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おふくろの味を愛を込めて巻く

私は祖父母と暮らしていました。母は仕事に出ていたので、食事の準備はおばあちゃんのお仕事。

なので私の『おふくろの味』は『おばあちゃんの味』

昭和、日本の色々な地域では結婚式からお葬式、日頃の地域の寄り合いまで事あるごとに「じっこう」(その地域に住む世帯のまとまり)で集まり、料理を作っていました。おばあちゃんはその時料理の総監督。味付けを頼まれるような料理上手な人でした。


私が小学生になり始めて中華料理店に行った時のこと。

当時から春巻きが好物だった私に、おばあちゃんが春巻きを注文してくれました。

出て来た春巻きを食べて

「この春巻き変だよ!中がねとってしとる!変な味~」と私。

おばあちゃんと母は大笑い。

「かこちゃん、それが普通の春巻きなんだよ(笑)」


うちのおばあちゃんの春巻きは、中の具を先に炒めてから他にも卵やアスパラなどの具を入れて巻く、ふとっちょ春巻き。私にはそれが「普通の春巻き」


おばあちゃんは私がママになる前に亡くなりました。

今でもおばあちゃんの『おふくろの味』が食べたいなぁと胸がジーンと熱くなることが。

そんな時はやっぱり少し元気が出ない時なのかもしれないな。。。

わたしの『心』があったかいご飯でチャージしたがっている感覚。


息子くん達が大人になって、何だか元気が出ないなぁって時に私の作る『おふくろの味』を「食べないなぁ」と思い出してくれたら嬉しいなぁ。。。


勿論、私の作る春巻きも「ねっとり」でなく「がっつりふとっちょ」春巻き。

以前息子くんのお友達がうちに泊りに来た時の夕飯。

「うちの春巻きは他の家の春巻きとは違うんだよ!」と嬉しそうに自慢気に説明をしている息子くん。

あっ!!おばあちゃんの『おふくろの味』は私の『おふくろの味』になったのかもしれない!と、一人にやにや。


おばあちゃんが亡くなったのは私の花嫁姿を見た半年後。

お腹に赤ちゃんがいた私は真夜中病院に駆けつけることが出来ず。

駆けつけた私の旦那さん。彼がおばあちゃんの手を握り、言葉をかけその後に息を引き取る。

きっと「カッコのことを頼んだで」と伝えるまで、旦那さんの到着を待っていてくれたんだなぁ。そう感じた。


おばあちゃんが亡くなる前、母によく「カッコに料理を教えとけば良かった。それが後悔よ」と話していたそうだ。

孫をとても大切にしてくれていたおばあちゃん。「台所は刃物もあるし、火もあるけん、危ないけん、ご飯作る時には入って来たらいけんよ」と、私が大人になってもずっと言い続けていた。


おばあちゃんが亡くなった後、作ってもらっていたご飯がどれだけ愛おしいご飯だったのか…どれだけ愛情がこもっていたのか…。

春巻きを巻きながら息子くん達の美味しそうに食べるニコニコ笑顔を思い出す。

一つ一つ丁寧に。愛おしく巻いていく。

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