諏訪夏仁

すわなつひと / お気軽に「かに」とも呼んでください / 最近、教員を辞してお暇中

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  • 本、読ム。オレ、感想、書ク。

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    若きかにの思考。

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    小汚い荒削りの人間。

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かろうじて単語の中に閉じ込めた。究極の概念の。ばあちゃんが念入りに書いた。冷蔵庫の中の。

ソン・ウォンピョン著 矢島暁子訳『アーモンド』を読んで。  リビングの机。ミックスナッツの入った丸い蓋付きのケース。蓋を開けて香りを嗅ぐ。先が尖った茶色い実をとって、ながめる。 こういう感じか。 不安や恐怖などの私たちが感じる感情は、このアーモンドによく似た扁桃体によって感じることができているらしい。医学的な知識が貧しいので、詳しいことはよくわからない。  『アーモンド』は、その扁桃体が生まれつき小さく、失感情症と診断された少年が語り手である。感情を知らぬ「怪物」と呼

    • ナチュラルボーン『狂人失格』、失楽園のその先へ

       中村うさぎさん著『狂人失格』を読んだ。  この本を手に取ったきっかけは後輩の勧めで、中村うさぎさんの本を読むのは今回が初めてだ。  久しぶりに会う後輩に「痩せましたか?」と聞かれ、待ってましたと言わんばかりに私がこれまでの人生で一番嫌悪している奴の話をした。私が質量を失ったのは、言語や論理道理・人の心が通じぬソレと根気強く関わってしまったことが原因にあると確信していた。だが「悪気がないのであれば、根気強く話せばわかる」と思い込んでいた前の私も「内容や話し方関係なく、理解で

      • 呪う気持ちに、救いなど

        アニメ『呪術廻戦』に思うこと。 友人から勧められた『呪術廻戦』13話まで追いつきました。「オカルト好きだから、面白そうだな〜、推しは誰かな」と思って軽い気持ちで観たら、思いの外考えることが多くて、感想を書ききれません。なので、noteに書くことにしました。 推しという点で言えば今のところは、一番魅力的だと思うキャラクターは七海。登場を一番心待ちにしていたけど出番が少なかったのが狗巻先輩。これから好きになりそうなのは伏黒君。 という結果。地味に花御も気になってます。 今回

        • 不毛を毛に、したろうて

          あけましておめでとうございます。 実はnote書き初めから『「愛と正義」なんて、その辺の犬にでも喰わせておけ』という不穏なタイトルで記事を書こうとしていました。内容はそれほど不穏でもないつもりでしたが、note書き初めってもっと……今年の抱負語ったりするんでしょう? 言いたいことが多すぎて上手く纏まらないこともあり「新年早々辛気臭いのもどうなの?」ということもあり、急遽方向性を変えました。少しでも明るくなれる話がいいな。『「愛と正義」なんて〜』で書きたい話は、それこそ、その

        かろうじて単語の中に閉じ込めた。究極の概念の。ばあちゃんが念入りに書いた。冷蔵庫の中の。

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        記事

          2020年、厄年にあらず 人生の夜明け

          2020年を振り返るなら、それはそれはとんでもない年だった。昨日くらいまで厄年だと本気で思っていた。「悪い人ではない」と思っていた奴に、人を人とも思わぬ発言と行動で苦しめられ 「へぇ!人間生きていたらこんな想いもするものか!」 と、もはや関心をするまであった。そう思えたのも周りの友人方に助けられてようやく、と言ったところで、はじめのうちは自分の発言や行動によってなんとかできる範疇なんじゃないかと思っていた。自分のしてやれることとは…思い悩み、吐く。もはや「思いやりというも

          2020年、厄年にあらず 人生の夜明け

          愚痴、行き場のない心の供養

          (追記:2020/12/29に書いて公開したけど、いたたまれなくなって一度下書きに戻した。「いや掃き溜めなんだし、わざわざシェアしなければ流しっぱなしでいいか」と折り合いがついたので、再度公開する) 前回の記事「汝、言葉の毒を知り給へ」で触れた言葉を大切にしない種族。 個人的な想いというか、思い出が漏れちゃっていたのもあって、わかる人にはわかる。その通り、特定の思い当たる人物がいる。大事故に繋がったのは1人。 でも1人ではない。共通していることとして、そういうやつほど「

          愚痴、行き場のない心の供養

          汝、言葉の毒を知り給へ

          「言葉を大切にしているんですね」 言われた時はとても嬉しかった。自分でも言葉は大切にしたいと思っているから、人からそれを言われた時は、認められたような気がして、それは…それはもう嬉しかった。 でも、大切にしていても使い方を間違えることがある。そういう時は自分で気がついたら、なるべく早く、なるべく丁寧に間違いを説明し、謝罪をするようにしている。 言葉が毒になることをよく知っているからだ。 他者の言葉は人生を豊かにする。言葉は美しい。言葉は心の傷を癒す薬にもなる。でも、そ

          汝、言葉の毒を知り給へ

          おやすみプンプン

          やめろよ。 丹念に飾り付け、ショーケースに整然と並べた「綺麗事」が、粉々に砕けて地面に散らばる音。 浅野いにお『おやすみプンプン』全13巻を読み終えて。 「所詮この世は綺麗事だから。」と世を儚むなんて、どこぞの中学生が通る青い道だと思っていた。今更、鬱漫画を読んで感傷に浸るつもりもなかったし、世界をわかったような気になるつもりもない。人間がみんな自分勝手なのはわかっているし、汚いのも承知。でも、そんなところを含めて人間が好きだし。愛は美しいし。つまらないのであれば自分が

          おやすみプンプン

          刺す 刺される 剥き出しの心に

          「リリィ・シュシュのすべて」について。 まずは、これを見てほしい。 …見た? これが私の「リリィ・シュシュのすべて」との出会いだ。 当時、中学生を終えんとしている私。(もしかしたら、高校生になりたての私。)インターネットでは爆裂に『ニコニコ動画』が流行っていた。今、若人にとって動画サイトといえば『YouTube』で、ニコニコ動画なんて知らないだなんて、あの時は想像もつかなかったほどに。いや、盛者必衰すぎるでしょ。震える。 そのニコニコ動画で、これを見た。知っているボ

          刺す 刺される 剥き出しの心に