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福祉・介護と「実習」 その1

 介護職になる人はほとんどが「介護職員初任者研修」「旧訪問介護員養成研修2級」を修了している。そして、3年の実務経験で介護福祉士の受験ができる。今回は『実習』について書きたいと思います。補足説明を入れておくと、「旧訪問介護員養成研修2級」はいわゆる「ホームヘルパー2級」のことで、この中にも実習はある。施設実習2日+デイサービス実習1日+同行訪問実習1日である。

 福祉や介護の現場で働くためには「資格」が必要で、さらに上を目指すためには実務経験を踏まえたうえでの「研修」「実習」が必要なことがある。
 社会福祉士でいうと「成年後見人研修」「相談援助実習指導者研修」などである。

 そこで社会福祉士を例に、人材育成、というか『実習』に焦点を当てて、3つの場面で考えてみます。
①資格をとるための現場実習
 ある程度は、学校で教えられているにしても、まだまだ『学生』。実習の内容も「見学」「体験」という形が多い。実習指導者を目で追いながら、どうしたらいいのかオロオロ。ただ、この段階では、学生も指導者も「社会福祉士になるかどうか」は分かっていない。実習生と指導者がコミュニケーションを取りながら、学びの再確認をしていく。

②就職してからの新人研修
 学生ではなく、社会人として「仕事」ができるように指導する。組織だったり、一般常識だったり、職場のルールだったりを理解を深めるようにする。利用者からみると『職員』であるには違いないから、変なこと(「僕では分からないから、他の人に聞いてください」等)を言わないように釘を刺しておく。ミスは多少はしょうがないと思うところはあるけれど、同じミスをしていると、注意してしまうよね。

③学生に対する実習指導
 経験を積んでいくと、組織としては、実習指導者として「後進の指導」としての役割が出てくる。
 これぞ社会福祉士の役目である。倫理綱領にも載っている。自分がこれまで経験してきたり、学んできたことを後輩にできる限り伝えていく。
 自分が『実習指導者』になると、学生の時には「どんな実習をしていたのか」を改めて考えてしまいます。そして、苦労というか「実習生に対するイライラ感や困り感」が分かって、ちょっと昔の反省をするかもしれません。指導者としては、もしかして「手のかかる利用者が増えた」と思っているかもしれない。(←言いすぎでした)
 因みに、「相談援助実習指導者研修」の受講要件としては、「社会福祉士であること」だけが条件ですが、実際に「実習指導者」として役割を果たせるのは「3年以上の経験」が必要とされています。

 実習の中では、実習生にどのように「社会福祉士像」を伝えるのかが大事になってきます。業種・職種で必要とされる技能は変わってきますが、利用者に対する責任や、秘密保持、コミュニケーション能力などを「専門職」として、どのように理解させ、考えてもらうのか、が大事だと思っています。どの「専門職」でも、同じことが言えるとは思います。

 僕が関わっている「相談援助実習指導者研修」に関していうと、修了後のアンケートで見てみると、「これからの業務に応用できることは何か」という質問に対し、「新人教育に活かせる」「職場内の研修に活かせる」という回答が毎年高くなっています。ということは、ある意味、実習の中だけでは、社会福祉士像を伝えることが出来なかったり、実習を終えて資格を取ったはずなのに不十分で、「もう一度指導する」必要があるのかな。ただ、相談援助の経験がない職員にとっては新鮮であるとは思います。
 また、職場内の研修に取り入れるということは、「社会福祉士としての役割」が十分に理解されていない状態なのかと、少し残念に思います。まぁ、働く職員は、職種は様々だから、それぞれの言い分があるとは思いますが。

 どんな人材が欲しいのかは、それぞれの業種、職種によって違っています。社会人学生では、技術や経験があるので、即戦力になりやすいが、見てみないと分からない。「実習」や「研修」での様子を見て、分かってくることもあるとは思います。

 「じゃあ、実習指導ってどうやるの?」と思うのなら、各都道府県の社会福祉士会で開催している「相談援助実習指導者研修」を受講することをおススメします。社会福祉士であるのなら、そのほかの研修にも参加してみてはいかがですか。(社会福祉士会に入会していないのなら、入会をしていただけると嬉しいです!)

 まだ、少し書き足りないので「その2」に続けたいと思います。
 よろしくお願いいたします。

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