ポテサラ問題の違和感。

ポテトサラダといえば、私が子どもの頃（かれこれ40年以上前のこと）は、手作りが当たり前だった。当たり前というか、手作りするしかなかったから。それが、小学校高学年になる頃にはスーパーのお惣菜売場やお弁当屋さんにポテサラが並ぶようになり、世のお母さんたちは「あと一品」の感覚で買い求めるようになったのだと思う。

その頃のお母さんたちは「そこそこおいしいポテサラやマカロニサラダがフツーに買えるなんて、楽な時代になったわ～」と、思ったはずだ。

さて、世の中ではTwitterで「ポテサラじいさん」なるものが話題になり、それをもとにテレビでも取り上げられるという何だかおかしな事態になっているようだ。

知っている人が多いと思うが、スーパーの惣菜売場でポテサラを買おうとした子連れ女性が、高齢男性から「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」と絡まれる様子を目撃したというツイートから始まった「ポテサラ論争」。

これを見た人たちが

ポテサラ作るのにどれだけ手間がかかると思ってるんだ！
このじいさん、自分で料理したこともないくせに！
ポテサラ「ぐらい」ってなんだ！「母親なら」ってなんだ！！
母親であることとポテトサラダを手作りすることに何の関連性もないじゃん

と、一斉に反応。さらにとあるスーパーで「このコーナーで売っているのは時間です」という貼り紙まで出たそうで。

確かにポテサラって、地味な見た目の割に手間のかかるサラダなのよね。特に今みたいなクソ暑い時期に、暑いキッチンでお湯わかしてジャガイモ茹でて熱いうちにつぶして・・・なんて、やってられるか！　と思うわけですよ。世の主婦やワーキングママさんたちが怒るのも無理はない。

私は個人的にはお惣菜買ったって今の世の中、全然OKじゃんと思う。ウチだってスーパーのお惣菜好きだし。つい、お世話になっちゃうし。手作りが最高なんて時代じゃないわけだし。

むしろ違和感を抱いたのは・・・ポテサラ作るのが大変かどうかという問題ではなく、見も知らない人に突然「母親ならポテトサラダくらい・・・」と言い放ててしまう、その人に対してであった。

よく考えると怖いでしょ。でも、男女問わずこういうタイプの人ってきっと、あらゆることに文句を言いたいのだと思う。

パックご飯を手に取れば「ご飯くらい自分で炊いたらどうだ」
100均で雑巾を買えば「雑巾くらい自分で縫ったらどうだ」
カット野菜の袋を買えば「野菜くらい自分で切ったらどうだ」
ケーキを買えば「お菓子くらい手作りしてあげたら？」
お弁当を買えば「手作りしないなんて家族がかわいそう」

・・・って、多分、言う。まあご立派ですわな。

それに対して「ポテサラ作ったこともないくせに」「米ひとつ洗ったことないくせに」と反論しても、ポテサラの作り方を説明してどれだけ大変かを話しても、多分、このタイプの人は「理解できない」。

今回のポテサラじいさんにとって、攻撃する相手は誰でも良かったんだと思う。

ただ、こういう人は、自分より「明らかに強そう」な人には絶対言わない。子連れの若い女性という自分よりも弱い（と見える）人だから、見も知らないのにそんなことを堂々と言えちゃうわけで。想像するに、周囲の人にも聞こえるような大きな声で言ったんだろう・・・。

このテの人は、結構身近に居る。そして世間がいくら腹を立てたところで、その人は理解できない。ストレスが溜まっているのかもしれないし、人とのコミュニケーションがほとんどない人なのかもしれないし、お母さんや奥さんが何でも手作りしてくれてそれを当然だと思ってるだけかもしれないし、単に自分は絶対に正しいと思っている人かもしれないし。

でも、その人の背景や性格なんてどーでもいいのだ。そのオジサンが、

惣菜のポテサラを買う母親＝自分で料理しない手抜き母親

と思いこんで攻撃しているように、

見ず知らずの人にそんなことを言っちゃうオジサン＝〇〇〇〇な人（好きなコトバを入れればよろし）

と思えばいいのさ。

所詮は、一瞬すれ違っただけの他人なので、何言われたって気にすることはないのだ。「母親なら・・・」と言われた女性も、そりゃビックリして何も言えなかったのだろうと思う。これが50歳も過ぎたオバサンになりゃ「あらごめんね～暑くて作りたくないから手抜きしちゃおうと思って～♪ココのポテサラおいしいのよ～オジサンもひとつどう？　アハハハハ」などと言えちゃうんだけどさ。

ま、こういうオジサンはワタシのような図体のでかいオバサンがポテサラ買ってたところで食いついてこないと思うが。

いずれにしてもポテサラ買うことに罪悪感なんて持つ必要はまったくないし、通りすがりの人の自己満足と無責任な悪意とマウンティングしたいだけの一瞬の攻撃は、上手にかわすか、無視するしかない。腹の中で「うるせーな、ウチの食卓に口出すんじゃねーよ」と毒づきながら。

どうでもいいことだが、ウチのダンナさまはこのポテサラ論争を見てから、スーパーに一緒に行くたびにポテサラを買っている。「誰かオレに文句言ってこないかなあ」って・・・そうじゃないって。