マーケティングを組織に実装するために行なっている3つのこと。
私は現在、静岡市で株式会社HONEというマーケティング支援の会社を行なっています、代表の桜井と申します。
当社のミッションは「地方に骨のあるマーケティングを実装する」ことです。
マーケティングをただ学ぶだけで終わらせず、単発の実践だけにとどまらせず、中長期的に組織に実装することを目的に、全国の地方事業者さんのもとに直接伺い、お手伝いをさせていただいています。
サービス領域としは、マーケティング戦略を全方位でカバーしています。理念(MVV)・市場分析〜事業戦略・ブランド戦略・マーケティング戦略が一気通貫で考え、具体的な戦術に落とし込んでいき、戦術実践のマネジメントまでお手伝いさせていただいています。
Chapter/0 はじめに
特に私が主戦場としている地方はヒト・モノ・カネなどの経営資源のほとんどが足りていないにも関わらず(というかそのせいか)、成果を出すための難易度が非常に高い領域だと思っています。
特に人については問題が深刻化しているため、対応策としては「1人で何役もこなす」か「組織の機動力をあげる」ことの2択(もしくはどちらも)となります。
そんな中、私自身、マーケティングによって事業や経営の成功確率が高まればいいな・・・!と思い、そのために持っている知識・情報をできるだけ開示するのが責務なのではないかと感じ、このnoteを書くことにしました。
以下が目次です。
Chapter/1 発端はここから
noteを書こうと思った発端は戦略ごっこの著者である 芹澤さんの↓のポストからでした。
エビデンス思考の組織が作れるかどうかのステップは、「事実のインプット」→「事実による思考フレームのアップデート」が本質だとポストされています。
これは、例えば
「STP分析」に準じて年代・性別を区切らなければならない
「ペルソナ」を精緻に作らなければならない
「カスタマージャーニー」をきちんと作らねばならない
といったような既存のフレームワークに当てはめた実行だけではなく、ときには既存のフレームやロジックを否定してでも自社に合った「事実ベースの思考フレーム」が必要になると言うことだと解釈しています。
上記の例は、
年代・性別でセグメントするのは懐疑的(年代・性別とブランドの認識は整合しないケースも多い)
ペルソナやカスタマージャーニーは「マーケター(ブランド側)が見たいこと・実現したいこと」に寄ってしまうケースが多い
と言った所感を持っています。
では「事実を受け入れる」また「事実ベースの思考フレームを受け入れる」にはどうすればいいのか?については具体的な例を戦略ごっこから抜粋し、次の章でご紹介してみようと思います。
Chapter/2 事実を受け入れるとは?
では「事実を受け入れる」とは具体的にどうゆうことか?を戦略ごっこから一部抜粋してご紹介していきたいと思います。
事実を受け入れるとは、「すでにマーケティングフレームとして存在しているから」と思考停止になるのではなく、主観的な希望や予測、感情による歪曲を排除し、現実をそのまま理解しようとするフラットな思考が求められます。
以下に2つの事例をご紹介します。
ファンマーケティングの誤解(シェアごとの成長源泉)
上記はブランドの規模によって、浸透率(新規利用顧客の増加)とロイヤルティ(既存顧客のエンゲージメント向上)が成長に及ぼす相対的な影響は変わってくる(田中,2017)、というエビデンスです。
シェアが小さなうちは、浸透率の影響が大きい。特にシェア5%までの小さな成長ブランドの場合、成長の92%は浸透率の上昇からきている
シェアが30%以上ある成長ブランドでは、増加分の半分近く(46%)が購入頻度の上昇からきている
大きなブランドになるほど、既存顧客のロイヤルティやマージン成長(WTPやLTVの向上など)が相対的に重要になっていくが、小さなうちは顧客基盤の拡大によるボリューム成長が何より重要
マーケティング系のメディアでは「ファンを大切にした結果、売上が増加」「顧客1人ひとりの声を聞くことの大切さ」のような見出しやコピーが印象に残りがちですが、ロイヤルティが成長に及ぼすのはシェアが30%以上あるブランドであることが多い、ということが言えます。
つまりシェアがまだ高くない新興ブランドがリソースを割くべきは「浸透率(新規顧客の増加)」と言えるわけです。これがわからないままに通説を参考にしてしまうと痛い目を見てしまいます。
パレートの法則の限界
実際、パレートシェアはデータを集計する期間によって変動する。全員が1回しか買わないような短期間で集計すれば小さく出るし、長期になるほど大きくなっていく、というエビデンスです。
大まかな傾向として、1年スパンだと50〜60%、5年や6年と言った長いスパンになると60〜70%となり、オリジナルのパレートシェアに近づいていく
上位20%が売上全体の80%近くを生み出すというのは、相当長いスパンで捉えたときの話
パレートの法則(Pareto Principle)、または80/20の法則とは、「結果の80%は原因の20%から生じる」という意味で、この法則はイタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートによって提唱され、マーケティングの業界でも古くから信じられていた法則です。
しかし、実際のブランドの売上を重ね合わせてみたところ、2:8が成立するのは現実的に難しいという結果となりました。そのため、単純に「今のコアユーザー2割で8割の売上を作っていきましょう」と言った施策は仮説としてあまり精度が高くないかもしれないとも言えます。
これらの事実は戦略として、「誰をターゲットとするか」「ターゲットにどんな価値を伝えていくか」「どんな手段で価値を伝えていくか」の根幹部分をそもそも間違えてしまう可能性があるため、既成事実(規定のフレームワーク)よりも事実を元に意思決定しなければならないと思っています。
Chapter/3 事実を受け入れてもらうには?
では次に、どんな流れで事実を受け入れてもらうといいのか?また、事実による思考フレームのアップデートを行うにはどうすればいいのか?についてまとめてみます。
結論、以下の3つアクションが有効だと思っています。
それぞれ順を追って説明していきます。
1:自社独自の定量調査/定性調査を実施する
ここで伝えたいのは、「アンケートを取ることが目的」ではなく、まずは事実を知ることが目的であるということです。
例えば、弊社が実施したほうとうのアンケートの一部(下記キャプチャ)についてですが、「ここ1年でほうとうを外食で食べたことがある人は18.6%」という事実、そして「ほうとうののイメージは“郷土料理”」という事実がわかります。
もしこのアンケート(事実)を明るみに出さぬまま議論を進めていたら、「ほうとうは結構食べられていると思う。30%ぐらいは食べられているんじゃないか?」や「ほうとうのイメージを家族に聞いたら外食でよく食べているイメージだった」などの、メンバーの一部の主観で見えているほうとうのイメージをベースに議論が進んでしまうことがあると思います。
これではファクトベースではなく、メンバーの誤った思い込みや主観によって施策が進んでしまうリスクもあり、これを防ぐのがアンケート(客観的な視点)だと思っています。
↓ほうとうのアンケートレポートはこちらから
みんなが同じ目線になるよう、合意形成のツールとして定量・定性調査はとても重要な役割を担っています。
2:成果が出ているときに合意形成をとる
続いて2つ目は成果が出ているときに合意形成をとる、ということです。
逆に事実が受け入れられない、もしくは事実を受け入れるかどうかの議題そのものを話せないときは、大抵の場合、業績がうまくいっていないときだと感じています。
ここで売上と組織課題の関係性について考えてみたいのですが、「組織課題が顕在化する」→「売上が下がる」の順ではなく、「売上が下がる」→「組織課題が顕在化する」という順なのではないか?というロジックです。
そのため、できるだけ成果が出ているタイミングで、「成果が出ているのはxxという仮説がうまくはまったんだと思います!これはアンケートの実施〜戦略を立てたのがうまくいっていると思うんですよね」と伝え、「これまでの行動・プロセスを肯定し、次回も同じような取り組みを行いましょう」と合意形成をとることが大切だと思っています。
3:ときには権威性に頼る
権威性とは、特定の個人・団体または情報が信頼され、尊重される程度を指す言葉ですが、多くは「知識や経験・地位・実績・信頼性」などに基づいて形成され、その分野において他者に影響を与え、説得力を持つことです。
最後はときには権威性にも頼るといいでしょう、ということなのですが、ここでの権威性はキーマンによって違うと思っています。
ある人は学歴や社歴のすごい人に権威性を感じるし、ある人はSNSのフォロー数、YouTubeのチャンネル登録数であることもあるし、テレビで見たことがある、という人もいます。
具体例を挙げてみます。
以上が権威性一覧です。
結果、合意形成が取れればなんでもいいのですが、大切なのは組織のキーマンはどの権威性に強い関心を持っているか?どんな権威性を出せば話が前に進むか?というところを考えていけるといいと思っています。
Chapter4/地方にマーケティングを実装させる、ということ
最後に私自身がドメインを置く「地方」についての現状を書いて、このnoteは終わりにしたいと思っています。
これから地方に起こる最悪のシナリオ
これからの地方はただでさえ少ない経営資源である「ヒト・モノ・カネ」がさらになくなっていくことになると思います。
現状は上記のような資源が数十年後、もしかすると数年後には👇のような状況になっているかもしれません。
少子高齢化・人口転出による人口減少、物価・原価高騰による利益の圧迫、その結果売上減少・借入額の増加など、非常に難度が高くなっているのが地方ビジネスの実態だと思っています。
地方に求められている人材は「地下総合格闘技」型人材
ではどのような人材が地方に向いているか?必要か?というと、以下のようにカテゴライズしてみました。
ここでは地方と都会の優劣の話をしているのではなく、「求められる役割が違う」ということだと認識いただけると嬉しいです。地方はある種スタートアップに似ていて、何かが決まっているようで何も決まっていないということが多々あります。
スタートアップと違うのは、「地域コミュニティなどの固有の利権・既得権益があること」「圧倒的に伸びる市場性はない(むしろ衰退する可能性が極めて高い)ということ」「数百年・数千年の歴史・文化・慣習がある(良くも悪くも)」くらいで、あとは一緒だと思っています。
その上で、地方に求められている人材とは以下の5つなのではないかと考えています。
非常に求められるものが多いとは思いますが、やりがいがあることは自信を持って言えるし、まだ体がバリバリ動くわれわれ現役世代が次の世代にバトンを託す責務があると思っているため、これからも率先垂範してロールモデルになれるよう、精進していきたいと思います。
ぜひ、HONEを頼ってください!
最後に「事例はよく理解できたけれど、やっぱりまだよくわからないなぁ」という方には無料壁打ちサービスもやっています。もしご興味があればぜひご活用ください!
その他、弊社サービスはこちらにまとめています。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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