の育児に取り入れてほしいこと、伝えたいことが山ほどあるので、私はオンラインで繋がれる発達の専門医・ママ友ドクター活動に取り組んでます。

『今住んでいる地域のどこに相談にいくといいか?』『何から始めたらいいのか?』『そもそもうちの子発達障害なの?』といったご質問に個別に相談対応しています。
無料ライブ相談会(YouTube上にアーカイブ残ってます)やイベントも随時行なっているので、よろしければ見てみてくださいね!

ママ友ドクター®︎にしむらゆみ
小児科専門医・子どものこころ専門医・小児心身症学会認定医
ママ友ドクターの愛称でも知られる3児の母。重度の障害を持つ姉と育つ中で、周囲からの理解や協力が得られず苦しんだ母を助けたいと医師を志す。
2011年より都内大学病院小児科勤務、発達外来を新設し発達相談を行う。
2020年のコロナ禍で気軽に相談できる場を失ったママたちのために“ママ友ドクター“というオンライン母子支援活動を開始。ママ目線の医師としてYou TubeやSNSでも情報発信を行う。ウェブセミナーやライブ配信の発達相談会を定期的に開催。
自身も発達特性のある子を含めた3人のママとして幼児教育、療育、バイリンガル教育や受験を経験し生のママの声を届けている。
KidDevelopReach代表・会員制ママ会VARY主宰 

ママ友ドクター®︎ホームページ https://mamadoctor.net/

ママ友ドクター®︎リンクツリー https://linktr.ee/mamatomo_doctor

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