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あおい みどり【全20話+α】

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神経発達症を抱える里中翠。幼少の頃受けたトラウマが、28歳を迎えた彼女に『新しい出会い』を与える。それは別人格と、支える医師ー。奇妙な三角関係。 とあるSNSのフォロワーさんか… もっと読む
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記事一覧

【連載小説】あおい みどり #1

プロローグ 乾いた風が、ようやく季節が移り変わっていくのを感じられる、そんな晴れた9月の…

mallowska
7か月前
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【連載小説】あおい みどり #2

~ 翠と蒼 蒼が現れたのは、今から半年ほど前の、翠がもうじき28歳になる春、4月の半ばのこと…

mallowska
7か月前
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【連載小説】あおい みどり #3

~ 翠(みどり) 私が臨床心理士・南條秋人の元に通うようになったのは、蒼が登場するように…

mallowska
7か月前
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【連載小説】あおい みどり #4

~ 翠 「翠さん、たくさん話してくれましたね。疲れたでしょう。少し休みましょうか。そうだ…

mallowska
7か月前
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【連載小説】あおい みどり #5

~ 翠 目の前に置かれた、ガラスのカップのハーブティ。薄いグリーンがかったゴールドのお茶…

mallowska
7か月前
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【連載小説】あおい みどり #6

~翠 梅雨が明けると、うだるような暑さの日が続いた。 2週に1度のカウンセリングはこの頃か…

mallowska
7か月前
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【連載小説】あおい みどり #7

~ 蒼 通常は診察時に次回カウンセリング日を予約していくが、翠が無断キャンセルをしてからは何のアクションも出来ていなかった。 人気者の南條先生。Webサイトの予約画面を開いても当面空いておらず、ため息をつきながら何度かF5キーを押した時に直近の空き時間が表示された。 「お、ラッキー。明後日の空き時間が出て来たぞ」 すかさず予約を入れ、2日後の午後一の枠が取れた。 翌日会社には「明日午後半頂きます」と有無を言わさず伝え、当日はサッサと退社した。 * クリニックの正

【連載小説】あおい みどり #8

~ 蒼 「先生、当たり前だけど、俺のこと認めてくれたのは先生が初めてで。必要な存在だなん…

mallowska
7か月前
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【連載小説】あおい みどり #9

~蒼 1週間後。再び南條医師の診察室。 「蒼さん、こんにちは」 俺は真っ先に南條医師の襟…

mallowska
6か月前
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【連載小説】あおい みどり #10

〜 翠 私は南條と対面するのがますます怖くなっていた。 蒼が南條と会話しているのを上から…

mallowska
6か月前
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【連載小説】あおい みどり #11

~ 蒼 「翠さん? 今ここにいるんですか?」 南條医師が呼びかけたが、翠は既に身を潜めてし…

mallowska
6か月前
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【連載小説】あおい みどり #12

~ 蒼 翠はビジホのベッドで寝ていた。 南條医師を部屋に呼んだはずだが彼の姿はない。部屋で…

mallowska
6か月前
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【連載小説】あおい みどり #13

~ 翠 慌てて身体を離した。腰が抜けて立ち上がれない。 警報音は鳴り響いている。 「あ…蒼…

mallowska
6か月前
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【連載小説】あおい みどり #14

~ 翠 そもそも蒼が談判してくれるはずだった私の家出案件は、仕方無しに頭の中で蒼にアドバイスを貰いながら、私から母に対して "もう今までのようにはいられない。家を出て自立する" と伝えた。 当然猛反対され、蒼のようには強く出られないので、南條とこの件を相談するつもりだ。 父は相変わらず、今の私たちの現状を信じてくれない。本当にもう、どうしようもない。 家族はバラバラになるかもしれない。 でもそれで私の心がまとまるなら、その方がいい。 * 翌週。南條のカウンセリング室