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愛着に視点を置いた不登校への対応

子どもが親を求めて安心を得ようとする行動を「愛着(アタッチメント)」といいます。
それに対して、子どもの非言語的な感情表現から気持ちを汲んで応答するのを、
前回お話しした情緒的応答といいます。

乳児と親の間では、
子が空腹や眠気などの生理的な不快感を取り除きたいという欲求を、
泣いたりぐずったり抱っこを求めたりして愛着行動として示します。
それに対し、親からの情緒的応答で満足感が得られると、
親子間での信頼感が築かれ、愛着が形成されていきます。

子どもは成長に伴い、少しずつ親から離れていきますが、
そこで不安なことを感じると、
子どもの心の安全基地である親に愛着行動を示し、気持ちを満たそうとします。
気持ちが満たされたら、社会に向かって新しい一歩を踏み出すことができ、
それの繰り返しで親から離れていきます。

不登校などで心が非常に不安定になっている子は、
幼児のような愛着行動を示してくることが多いですが、
そこで安全基地である親が情緒的応答をしないと、
子どもは気持ちを満たすことができません。
そうすると、いつまでも不安定な状態が続き、親から離れる勇気は出てこないのです。

そんな状態で親にしがみつくことで一生懸命になっている子に対して、
無理に引き離す対応は、
仮に親から離れられたとしても、
本当にその子が自分から勇気を出して踏み出した一歩ではありません。

その子が必要としているのは、
子どもが親に対して向けた愛着行動に対する、情緒的応答。
そして気持ちが満たされた時に出てくる子どもの能動的な動きに対して、
親が、喜び、驚き、興味などの肯定的感情を向けて、
能動的な行動を支えることです。

そうすると、子どもは人と関わり、初めてのことにチャレンジし、学ぶ、という行動を自分から進めていくことができます。

お子さんの甘える行動が強くなっているなと感じたときには、
それをしっかり受け止めて、情緒的応答を行い、
能動的な動きに着目してみて下さい。

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