「化粧品・健康食品業界のためのダイレクトマーケティング成功と失敗の法則」を読んでみた

ダイレクトマーケティング本

【書籍】
著書:化粧品・健康食品業界のためのダイレクトマーケティング成功と失敗の法則
著者:山口尚大

■はじめに

時代が変化すると、それに合わせて多くのことが変わっていきます。
紙やテレビなどのオフラインメディアからインターネット中心へ、今では誰もがスマートフォンを使って情報を取得できる時代になりました。様々な技術やプラットフォームが登場するにつれ、それに合わせて手法やノウハウは変化していきます。
しかし、顧客への向き合い方や考え方など「どのようにしたらモノが売れるのか」ということの本質は、マーケティングが生まれた150年前からずっと変わっていません。なぜなら、マーケティングの対象である人間自体が変わらないからです。

本書は、私がこれまで多くのクライアント企業と実践してきた業界特化型のダイレクトマーケティングの施策をもとに、その「本質となる考え方」をひもといた書籍です。それに加え、通販に必要な幅広い知識を国内外の最新情報をふまえて体系的にまとめています。

■セールスとマーケティングの違いを理解する

マーケティングの重要な目的に「セールスを不要にすること」というものがあります。基本的に、顧客はセールスを嫌います。
商品をセールスするのはあくまで最終段階、その前にお客さんに欲しいと思わせることが大事なのです。
セールスの前にすべきことが下記20の項目です。

1、歴史:創業からの年数、商品開発からの年数、研究開発にかけた年数など
2、ストーリー:開発秘話、印象的なエピソード
3、信頼感:親会社やサポートされている会社の実績、認定工場の利用
4、統計データ:これまで使用した顧客数、販売数、満足(リピート)しているユーザー数
5、お客様の声:モニターで利用したユーザーの声、アンケ―トによるユーザーボイス、SNSでの掲載例
6、専門家の推薦:美容家、美容師、医者 ※薬機法に注意
7、有名人の推薦:ターゲットに広く知られている有名人のキャスティング
8、動画やアニメーションによる説明:お肌への作用を説明 ※薬機法に注意
9、ビフォーアフター:メイク商品の場合はスキンケアイメージで使える
10、第三者評価:○○でNO1、受賞歴など
11、PR・パブリシティ:雑誌掲載、TV掲載、新聞掲載
12、インフルエンサー・モニター:アンバサダー(推薦よりもPRに近い)
13、比較:ほかのものと比較
14、保証:全額返金保証
15、優良な顧客サービス:24時間対応、相談窓口の解説、翌日配送、当日発送、支払い方法が充実
16、問い合わせ窓口の充実:フォーム、電話、FAX、はがき、チャート
17、魅力的なオファー:プレゼント、大幅な割引、送料無料
18、個人を前面に出す:開発者、社長のストーリー
19、欠点を伝える:○○な方には物足りない、おすすめできない
20、FAQ:よくある質問で質問や反論に答えを用意する

■トライアルセットの販売はうまくいかない?(2ステップマーケティングの罠)

試供品やサンプルなど、トライアルセットを販売し、商品の良さを実感して本品を買ってもらう。
以前までは、この2ステップマーケティングをほとんどの企業が実践していました。もちろん、この手法は今までも推奨されることが多いマーケティング手法です。
しかし、最近ではトライアルセットを用いた2ステップマーケティングが機能しなくなってきています。
それには広告費の高騰、トライアルセットの製造コスト、消費やの考え方の変化など様々な原因が考えられます。
一番大きな原因は、新規顧客を獲得するコストがここ数年で高騰しているという点です。
昔は1200円のトライアルセットを販売するためには、5000円ほどの広告費がかけられていました。しかし、最近では広告媒体により15000円程度まで広告費が高騰しています。試供品やサンプルを安価に提供しても本商品の購入に至らず、獲得コストを吸収できるほどの利益が出せなくなっているのです。

現在、トライアルセットを用いた2ステップマーケティングを積極的に取り入れているのは、オルビスやサントリーなど資本力のある大手の企業がほとんとです。大手企業は資本力だけでなく、試供品やサンプルの販売後の顧客の囲い込みが完全に出来上がっています。
購入者にすぐダイレクトメールを飛ばしたり、コールセンターから電話をかけたりなど、マーケティングの仕組みがしっかりと整理されているからこそこのやり方で利益を残すことができているのです。
資本力の低い中小企業であっても、このようなアフターフォローも含めた仕組みづくりができていれば、トライアルセットを採り入れる余地はあると思いますが、大手企業と同じレベルで環境を整えられる企業は多くないです。
なので、最近ではトライアルセットからの2ステップマーケティングの代わりに、月額の定期購入商品を販売する中小メーカーが増えています。
今後も業界内での広告費の高騰は収まる可能性は低いため、広告コストを考えたビジネスモデルに転換していくことが重要です。

■広告効果を左右する3つの要素

ターゲット>オファー>クリエイティブ
広告の反応に与える影響は、この順序で大きくなります。

一番に重視するべきはターゲット。そして、次がオファーです。
オファーというのは、商品の価格をはじめとする消費者への条件の提案のことです。
この条件提示が弱いと、たとえターゲットに広告が届いたとしても購入には至りません。
コピーやクリエイティブなどの変更はすぐにできるので、そこを変えて反応を検証したいという意図もよく分かりますが、広告効果を左右するのはターゲット→オファー←クリエイティブという順序であり、クリエイティブより先に見直すべき要素があることを理解しておくことが重要です。

■まとめ

健康食品、化粧品通販の案件を担当していますが、なかなか先方の掲げている目標CPAまでさげることができていません。またアフィリエイトの市場も年々単価があがり、報酬単価がどこまでだせるかという価格競争になってしまっており、中小企業は手がだせない状況になってしまっています。
今、通販業界で成功している企業はどのようなマーケティングを行っているのか学ぶ必要があると感じ本書を選定しました。

本書を読んだ中での一番の気づきは、2ステップマーケティングは資本力があり環境が整っているからこそ成り立つ方法だということです。
アフィリで売れてる商品の情報を手に入れた際に、同じオファー、似たLPにすればうまくいくんじゃないかと考えてしまっていましたが、そんな単純な話ではなく、数が取れたとしてもそのあとの引き上げが伴っていなければ会社の利益を上げることはできなく、むしろ大きな赤字となりますま。
上手く行ってる案件を横展開するだけではダメで、その会社の課題に合わせた提案が必要だと改めて感じました。
また、広告文やクリエイティブ、LPや記事でCVR改善を図ろうと考えがちでしたが、その前にオファーの部分を考える必要があると本書を読んで感じました。
オファーを変えるとなると時間も手間もかかるので、提案しにくい部分では正直ありますが、広告文・クリエイティブのテストを何カ月も続けて結局売れないという方がクライアントにとっても損失が大きいと思います。
またオファーといっても価格の変更だけではなく、特典をつける、決済方法を追加するなど提案できることは多くあると思うので、今後は運用部分だけでなく、オファー部分も含めて改善に入り、その商品の価値自体を高めていけるような提案をしていこうと思います。

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