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坂本龍一さん

今朝目が覚めてiPhoneを開いたら坂本龍一さんの訃報が届いていた。
昨夜は床に入るのが早く、朝まで知らなかった。

ガンには勝てなかったか。
71才、まだまだクリエイティブだったはずで残念だ。

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アクティビストとしての坂本龍一さんは、若い時の破天荒な多くの逸話とは真逆に、40代半ばを過ぎた辺りから積極的に声を上げ、自らも運動に参加されるようになった。
「音楽家は音楽だけ演っていろ、政治的な発言なんて聴きたくない」
昭和の時代から政権与党が国民統治政策の1つとしてに刷り込んできた常識を覆すように、あえて批判にさらされながらも声を上げ続けてきた。

普通の人が口を出すから民主主義、職業に関係なく誰もが声を出せる社会じゃないといけない

35年前の忌野清志郎さんの時代から、何も変わっていない。
言わないでいることの罪。
日本の芸能ムラにいる限り、その立場も危うくなるかのようなそうした政治的な立場の表明を、坂本龍一さんは距離を置いたニューヨークに住まわれていたからこそ出来たのかもしれない。

そんなアクティビストとしての坂本龍一さんの言動を尊敬する。

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芸能人としての坂本龍一さん、1995年にダウンタウンのGEISHA GIRLSに参加してから、ダウンタウン関連の番組を中心に、意外にもお笑い好きな一面が出てくる。
特に松ちゃんのコントネタのアホアホマンに扮して出てきた時には、目を疑った。
関西出身でダウンタウンとは同学年の僕にとっては、なんだかうれしくなってしまう。
でも、今から思えば<2001年にはNHKのイエロー・マジック・ショーでどてらと老けかつらを被って3人だけでゆるくRYDEENを演奏しているし、
YMO全盛期にも、当時最先端のコントユニットのスネークマンショーとアルバム「増殖」まで作っていたっけ。

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音楽家、芸術家としての坂本龍一さん、これが表の顔だろう。
クラシカルなピアノ曲や器楽曲、からポップス、ビート音楽、ワールド・ミュージック、アンビエント、さらにはエクスペリメンタルな実験音楽にまで触手を広げて、そのクリエイティビティは限界を知らないようだった。
どの坂本龍一が好きか?
それは僕にとっては、どの時代のビートルズが好きか?という問いより難しいかもしれない。

さっきディスコグラフィを眺めていて考えていたが、今の気分としては2004年の「CHASM」を挙げたい。
2009年の「OUT OF NOISE」でもいいけど、そこまで行ききっていない大衆性や2004年当時の流行のビート、そして以降盛んになるアンビエント、フィールドレコーディング、実験音楽などの融合がいい具合に取れていたと思う。坂本龍一さん本人はCHASMの出来があまり気に入らなかったので、続編を作ろうとされていたようだが。

そして、「CHASM」から1曲を選ぶとすると、デヴィッド・シルヴィアンとの5曲目「World Citizen -I won't be disappointed- (looped piano)」にしたい。
あえて、坂本龍一さんがメインで作曲をしていないが故に、そのロマンチシズムと前衛性が出ているのではないかと思う。

13曲目にもう一度「World Citizen/re-cycled」として別バージョンが収録されているが、そちらでは後に再結成YMOで若きキーパーソンの1人になる小山田圭吾さんのギターが印象的で、こちらも良い。

CDの方がカジュアルに聴けるから便利かな、と一度はキャンセルした「12」のアナログ盤を再度予約し直した。


坂本龍一さん、
安らかにお眠りください。


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