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教室で椅子に座っているときに、ガタガタゆらしたり、立ち歩いている。座るように注意すると座るが、繰り返してしまうのは、なぜでしょうか?

このような行動は多動として、子どもの怠け心や、親のしつけの問題にされやすいですが、療育の視点からみると、次のように考えることができます。
 
 私たちは机で勉強をするときに、同じ姿勢でずっといるわけではなく、活動に合わせて微妙に姿勢を調整しています。
例えば、ノートに板書するときには両手が使いやすいように背もたれから体を起こして少し前かがみになったり、ひと休みするときには逆に背もたれにもたれたりします。これは、まっすぐに体を保つ前庭感覚と、背中や足の筋肉の働き具合をモニターする固有感覚を使って、自分の姿勢を調整することで、勉強しやすくしています。
 
 これがうまくできない子どもは、じっとすることや、勉強にあった姿勢をすることが苦手になります。そして、姿勢の情報を脳が感じとれないために、より多くの感覚刺激を脳に送りこもうとして動き回るので、周りからは多動に見られてしまいます。
 この多動は、子ども自身がコントロールすることが難しいので、一方的に注意をすると、子どもの自己肯定感を低下させたり、イライラさせてしまうだけの対応になる可能性があります。
 
 対応のポイントとしては、
 
①動くことを保証する
椅子に座った状態であれば多少の姿勢の乱れは大目に見たり、エアークッションを敷いて感覚刺激を感じやすくしたり、または、授業中にプリントを集めてもらったり、発表や質問の回答を立ってしてもらうなど、積極的に動いてもらう状況をつくるのも良いと思います。
 
その他のポイントとしては、
 
②本人のペースに合わせた学習環境づくり
 自分が苦手なことをごまかすために、勉強とは別のことで注目を浴びて、承認欲求を満たそうとしている可能性があります。わからないことは周りに聴いたり、理解度に応じた課題に変更したり、本人のペースで安心できる環境をつくりましょう。
 
③安らぎホルモンのセロトニンを満たす
 タンパク質やミネラルやビタミンなどの栄養素が足りていないと、安らぎホルモンのセロトニンが作れず、交感神経を高めるノルアドレナリンやドーパミンが過剰になり、動き回っている可能性があります。セロトニンをつくるには、タンパク質+鉄+ビタミンB+ビタミンCが必要です、食事の栄養バランスを見直してみましょう
 
④睡眠の質と量を高めよう
 眠りの質が悪くて寝不足の場合は、じっとしていると脳が眠気に襲われるため、動くことで脳を起こそうとしている可能性があります。朝おきたら、太陽の光を浴びたり朝食をしっかり食べることで体内時計をリセットし、心地よく眠りに入れるようにしていきましょう。
 
⑤排泄リズムをつけていこう
 尿や便が溜まっていると、外に出したいのに出せないため、本人は無自覚のうちに体が反応して動き回っている可能性があります。便がでやすいように、十分な水分補給や水溶性食物繊維、マグネシウムやビタミンCをとって、排泄リズムをつけていきましょう。
 
 このように、じっとすることが苦手な子どもには色々な要因があり、姿勢の情報を脳が感じとれるように多くの感覚刺激のある遊びをしたり、体に必要な栄養バランスや、睡眠・排便の質を見直してみることをお勧めします。

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