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井の中の蛙

これまで前職についてあえて書かなかったけれど、元々いたのはエンターテインメント業界。ゆるっとした業界の会社の中で、契約や権利を扱うお堅めの仕事をしていた。

まだまだ学ぶことは沢山あったし、仕事をする中で新しい経験がなかった訳ではない。それでも、どうしても自分の中でルーティーン化してしまっている感覚がぬぐい切れず、エンターテインメントという「好きなもの」を仕事にして変わらず仕事に愛情はあったけれど、物足りなさを感じていた。

「新しいことに触れて、新しい世界が見たい」
という思いが自分の中にあることに改めて気づいたのは、某社の筆記試験を受けた時だった。
極めて実務的な試験だったけれど、元の会社では扱ったことのないテーマを見て、時間が足りなくて焦っているのに、面白い、もっとじっくりちゃんと読みたいのに、と残念に思った。

これまでの仕事は、良く言えば専門性の高い、悪く言えば潰しのききづらい仕事だった。狭い範囲を深掘りして知識や経験を深めていくのは、専門職や職人に近いかもしれない。
あえて少しずれた業界や職種を選んで受けている中、分かっているつもりだったけれど、自分の仕事がいかに限定されたものかを痛感した。
面接官と話をする中で、他の業界から見ると、元いた業界はそう見えるのか、と目から鱗だったことも。
まさに「井の中の蛙大海を知らず」。
今思うと、自分でも不思議なくらい、仕事を辞めるまで、元いた会社という極めて狭いものが、自分の世界のほとんどを占め、基準になっていた。

もうしばらく続くであろう転職活動の中、きっとこれまで知らず知らずのうちに凝り固まっていた色んなものを壊してくれる発見があるに違いない。
そう思うと、転職活動はつらいことも多いけれど、なんだか楽しみな気もしてくる。

この世の中には色々な会社や仕事があり、色々な人がいて、色んな想いを抱えながら仕事をしている。
そんな当たり前のことを「発見」してまた少しずつ自分の世界の視野を取り戻しつつある今、最終的に転職活動を終えた時、
「大変だったけどやって良かった」
「今後の人生のために必要な経験だった」
と思えるような気がしている。

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