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ママはお城のお姫様 #葉野菜

ママは金曜日の夜、家に帰ってこない。
たまに土曜日になっても帰ってこない。
でも、私は平気。
だって必ず帰ってくるってわかってるから。
それにね?
私は知ってるんだ。
ママは金曜日の夜だけお城のお姫様になるって。
ママが言ってたの。
そこには王子様もいて、
夢の世界に連れて行ってくれるって。
ママ、とっても嬉しそうに言ってたの。
それってシンデレラみたいで素敵よね。
それでね、私もなるんだ。
大人になったら、綺麗になったら。
ママみたいに素敵なお姫様になって、
王子様に見つけてもらうの。

「なんて思ってたわ。」
私は下着を着ながら言った。
今日は金曜日。私がお姫様になる日。
時間はもう12時を過ぎてしまった。
「なんだそれ、そんな可愛いこと思ってたの?似合わねぇな。」
そう言ったのは今日の王子様。
私の体をまだニヤニヤしながら眺めている。
「何よ。まだ欲しいわけ?」
そう言いながらそっと彼の足に触れながら体を密着させる。
彼は嬉しそうに鼻の下を伸ばした。

ここはお城。私がお姫様になれるところ。
旦那は私のことをお姫様にしてくれなかった。
子供を産ませたら、はいお終い。
なんてありえないでしょう?
だからあの頃の夢を叶えたの。
金曜日には、あの日のママのように、
綺麗にメイクして、セクシーなドレスを着て、
王子様に会いに行くの。
ガラスの靴なんてない。
純粋な愛もない。

私はママと同じ。
自分の娘には、
「ママはお城のお姫様だから。行かなきゃ行けないのよ。」
なんて言ってる。あの子もそれを信じてる。
本当は、見ず知らずの男と体を重ねているだけなのに。
あの子の輝く視線にたまに耐えられなくなる。
私がお姫様だと信じて疑わないように見えるから。
あの子も私みたいになりたいって願ってるように思えるから。
私、今ならママの気持ちすべてわかるわ。
ママの優しい瞳の奥に潜んでいた
あの恐怖心も。
「王子様が待ってるの。」
そう言っていた時、ママはきっと

彼が私の下着を脱がして肌に触れる。
変わらない、きっと変われない。
12時を過ぎても解けない魔法にかかって、
私はお姫様。
可愛い可愛い、可憐なお姫様。

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