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初デートにクソ映画を選ぶと地獄のような時間を過ごす羽目になる話

映画は気心の知れていない者が選ぶにはとても良い選択である



皆さんは、初めてデートで見た映画を覚えていますか?

ちょっと気になる人と仲良くなるために何をしに行くか?って選択肢は案外少なくて、テーマパークだとちょっと拘束時間が長くて中だるみしそうだし、買い物行くにも趣味が見えないから合わせにくい。

相手のことがイマイチわからない中で、距離を縮めるための効果的な娯楽って意外と無いんですよ。

そんな中で楽しい共通の話題を作って相手の人となりを知っていくために無難な選択肢として映画があるわけです。

これなら自分が頑張らなくても2時間は使えますし、その後で感想を話すというイベントがあるので話題にも困りません。

あの場面の何々が良かったね!とか、役者の誰それが良かったとか、あとはWikipediaで仕入れたような知ったようなことを言うだけでも二人の会話はスイングしていくことになるので、気心が知れていない状況だといいこと尽くめなんですよ。

私も20年前にあーこりゃ楽だと思って、この選択肢を大事にしていたわけですが、初めてのデートにこれを選択して本当に大変な想いをしたことがあるなぁと思い出しました。

これは多分結婚して6年目を迎えて、恋愛という地場からもう降りた立場だから笑って話せることなのかもしれませんが、当事者としてはなかなか切実で、周りからするとこの手の温度感の不幸話はネタとしては笑えることなのでお話しようと思います。

初デートムービーは「Red Shadow赤影」

あれは2000年くらいのことだったと思います。

当時付き合い立ての彼女が居まして、なんか楽しい思い出を作るためにどうしたものがと考えていたところに彼女から提案が。

「仮面の忍者赤影」の実写版やるから観に行こう!

どうやら彼女としては主演の安藤政信がメンズノンノとかよく出ている時期だったので、私にも彼のような雰囲気を学んでほしいということだったようでした。

今そんなことを言う奴がいたらしばき倒すところですが、初めての彼女なので何とか理想に近づけたらいいなぁと考えたわけです。宇多田ヒカルの歌でそんなくだりがありましたがまぁそういうことです。

どんなストーリーだっかたとか、どんな役があったかはもはやよく覚えていませんが、当時人気だった麻生久美子が相手役、ライバルに藤井フミヤとか、なんとなく雰囲気よさげな映画を好きそうな人がそそられるような企画だったのは間違いありません。

その彼女は雰囲気がふわっと良いものが大好きで、ことあるたびに自慢できる存在になってほしいと言ってきていて、20歳の私はかなり自分を抑えてまぁこんなものなのかとハイハイ言って聞いていたのです。

そんなわけでノリノリの彼女、そして連れてこられた私は「仮面の忍者赤影」もとい「red shadow赤影」を観に行ったわけですが‥

地獄のような「RED SHADOW赤影」

はい、クソ映画でした。

恐らく生涯ワーストを「GOEMON」と僅差で競り合う、まぁ本当に酷いとしか言いようのない無惨な作品でした。なぜ私は時代物の現代版を選んでしまうのかは分かりませんが、とりあえずこの手のコンセプトのやつが地雷であることは間違いないようです。

なんかねー色々時代物の現代アレンジしているんですけど、演技ができない人に演技させたり、時代物なのに現代風ギャグとか随所に入れるからヘンテコだったんですよ。

オープニングから布袋寅泰が敵に囲まれて刀を構えるんですけど、ただ刀持ってるだけだから殺気も何も感じないのにやけに安っぽいCGがグワーッと出てきて敵がビビり始めたりするんです。

あとは相撲ファン的には引退したての舞の海が味方ポジションで出てるんですが、デカい岩か何かが落下してきて舞の海がそれを一人で持って仲間を逃して殉職するんです。

ぶらり途中下車の旅とグルコサミンのcm見れば分かりますけど演技とか出来ないんですよ。そんな舞の海が棒読みで果てていくのを垂れ流されるのはなかなかのものでした。

あとはねぇ‥
安藤政信と藤井フミヤのバトルシーンで安藤政信が藤井フミヤの手裏剣を刀で打ち返すんですが、なんかフミヤは野茂のトルネード投法で、安藤政信が一本足打法とかやるわけです。

時代物ですよ!?これが面白げな感じで出てくるんですけど、どうしていいか見る側としては戸惑いしか無いんですよ。

他にもシドニーオリンピックの新体操のメダリストが唐突に殿みたいな人の前でボール使った新体操の演技をしたり、なんかそういう時代物と現代アートの融合みたいなことを随所にやるんですが、どれもこれもいい雰囲気出しながら全然出来てないからムカムカしてくるんです。

そんな訳で私にとって地獄のような2時間が終わったのです。これだけ断片的に映画をよく覚えているのは絶対寝てはいけない責任感と、初めてのデート映画だったことと、そして戸惑いとイライラを胸に閉じ込めようとしたからではないかと思っています。

彼女が「RED SHADOW赤影」を褒めるという地獄

しかしさらなる戸惑いを覚えたのは、そしてさらなる地獄を感じたのはその後でした。

当時の生涯ワースト(多分近所のリビア人の友人がチョイ役で出ていた映画「優駿」)を5段階くらい上回り、あまりの酷さに目眩がしているところで喫茶店に入りました。

さぁ、どういう切り口でこの映画の酷評が出てくるのか。まぁそういう共有になるならクソ映画をデートムービーに選ぶのも悪くはない。

ただ、この人は雰囲気の良さを学んでほしいみたいなことを言っていたし、酷評しては「何も学んでいない!」と怒られる可能性もある。雰囲気が良いものをケチ付けると向上心のなさと捉えられる可能性もあるし、とりあえず様子を見よう。

ということで、話の主導権をそれとなく彼女に渡すと‥

出てきたのはやはり、雰囲気の称賛でした。

やべえ。
どうすんだよこれ。

トルネード投法と一本足打法とか出てきてるのに雰囲気褒めちゃったよー 舞さん(相撲ファンは舞の海さんをこう呼ぶ)の殉職シーンとか棒読みだったのにー あーもうこれ雰囲気もクソもねーのにどうやって合意すりゃいーんだよー 上手く合わせないとまた夏目漱石「こころ」の「向上心のないやつは、ばかだ」状態になるぜこれもうどーすんだよー


頭の中グチャグチャで、完全に価値観が違うことを露呈した中で私は必死に褒めるところを探しながら、とりあえず野球ファン的にはトルネード投法と一本足打法が面白かったという話を頑張って繋ぎながら彼女が良かったという雰囲気の部分をひたすら語ってもらってその場を終えました。

教訓:映画見るなら下調べしよう

映画というのは楽しければ話すことは無数にあるのですが、私の20年前のように外すと地獄のような時間が待ち受けているのも特徴です。

もしお互いに感じていることが似ていれば酷評しまくれば良いのです。偶然私と妻が似た時期に「空海」という映画を観て、共にありえないほどの酷評合戦になったことがありますが、そうではないとしたらヤバいです。

今ならある程度映画の批評も口コミサイトに出ているので、地雷を避けることも可能です。本当にいい時代です。当時このようなサイトがあれば赤影の酷評を理由に違う何かを観る方向に持ち込めたわけですからね。

映画とデートは気心が知れていない者同士として非常に親和性が高いのは間違いありませんが、下調べをしないとどえらいことになりかねないということで今日はお開きにしたいと思います。

というわけで、初デートの思い出やデートムービーの思い出をコメント欄でポロロッカ西尾に聞かせてくれると嬉しいです!



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