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あなたのものは、わたしのもの。わたしのものは、あなたのもの。。。この関係に、同意する?

自分はクリスチャンなので、普通のひとよりも「いけにえ」という言葉を聞いたり書いたりする機会が多いんじゃないかなと思う。まあ、聖書に出て来る言葉だからねー。

でも、よくよく考えてみると、いけにえ、って怖い言葉だよね。ホラー映画のタイトルとかに使われるし。

国語の辞書的な意味で言うと、いけにえは、いけ+にえ。【にえ】というのは「贄」と書き、「神や朝廷に奉る、その土地の物産、特に、食用の鳥・魚など」(by Oxford Languages)なんだって。

で、生きている「にえ」が、いけ+にえ=いけにえ。【いけにえ】とは「人や動物を生きたまま神に供えること。また、その供え物」(by 大辞泉)ということ。やっぱり怖いじゃん!!!

今日の聖書の言葉。

こういうわけで、兄弟たち、神の憐れみによってあなたがたに勧めます。自分の体を神に喜ばれる聖なる生けるいけにえとして献げなさい。これこそ、あなたがたのなすべき礼拝です。
ローマの信徒への手紙 12:1 新共同訳

聖書を読んでると、神は無から万物を創造し・万物を所有し・万物を保持し・万物を統治している、ということが、くりかえし書かれている。つまり、世界と世界の外部にあるもの、すべて、ぜーんぶ所有しているのが「神」だ、ということになる。

理論上、存在しているもので、神に所有されていないものは無いことになるんだ。そこで、そもそも論なんだけど。ぜーんぶ所有しているんなら、神は人間から何かもらう必要ある? ってこと。これを考えると、いけにえ不要論に行きつくしかない。。。

まあ、考えてもわからないことではあるんだけれど。それでも自分的に思うのは、たぶん神は、いけにえ、そのものが欲しいわけじゃなく(だって、すべては最初から神のものなんだから)むしろ、いけにえ、を神にささげたいと思う人間の「こころ」が欲しいんじゃないのかなあ。。。

さっき、神は万物を所有している、と書いたけど、よく考えたら、神が所有したくても所有できないものが、ひとつだけあるじゃん!って思う。

それは、人間の「こころ」だ。神学的に言うと、神は人間に自由意志をあたえた。。。なんでそんな厄介なものをあたえたのよ?  べつに意志の自由なんてなくてよかったじゃん?  神が命じるまま寸分の狂いなく動作する人間を、どうしてつくらなかったの? という意見もあるかとは思うけど。。。

しかし、神は神のみが知る神の理由により、人間に自由意志をあたえることにした。で、結果、われわれは神から独立した存在として(ほんとうは神によって生かされているから完全に独立しているわけじゃないけど)神と関わりを持つことなく、自分の人生を、自分の望むように生きることができる。

極言すれば、無神論のほんとうの作者は「神」だ、ということになるのかもしれないね。この宇宙で、神は神だから、なんでもできる。でも、なんでもできる神であっても、宇宙で唯一、神ですら所有できない・支配できないのが、人間の「こころ」だ。

だから、人間が自発的に、自由な意志で「こころ」を神にささげようとするとき、神はよろこぶんじゃないかと思う。もちろん人間は、「これからオレのこころを神にささげます」って、ハートのなかで思念するだけで完結させることもできるけど。。。それよりむしろ、「これからこの『いけにえ』をトークンとして、オレのこころを神にささげます」というシステムが使われてきたんじゃないか、と思うんだ。

で、このストーリーは、逆の角度から見ることができるかもしれない。

人間は、自由な意志でもって人生でいろんなことをやれるし、実際やろうとするわけだけど。。。そのなかで唯一、人間の力ではどうにもできないのが「神」なんじゃないかと思う。人間は神を所有したり、神を思い通りに動かしたりすることは、できない。だって、神だからね。

しかし、神は願ったんだ。「神のすべてを人間にあたえたい」って。神は「これから神のすべてを人間にあたえる」と思念するだけで完結させることもできたんだろうけど。。。それだと、やっぱり目に見えなくて、わかりにくい。だから神は、目に見えるトークンとして、イエス・キリストの十字架と復活という出来事を使ったんじゃないだろうか。

神は神のすべてを、のこさず、あまさず、すべて、イエスというトークンを通して人間にあたえる。それを受け取るとき、われわれは神を所有する。そして、われわれは自分の「こころ」を、自分のからだというトークンを通して神にあたえる。神はそれを受け取り、神がわれわれを所有する。

こうしてイエスが言った、「わたしのものはすべてあなたのもの、あなたのものはわたしのものです」(ヨハネ17:10)っていう関係性が、神とわれわれ、われわれと神の間に、完全に成立するんだ。

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