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Live Act Tulip!〜チューリップは日本の誇る偉大なポップロック・バンドです

こんにちは、makoto です。

今日はチューリップ(TULIP)の話をします。バンドのチューリップです。
残念ながら、高校生の息子に訊ねても、正直もはやバンドとしては認知されておらず、一部の曲、クラシックとなっている「心の旅」とか、CMソングの「魔法の黄色い靴」や「青春の影」を聞いたことあるかなぁ、くらいの感じです。うううぅ。。(泣)

しかしですねチューリップは、日本のポピュラー音楽の礎を作ったバンドもしくは日本語ロックを確立したバンドと言っても差し支えないだろうと個人的には思っています。それくらい偉大なバンドです。チューリップの前に日本語ロックはあらず、です。

日本語ロック論争といえばはっぴいえんどです。
1960年半ばにビートルズに影響されたバンドブームがGSグループ・サウンズとして日本にも上陸して数多くのバンドが生まれますが、基本的にはテレビに出てヒット曲を目指すうちに歌謡曲化していき、その後はっぴいえんどが出てきます。彼らのサウンドはもっとアーシーというかフォークやカントリーなどのアメリカンミュージックをルーツとした歌謡曲とは一線を画した音楽性でした。はっぴいえんどより1年ちょっと遡ること1968年に「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」でデビューしていたザ・バンドの影響をモロに受けていたんだろうな、というロックな日本語の歌詞を乗せたスタイルが日本語ロック論争を巻き起こしました。

チューリップは、1970年に福岡で財津和夫さんを中心に結成され、1971年にはデビュー時の黄金のラインナップとなり、翌1972年上京し、同年6月に「魔法の黄色い靴」でメジャーデビューしています。
はっぴいえんどが日本語ロック論争を終わらせた=日本語ロックを確立させたと言われる名盤「風街ろまん」をリリースしたのが1971年11月なので、わずか7ヶ月後にチューリップは「魔法の黄色い靴」でデビューしたことになります。

チューリップは初期には日本のビートルズと言われた頃もありましたが、リーダーの財津和夫さんはビートルズの音楽をどうやって再現して自分たちのオリジナルの音楽として昇華出来るのかをメチャクチャ意識していたと思います。
1976年にリリースされたアルバム「すべて君たちのせいさ All Because Of You Guys」は、ビートルズのカバーアルバムですが、サウンドは完全コピーに近く、それでいてオリジナル曲と大差ないほどバンドとしては自分たちのサウンドが出来ていたんだと思います。

で、デビュー曲の魔法の黄色い靴ですが、タイトルやジャケットのイメージからして、ビートルズの「イエロー・サブマリン」を意識しているのが分かります。

チューリップ「魔法の黄色い靴」

魔法の黄色い靴のサウンドはコーラスワークなどにビートルズぽさを残してはいますが、オリジナルの音楽としか聞こえません。
今の耳で聞いても全く古びておらず、ブリッジからサビへのコード展開やメロディもフレッシュな輝きに満ちています。
いったいどうしちゃったんだろう?というくらい魔法としかいいようのない曲です。ビートルズの影響が、なんて議論が吹っ飛んでしまうようなところまで一気に突き抜けていますよね。まさに偉大なポップロック・バンドたる一曲です。

チューリップのことを書くと、やっとデビューしただけでここまで文字数稼いでしまいました。
それくらい僕にとっては中学1年からバンドをはじめたきっかけになったバンドの1つで、とてもとても大事なバンドです。
この記事のカバー画像は、現在手元に残っているレコードで、他のレコードは人に貸したままだったりして何度かの引っ越しでどこに行ってしまったのやら。

チューリップは、オリジナル・メンバーから何度かメンバーチェンジをしていて、今も活動しているんでしょうか?
最近の動向な全く追いかけていないので判らないのですが、僕にとってはオリジナル・メンバーと2世代目のラインナップだけがチューリップです。
残念ながら、当初からその独特の楽曲を彩ってきたギタリストの安部俊幸さんが2014年に他界してしまったため、もうどう転んでもオリジナルメンバーでの演奏は見ることができなくなりました。

で、この後の原稿はまだ安部さんが存命中の2010年に、だいぶ前に閉鎖した別のブログ・サイトに書いていたテキストを、13年前のテキストなのですが、自分でもその熱量が面白いので一部修正して掲載します。ご容赦下さい。

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Live Act Tulip!
あけましておめでとうございます。(注:1月2日の原稿でした)
西日本では寒波襲来でかなり寒いことになっているようですが、関東地方では無事おだやかに晴れたお正月を迎えることが出来そうです。
さて、今日は少年期に影響を受けた音楽・アーティストということで、前回はKISSをご紹介しました。
そしてもう1つ絶対に忘れてはならない、幸か不幸か、本人の望むと望まざるに関わらず血肉となってしまっているバンドが、はいチューリップです。
昨年は何度目かの再結成の挙句の本当に最後のラストコンサートがあったので、NHKでも何度か特集されていました、あのチューリップです。
一時は、チューリップ、甲斐バンド、オフコースの3大バンドでどれが好きか、なんて派閥争いもあったりなかったり、音楽性を図る1つのものさしになっていたりもするんですが。。。。
オフコースは小田和正さんのご活躍ぶりおかげもあってまだまだ有名ですが、チューリップに至っては完全にOver40でないともはや駄目なんではないでしょうか。
かろうじて楽曲単位では、ひとつ屋根の下の主題歌だった「サボテンの花」とか「虹のスニーカーの頃」なんてヒット曲もあり(古くからのファンの間では今ひとつの評価だったりもしますが)、そうした曲で覚えられているケースはあるかもしれません。
そんなチューリップは、自分にとっては音楽の原体験たる存在です。
そうそう、ギターの安倍さんと誕生日が同じ3月14日というのも自慢話の1つです。
チューリップといえばライブ。実はライブバンドなんです。単なるコンサートではなく、そこに参加するというイベント性盛りだくさんの野外ライブや照明まで含めた総合演出としてのスタジアムライブなんてことを、おそらくかなり早い時期からやっていたバンドなのではないでしょうか。
史実として詳しいことは分かりませんが。「Live Act Tulip」というタイトルでライブが催されていた初期~中期は、ちょうど中学生から高校生の時期でしたから、ライブにも何度も足を運びました。
当時住んでいた大阪では万博記念公園なんかでよく夏のイベントもやっていました。
チューリップの曲はたくさん、たくさんコピーしました。
最初に買ったエフェクターも安部さんと同じ音を出したくて選んだBOSSのフェイザーです。これでカッティングすると一気に気分は安部さんでした。
そんなライブの模様は多くアルバムとしてリリースされているんですが、残念ながらその多くは入手困難になってきているようです。
オススメは「Live Act Tulip Vol.2」 です。
日の丸弁当ジャケットのアルバム「日本」でB面の半分を占める10分を超える大作「組曲:甲子園」をライブで完全再現していたり、「風のメロディ」という曲のサビの部分はジグソーの「スカイハイ」そのまんまやん!というようなのもあります。


そういえば、チューリップは初期にはビートルズの影響をすごく受けたバンドなんですが、だんだんと自分達のオリジナリティを出しつつ、そのときそのときの流行の音を取り入れていくのもとても上手でした。たまに「そのまんまやん!」というのもありました。
10CCの「Donna」にそっくりの「ともだちのあなただから」とかもありましたね。そのDonnaはビートルズの「Oh Darling!」をパロっているんですけどね(笑)。


スタジオアルバムもヒット曲網羅なんて感じのやっつけではなく、コンセプトアルバムが多かったように思います。
リアルタイム真っ只中で聴いたアルバムは1979年リリースのアルバム「Someday Somewhere」です。(追記:カバー画像 上段右のアルバム)
なんと2枚組です。チューリップのホワイトアルバム的存在です。
発売日に近所のレコード屋で買ってきて、どきどきしながら針を落としてしばらくは「地味だなぁ」と思った記憶があります。
いわゆるポップな曲は少なくなったようですが、バラエティにとんだ曲が入っています。ちょっと財津さん色が強いんですかね。
この後しばらくしてメンバーチェンジしてしまうんですが、そんなことも影響していたのかもしれません。
でも、姫野さんの「神様に感謝をしなければ」なんて名曲も入っています。
B面の「Give me a chance」という曲は、僕がはじめてバンドでキーボードを弾きながら歌った曲で、めちゃくちゃ練習した記憶があります。

最近は、昔のライブビデオがDVDでBOXセットとして再発されていたりしますので、是非初期~中期のチューリップに触れてほしいと思います。
すいません、自分が中期「The Love Map Shop」までは頑張ったんですが、その後宇宙の方というかスピリチュアルな方へ楽曲が変わっていき断念してしまいました。

(追記:カバー画像下段右側のアルバム。前述の「Someday Somewhere」の後にメンバーチェンジし、リリースされた最初のアルバム。オリジナル・メンバーからドラムの上田雅利さんとベースの吉田彰さんが脱退。上田さんはその後何度か再結成で戻ってこられましたが、吉田さんはこれっきり完全引退されて喫茶店経営をされていたとか。財津さんとの確執があったような話も噂で耳にしました。)

今でも何気にギターを弾くとチューリップコード進行になってしまうので、そういう手癖は封印しないといけないと。。。。
(追記:おかげさまで今はチューリップの手癖は封印出来たかもしれません笑)

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ちょっと昔に自分が書いたテキストは面白いですね。

皆さんも、是非チューリップの音楽を再発見してみて下さい。
Apple Musicなどの配信サービスだと初期の名曲を集めた「チューリップ・ガーデン」という名盤が聴けると思います。


それでは!素晴らしい Music Lifeを!

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