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鍛えると頭が良くなると言われている「2つの能力」

《鍛えると良いと言われている「2つの能力」とは?》


結論からいうと「クリティカル・シンキング」と「ワーキングメモリ」です。今回は、その2つについて、調べた結果を軽くまとめた記事です。

クリティカルシンキングは、情報を鵜呑みにせず、客観的に物事を見ようとする能力。ある情報の穴を見つけたり、他の可能性を探ったりする事で、他の人が思いつかないようなアイデアを得る事ができるようになる。

ワーキングメモリは、いったん覚えておくべき事を覚えておく能力で、作業台の広さのようなもの。作業台が広ければ広いほど、ハサミやえんぴつ、消しゴム、ノートなど、どんどんものを置いておける。それと同じように、ワーキングメモリを鍛えると、多くの情報を一時的に保持する事ができるようになる。
慣れている事や簡単な学習の場合、ワーキングメモリはそれほど必要ないですが、新しい事や複雑な学習の場合、ワーキングメモリを鍛えないと難しい。新しい事や複雑な事ほど、あらゆる情報を保持しないといけないからです。

《知的複眼的思考(苅谷 剛彦)》

クリティカル・シンキング」に役立つと思われる書籍。
常識に縛られた物の見方(単眼思考)
・単眼思考では、いつまでも自分の頭で考える事はできない
物事を多角的に捉えて考え抜く=知的複眼思考法
・知的複眼思考法に必要な「3つの力」
「情報を正確に読み取る力」
「物事の道筋を追う力」
「自分の論理をきちんと組み立てられる力」

マジックワード=自分で考える事を邪魔する言葉
例:バブル経済、偏差値教育など
→平易な言葉で定義して、自分で論点を整理する。精緻化。
偏差値教育という時、偏差値は学力を指すと暗黙に了承されているに等しい。しかし、本来は、偏差値という言葉には、学力という意味はない。非常に抽象的で、かなり掘り下げないとその実態が見えてこない。自分の頭で考えながら、それを掘り下げていく必要がある。重要なのは、偏差値教育の批判をしている人の意見に賛同する事ではない。「Aという人も言っていた!私はそれに賛成だ!」これではけっきょくのところ、自分では考えていないので、批判的な思考を実践できていない

「エリート校の出身者は、幼い頃から過酷な受験戦争を勝ち抜いてくる。その過程で他者を蹴落としている。したがって友達を作る事が下手だ」さて、これをどう考えるか?
・暗黙の了解
・意見と事実の区別
・明確な根拠か?単なる憶測か?
など、様々な要素を意識しながら読書をする事で、より自分の頭を使った読書になる。もし、何も意識しないで、明確な根拠もなく受け入れているなら、それは単眼思考の可能性がある。

ワーキングメモリの「3つの活躍」


・情報に優先順位をつける
・重要な物事に集中する
・物事を素早く考える
などに役立つ。
メールやSNS、ネットのニュース、テレビ、勉強、締切の近い課題など、日常生活のあらゆる物事に優先順位をつけて、処理する事ができるのは、ワーキングメモリが機能するから。
「重要な事を優先し、それ以外の事は余裕が生まれたらやる」という判断できる。
また、ある作業に集中する時に、ついつい他の事が脳裏をよぎり、作業を中断して、遊んでしまいそうになる時に、優先順位を考えて、誘惑を振り払って集中できるのも、ワーキングメモリが機能しているから。
さらに、誰かと話している時に、何か質問を投げかけられた時に、それに対する適切な回答を素早く考えて答えられるのも、ワーキングメモリが機能して、相手の質問の意図にそった回答を導き出す、つまり、情報の優先度を決めて、一番高い情報を適切に導き出している。


ワーキングメモリが上手く機能しなくなる「3つの原因」

様々な要因がありますが、ここでは3つに絞って説明します。
・膨大な情報に飲まれる
・時間に追われている感覚
・プレッシャーを感じる時
私たちは日々、テレビやスマホ、パソコン、新聞などのメディアから、様々な情報に触れています。SNSで友人の近況を知ったり、ニュースで現在の社会の動向を知ったり、ポジティブな情報やネガティブな情報など、様々な情報を常に見続けているでしょう。
しかし、片時も情報から離れない状態を作ると、混乱してワーキングメモリが上手く働かなくなってしまいます。そして、本当に大切な情報を見抜く事ができなくなり、あまり効率的に時間を使えていない感覚になります。膨大な情報に触れているのにも関わらず、振り返ると、その割には、大した事ができていなかった、なんて事もよくあるのではないでしょうか?
また、予定などを詰め込んで、いつも忙しい状態だと、ワーキングメモリに大きな負荷がかかります。この状態が続くと、衝動的な行動をとりやすくなってしまい、暴飲暴食などに手を出してしまう事があります。
また、何かの発表や重要なイベントの時など、強いプレッシャーを感じる場面でもワーキングメモリに大きな負荷がかかり、練習では良い成果が出せそうだったのに、いざ本番では実力を発揮できずに、失敗してしまい、せっかくのチャンスを活かせない事が起こり得ます。


《ワーキングメモリの鍛え方(一例)》

少し難解な書籍の読書
SNSなどの比較的簡単で短い文章では、ワーキングメモリを使わなくても理解できてしまう。それに対して、少し難解な書籍を読むと、文章を理解する時にワーキングメモリを活用しなければならなくなる。中盤以降は、序盤に書かれていた内容を保持していなければ分からない事もあるので、必要に応じて情報を引き出す時に、ワーキングメモリを鍛える事ができる。ただし、難解すぎるとそもそもモチベーションが続かないので、自分の能力よりも少し高い難易度の書籍を選んだ方が良いだろう。
話は逸れるが、ブログなどのコツとして、「文章は、短くまとめて、なるべく読みやすいように改行を多めにしよう」というものがあるが、おそらく、多くの人に読まれるようにするには、当然、ワーキングメモリがそれほど高くない人にも読まれる必要がある。
まったく改行がなく、長文の場合、当然、読むのが大変なので、ワーキングメモリを使わなければならない。ワーキングメモリが鍛えられていない人には苦行に近いものだろう。当然、敬遠される。
それを防ぐためにも、「読みやすく分かりやすい文章を心掛けましょう」というアドバイスは、理にかなっているといえる。
まあ、ここまで文章を読んでくれた皆様は、きっとワーキングメモリが高い方たちだと思います。でなければ、たぶんすぐにブラウザバックしてますからね。
より能力を鍛えるためにも、難解で読みにくい文章に出会ったら、「どうしたらもっとワーキングメモリを使わなくても読める文章になるか?」という視点で、考えてみるのはどうでしょうか?


《参考文献》

知的複眼思考法―誰でも持っている創造力のスイッチ(苅谷 剛彦)
多面的な視点から、自分の頭で考えるための訓練について語られている。
・読書法
・作文技法
・問いの立て方
・論理の展開の仕方
など、非常に参考になる項目も多い。この本は知識として知っているだけではいけない。しっかりと実践する事が重要。
そして、何より一番大事なのは「私は、この書籍を疑っている!」と揚げ足を取りをした程度で得意げにならない事だ。本人は「我、してやったり」と思っているかもしれないが、ただひたすらに痛々しいだけ(かつての自分の事)。
例えるなら、数学の合同を証明する問題の回答に「もし、この図形が合同でないなら、わざわざこんな問題を作ったりはしない。よって、この図形は合同(Q,E.D.)」と本気で書いてしまうようなものだ(かつての自分の事)。
思い出すだけでも、心が痛いが、今となっては良い思い出だ。「Q.E.D.」(証明完了という意味)という覚えたての言葉を使ったり、「私はこの問題に対する素晴らしい証明方法を思いついたが、余白に書くには狭すぎる」と書いてみたり、「パスカルの賭け」の文章をパロディしてみたり、「i(虚数の単位)は、虚しい。よって、愛は虚しい。いや、I(電流の大きさを表す単位)は痺れるような衝撃が起こるに違いない」と冗談を言い合ったり、色々やってたなぁ・・・この「知的複眼思考法」を見ると、それを読んでいた頃をノスタルジックに思い出してしまう。
話が逸れてしまった。この「知的複眼思考法」は、2002年に出されたもので、書かれている内容自体は、少し古い。ただ、知的複眼思考法の考え方やスキルそのものは少しも古びていないと思う。知識は時代と共に古びる事はあるだろう。しかし、考え方やスキルは残り続ける。まあ是非、読んでみてほしい。
クリティカルシンキング」は、後天的に鍛えられ創造性などに活かせるものらしい。この書籍は、物事を多面的な視点から見て、自分の頭で考えるための技法を解説しているので、きっと役に立つと思われる。
かつて、師が私にオススメしてくれたように、今度は、私が皆さんにオススメしたい書籍だ。

脳のワーキングメモリを鍛える! 情報を選ぶ・つなぐ・活用する(トレーシー・アロウェイ )』
あらゆるスキルの上達速度を上げるものが「ワーキングメモリ」と言われている。IQが高くても、ワーキングメモリが低いと、いい成績が取れなかったり、IQが低くても、ワーキングメモリが高いと良い成績が取れたりするらしい。
また、親の収入が高い方が、IQは高くなる傾向にあるらしい。なぜなら、IQが高くなる環境を整えやすいからだ。
しかし、ワーキングメモリは親の収入には関係がそれほどなかったらしい。貧しい家庭の子供でも恵まれた家庭の子供でも、ワーキングメモリに大きな差はなかったらしい。
つまり、ワーキングメモリは、どんな人にでも、伸ばせる可能性のある能力といえる
著者のトレーシー・アロウェイは、教育とワーキングメモリに精通しており、国際的にも高く評価されているAWMA(アロウェイ・ワーキングメモリ・アセスメント)を開発したという。そんな著者の書籍は非常に参考になる。

倍速上達法~2倍速で何かを身につけるには(メンタリストDaiGo)」
この動画では、ワーキングメモリについて、詳しく説明されている。
具体的な内容としては
・新しい事を身につけるのに役立つ
・学習転移の解説
・学習転移が起こるたった「一つのもの」
・無料のアプリで鍛えられる「DNB」
非常に参考になるのでオススメ。


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