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西武池袋本店でのストライキは労働者の権利、エンパシーで行動を尊重しませんか

そごう・西武が外資ファンドに売却される件に関して、雇用の継続等を求めて反対の立場にある同労組が本日8月31日西武池袋本店での全面ストライキに突入しました。
それを受けて、開店困難とした百貨店側は同日の休業を決めています。

このストライキは百貨店としては1962年以来61年ぶりということで、大々的に報道されていますが、果たして世間はどう見ているのでしょうか?
いや、メディアはどういう論調で報道しているのでしょうか?

僕の見た感想ですが、どうもストライキをする側が間違っていると誘導するような論調が多いように思えます。

「毎日来ていて生活の一部なので不便」
「突然休業するなんてショック!
「私たち顧客のことを考えているのかな?」
「埼玉から来るには池袋は便利だったのに」
「明日、閉店だと聞いたので、今日来ました!」

町の声としてこんなようなものばかり紹介しているようでした。

また、そうした「町の声」に合わせて報道されている論調はこんな感じです。

組合側とそごう・西武の主要株主であるセブン&アイ側の交渉決裂の結果、
・組合側がストを決行した。
・百貨店としては61年ぶりのストライキが決行される
・しかも西武池袋店は大型店舗でストライキの影響は大きい
・休館日前日には多くの顧客が列をなして来店している

いいですか?
ストライキは日本国憲法で認められている労働者の立派な権利なんです。
先進国ほどこの労働者の権利は保障されていて、労働者が経営側と同等レベルで権利を主張して闘うことが認めらています。
こうして法律で認めない限り、利益最優先の経営者側は好き放題しがちだからです。
構造的に弱い立場にある従業員・労働者が虐げられるのを見過ごしていいんですか?
ストライキに異を唱える町の人は、みんな経営者側なんですか?
そんなに裕福なんですか?

これまで61年間もストライキをして来なかった百貨店業界はそれほど儲かっていたのか?
従業員に還元できていたのか?
と考えるべきなんです。

そういえば、僕が子供の頃はよくストライキのため電車が止まっていたような覚えがあります。
それが、久しくストライキを目にすることは無くなったような気がします。

元々ストライキとは労働組合側が先導して団体交渉として経営側に対して実施するものなので、そもそもの労働組合が低調の現代においては、ストライキをする母体自体が揺らいでいるのかもしれません。

また、労働組合運動というもの自体がなんだかアナクロであまりよくないイメージと結びついてしまっているような気がします。
ヘルメット被って、タオルで顔を隠して、立て看持って叫んでいる。
そう、左派による学生運動なんかと同じイメージです。
確かに根っこは同じようなものだとは思いますが(乱暴な括り方ですみません)、
本来はそういう、極端に尖った人達のものではないはずです。

こうしたこの数十年の風潮は、政治に対する話はしない、意見は言わない
というものと同根のような気もします。
ソフトな空気の醸成と同調圧力です。

「労働組合なんてやっている奴は碌なもんじゃない」
実際そういう空気が僕が就職活動をしている時にはありました。
僕の大学時代のゼミは労使関係論でした。
労働組合運動とニアリーイコールと認識されているような分野です。
具体的な主張があってということは全くなく、単に人気がなく入りやすかったゼミを選んだら労使関係だったというだけです。

そのため就職活動では苦労しました。
「ゼミは何をされていましたか?」
「労使関係論です。卒論は電気労連の歴史についてでした」
「・・・・はい、ありがとうございました」

繰り返しますが、ストライキは労働者の権利です。
なんでもかんでもストに持ち込めばいいという訳ではないですが、
これだけは最低限死守しないといけない、そういう労働者の不利になるような時には労働者側が正当に闘う武器としてストライキは活用すべきです。

そのためには、やはり昭和から引きずっている労働組合の悪しきイメージを払拭して、労働者が今の社会にあった形で団体交渉をするための器を作っていった方がいいのかな、と思ったりもします。

もちろん、労働組合そのままでもいいんですけど。
「労働組合の幹部たちの目的が政治活動であって、代表すべき従業員・労働者の意見は反映されているものではない」
という意見はまた別の話になりますので、ここでは考慮していません。

あとは、少なくとも先進国に生きる成熟した市民であるべき日本国民としては
ストライキの報道に関しては、賛同の立場を取るようにして欲しいと思います。
「百貨店業界?関係ないし」
はい、今は関係ないかもしれないですが、あなたが経営者でない限り、明日は我が身です。
どうしても嫌なイメージもありますがいい言葉が他にないので使います。
労働者は業界を超えて「連帯」しないといけないんだと切に思います。

やっぱり、違う言い方もしてみます。
少し前にブレイディみかこさんの著書でも話題になっていた「エンパシー」です。
他者への共感です。
立場や仕事、年齢や育った町、趣味が違えば他者へのシンパシーがないのも当たり前です。
でも、相手の少しだけ想像力を働かせて、他者の立場になって考えてみる。
それが「エンパシー」です。

労働者の権利であるストライキに至った今回のそごう・西武の労働者の皆さんに、
エンパシーをもって今回の行動を尊重しませんか?

経営者に、権力者に、好き放題いいようにされてばかりでいいんですか?

<了>

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