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【指定企画】50歳を過ぎて『無駄を極めたアナログゲーム』をつくったら売れるのか-私の働き方実験- #最終報告書

Lancers企画の 新しい働き方LAB 第3期研究員として、2023年6月から12月までの期間、上記タイトルについて取り組んできました。その結果を報告させていただきます。


___<研究報告書>_______________________

◆実験の目的と背景

 今まで役立つアイデアはいろいろと考えてきましたが、無駄なものを考えるのは初めてです。無駄に焦点を当てるという、今までとは真逆の考えが新鮮であり、また難しくもあります。脳活して健康に長く生きることを目標にしているので、この研究に挑戦することで大いに脳活しようと思い、チャレンジしました。


◆検証内容

 ・無駄を楽しめるゲームを作ったら売れるのか

昭和生まれのアナログ世代。アナログな遊びで育った私が、アナログゲームを作って販売し、売れるかどうかを検証しました。

◆研究活動の概要

1.無駄団の参考書、高橋晋平さんの「1日1アイデア」を読んで頭を柔軟にする。
2.講義を受ける。
3.アイデア出しと商品化候補を選ぶ。
4.ゲームを試作する。
5.試遊会に参加する。
6.商品化検討・準備
7.ゲームマーケットに出展およびネットで販売する。

【1】高橋晋平さんの講義
しりとりからゲームのアイデア出しはとても印象に残っています。それまではゲーム作りにすごい壁がありましたが、その壁が低くなってアイデア出しが楽になりました。

【2】アイデア出し
アイデア出しについては以前の note に書いているのでそちらをご覧ください。
ゲームマーケットに出展します(1)
ゲームマーケットに出展します(2)

アイデアがまとまる前に「ゲームマーケット」という規模の大きいイベントに有志で出てみないかという企画があがり、何か目標があったほうがいいと思い、参加を決めました。

【3】試作
今回の研究では個人でゲームを仕上げる方向で進んでいたので、構成、デザイン、遊び方、試作まですべて自力で準備することになりました。私は2年前にLabo1期生として初めてAdobeを勉強し始めましたが、独学で勉強していたこともあり、まだまだ未熟なためゲームのデザインにはとても苦労し、いちばん時間がかかったところでもあります。ゲーム制作者の中にはイラストはプロに依頼されるかたもいらっしゃるので、商品価格を考慮した上でそういった方法もありだなと思いました。

【4】試遊会に参加する
指定企画の試遊会が2回(8月と11月)にあり、オンラインですが参加することができました。
最初の試遊会では「622」というカードゲームの試作をユドナリウムというオンラインサイトで遊んでいただきました。みなさんの試遊を見学しながら、気になったところをメモし、試遊後に遊び方やカードの種類・枚数を調整しました。
研究期間で最後となる2回目の試遊会はオフライン・オンライン同時開催でした。私は当日会場に行くことができなかったため、オフライン参加されるかたに試遊品を託して、オンラインで参加させていただきました。当日高橋晋平さんにもご参加いただき、カードゲーム「622」、ポストカードゲーム「HOTDOG」と「ハリセンキャッチ」の3品について講評をいただきました。

【5】商品化・準備
「622」と「HOTDOG」はデザインデータを用意して印刷会社に発注し、プロトタイプの「ハリセンキャッチ」は自宅プリンターにて印刷しました。印刷については色・仕上りが思っていたものと違ったらどうしようと心配だったので、製作費は高くなりますが「622」は小ロットでの試作をしてから必要部数を再度印刷することにしました。初版は材質・色とも希望通りだったので二刷目をオーダー。到着後、初版と比較してみると微妙に色が違って見えます。どの商品でもそうなのでしょうが、やはりロットが違うとわずかでも差が出てしまうということがわかりました。

アイデアから形にするところまでは、今までも経験したことがあるので、スムーズにかつ楽しくできましたが、ここから先の営業・販売といった分野は未知の世界です。何せ、この企画のためにXをはじめて開設しました。Twitterでつぶやくことなく、最初がXでのポストなのです。最終的に情報公開できたのはXとゲムマHPのゲーム登録のみで他団体の試遊会や他のSNSには手が回りませんでした。

【6】販売
(1)ゲームマーケット2023秋 出展
 12月9日(土)一日のみですが、無駄団員さんのサポートを受けながら無事に出展することができ、実際に自分のゲームを販売してきました。
(2)オンライン販売開始
 BOOTHとminneのサイト、そしてnoteのストアにminneショップをリンクさせて「622」と「HOTDOG」の販売を開始しました。「ハリセンキャッチ」はプロトタイプでの頒布なのでオンラインでの販売は延期しました。

◆実験結果

現時点でデータのとれているゲームマーケットでの販売結果をまとめました。販売数や総売り上げはnoteが一般公開であるため控えさせていただき、企画内でのみ報告させていただきます。

【日時】12月9日(土)11:00~17:00
【場所】東京ビッグサイト西棟2ホール
【入場者数】14,000人

【商品】
『カードゲーム 622』 価格1000円(ゲムマ特価)
 ・購入者性別・・・男性約70%:女性約30%
 ・年齢・・・20~30代が約70%、それ以外が約30%
 ・購入時間・・・早期入場約30%、一般入場以降約70%
『ポストカードゲームHOTDOG』セット  価格300円(ゲムマ特価)
 ・購入者性別・・・男性約40%:女性約60%
 ・年齢・・・20~30代が100%、
 ・購入時間・・・早期入場約20%、一般入場以降約80%
『ポストカードゲームHOTDOG』単品  価格100円(ゲムマ特価)
 ・購入者性別・・・男性約60%:女性約40%
 ・年齢・・・20~30代が100%
 ・購入時間・・・早期入場約なし、一般入場以降約100%
『ハリセンキャッチ』 価格300円(ゲムマ特価)
 ・購入者性別・・・男性約50%:女性約50%
 ・年齢・・・20~30代が100%
 ・購入時間・・・早期入場約50%、一般入場以降約50%
『全商品』
 ・購入者性別・・・男性約60%:女性約40%
 ・年齢・・・20~30代が約85%、それ以外が約15%
 ・購入時間・・・早期入場約20%、一般入場以降約80%

自作ゲーム


◆結論・気づき

結論:
①販売したゲームは4種類とも売れたが、売上は製作費を下回りマイナス。
②「622」は男性の20~30代の購入者が多かった。
③「HOTODOG」は20~30代の購入者で複数個購入されることが多かった
④「ハリセンキャッチ」は楽しく試遊してもらえたが購入にはつながらなかった。
⑤ディスプレイが大事。ゲームは立てて見せるのが効果的。
⑥宣伝が足りなかった。試遊会やゲムマブログの利用不足。
⑦予約サイトを準備しなかった。
⑧箱、デザインセンスは必要。見た目は大事(でも費用がかさむ)。

※「622」ゲームについては『 622の展望 』にも記載があります。

余談:「ハリセンキャッチ」の実演が目にとまったのかTV取材を受けた。
商品の制作秘話や技を撮影させてほしいとのことだった。人生初の承諾書なるものを記入。放送されるかは未定。 

◆研究に関する考察・これから

<考察>

一企業が何部門にも分けて進めて世に出す商品づくりを、1人でアイデア出しから制作、営業、販売まで半年足らずで終わらせたかなりハードな企画。

ゲームを作って、販売してみて、自分がどこが得意でどこが苦手かがはっきりとわかりました。面白くなければ売れないし、面白いゲームができても知ってもらわないと売れません。どちらも同じくらい大事なことです。
ゲームの価格は制作するのにかかった印刷や材料費をもとに決めましたが、営業や販売にかけた時間を加えたら、今回作ったゲームを全部売っても利益が出ません。費やした時間をパートとして働けば百万円以上になります。しかし現状は赤字です。

結果としては、一人で、また副業としてゲーム制作で稼ぐのはかなり難しいです。趣味としてならありですが。また、先に投資することになるので、すぐにお金が必要な場合はお勧めしません。(クラウドファンディングで先に制作費を準備できる可能性はある)
ただし、自分磨きや自分がどこを目指せばよいか迷っている人は、一度チャレンジしてみてください。初めて作って手ごたえがあればそのままゲームクリエイターという道に進むこともできるし、ここが得意だなという分野があればその方面に進めばいいという道標になります。また、ゲームを作って販売することは、子どもが社会のしくみを学ぶ絶好の機会だとも思いました。小・中学校での職業体験は1ヵ所ですが、ゲームを作ってゲムマなどで出展するとモノ作りから販売まですべてが学べます。ぜひ親子でチャレンジしてみてください。

<これから>

製作費未回収分は数万円。辞めるならここで、なのでしょうが、「リベンジ」したいです!

完売したお店の情報はすぐにネットにあがりますし、入場して買ったよというゲームの写真もすでにたくさん掲載されています。今回の2023秋のみでゲームを検索すると登録されたのが836種類(12月14日現在)。そのうちどれだけのゲームが完売や目標を達成できたかはわかりませんが、期待したほど売れなかったというゲームも多いと思います。それでも今度こそはと、新しい商品を制作したり、販売方法を改善したりと意欲的に取り組まれているお店もあります。

私も、今より赤字は増えるかもしれないというリスクはありますが、リベンジしたいです。爆売れしなくても今回買ってくださったかたやこれから買ってくださるかたに、今考えている新しいアイデアを届けたい、そんな気持ちで一杯です。

今回の研究結果ですが、収入だけで考えるならゲーム制作は「新しい働き方」にはならないかもしれません。でも自分で運転して見つけたこの道をもう少しだけ進んでみようと思います。



ここまでお読みいただきありがとうございました。
以上が研究報告書となります。


◆ゲーム販売のお知らせ

「622」と「HOTDOG」をオンラインショップ(minne、BOOTH)で販売します。記載販売価格に加えて手数料や配送料などが別途かかりますのでご了承ください。「ハリセンキャッチ」はプロトタイプのため今後の販売は未定です。

※ note のストア(minne連携)からもご購入いただけます。

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