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もし動く城があったなら、っていう話です。

子どもの頃、学校の図書室で夢中になって「図解シリーズ」というのを読んでいた。

世界のいろんな事物を小学生向けに図入りで解説した本だ。

なかでも強い印象を受けたのが、フランスのマジノ線の断面図だった。

家に帰って、いっしょうけんめいチラシの裏にそれっぽいのをまねて描いたっけ。。。

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マジノ線というのは、第一次世界大戦で甚大な被害を受けて懲りたフランスが、敵国であるドイツとの国境に沿って築いた要塞のことだ。

なんで「線」かというと、巨大な要塞が列を作って防衛線を形成していたから。

戦艦級の大砲を備え、厚さ3.5メートルのコンクリで覆われた108つもの要塞が、15キロ間隔で配置され、すべて地下鉄で結ばれていた。スゴイ。。。

ところが、第二次世界大戦が勃発すると、ドイツはマジノ線の正面には挑まず、北からぐるっと回って裏側に入り込むことによって、なんなく突破してしまった。

あっと言う間にフランスは敵に占領される結果に。。。

今日の聖書の言葉。

主は恵み深く、苦しみの日には砦となり 主に身を寄せる者を御心に留められる。
ナホム書 1:7 新共同訳

なんで防衛線を北まで伸ばさなかったんだろう、って不思議に思うんだけど。。。

マジノ線の北にはアルデンヌという鬱蒼とした森があって、湿地も多いから、ドイツの戦車はそこを通れないだろう、って予想されていたんだって。

なので、そこだけ要塞を築かなかった。

巨額の国費をかけて構築した超巨大要塞が、まさかスルーされるとは誰も思っていなかったのに、その「まさか」が起きてしまった。

超巨大要塞。。。小学生男子の心をふるわせる魅力があるけれど。。。最大の欠点は、固定されていることだよね。そのため、どこにも移動できない。

敵に襲われたら要塞に逃げ込めばいいわけだけど、もし要塞が100km先にあるのなら、自分は100km歩いて行かなければならない。

超巨大要塞が歩いて自分を助けに来てくれるわけには行かないんだ。

そういう意味では、宮崎駿の映画『ハウルの動く城』に出て来る歩行要塞は、理想的だよね!

あんなふうに動いて来てくれる要塞があったら、どんなにいいだろう、って思っちゃう。

けれど、今日の聖書の言葉は、われわれにとって「神」は、まさに動く要塞だ、っていうことを示しているんじゃないかと思う。

主は恵み深く、苦しみの日には砦となり
主に身を寄せる者を御心に留められる

不安や危険を感じるとき、100km歩いて逃避する必要はないんだ。超巨大要塞よりさらに巨大な「神」が、神のほうから近づいて来てくれる。

「助けて!」と叫んでからの待ち時間のギャップがあるわけではない。

叫んだ瞬間、「神」はもう・いま・ここに来てくれている。そして、自分は神のなかに入っている。神のなかに包まれている。

チラシの裏に描いた地下要塞の最深部の厳重に守られた場所よりも、もっともっと安全な場所に、いま自分が置かれている姿を、想像してみる。

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