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後ニケーア古代教父・資料

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2017年12月の記事一覧

『ナザレ人福音書』 断片

より。英語訳からの重訳。

正典に収められず失われた福音書型文書がいくつか存在する。その一つに、紀元2世紀から4世紀までの頃、主にシリア・パレスチナやエジプトの、ユダヤ人を多く含むキリスト教セクトにおいて重視されていた福音書(Jewish-Christian Gospel(s))があり、教会教父らの著作に断片的な引用が残っている。教父たちは明確な分類をしていないが、現代はこのユダヤ人の福音書を以下

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『ヘブライ人福音書』断片

:::::以下訳文:::::

ヘブライ人の福音書のうちにはこう書かれている。
「キリストが地に臨んで人々のところに来たいと望んだ時、善き父は天における力強い権能を呼び出した。それはミカエルと呼ばれた。そして[父は]その保護のもとにキリストを託した。そしてその権能は世界のうちに来て、マリアと呼ばれた。そしてキリストは彼女の胎内に七ヶ月あった。」
(エルサレムのキュリロス Discourse on

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『エビオン派福音書』断片

より。英語訳からの重訳。

紀元2世紀から4世紀ころまで教父たちが言及しているパレスチナの派閥であるエビオン派は、独自の福音書を持っていたと言われ、サラミスのエピファニオスによって数節の引用が残されている。

エビオン派は菜食主義であったため、洗礼者ヨハネがいなごを食べていたという記述を改変したとされる。

また、処女懐胎を否定するため、該当箇所が無く、洗礼者ヨハネの活動から始まっている。

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『教会史』第2巻 第16章 マルコがエジプトの住民たちへ最初にキリスト教を宣言した次第について

http://www.newadvent.org/fathers/250102.htm

第16章 マルコがエジプトの住民たちへ最初にキリスト教を宣言した次第について

そしてこのマルコが最初にエジプトに遣わされた者だと言われており、彼が自分が書いた福音[書]を宣言し、最初にアレクサンドリアの諸教会を確立した[と言われている]。

2節
そしてそこにまさに始まりから集められ、極めて哲学的で極度の修

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『教会史』第2巻 第15章 マルコによる福音書について

http://www.newadvent.org/fathers/250102.htm

第15章 マルコによる福音書について

1節
それで神の言葉が[ローマ人たち]の間にその根を下ろした頃、シモン[・マゴス]の力は抑止され、その男自身と一緒に直ちに破壊された。ペテロの聴衆たちの心を敬虔の輝きが大いに照らしたので、彼らは一度聞くだけで満足せず、書かれざる神の福音の教えにも充足せず、全ての種の哀願

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『教会史』第2巻 第14章 使徒ペテロのローマにおける宣教について

http://www.newadvent.org/fathers/250102.htm

第14章 使徒ペテロのローマにおける宣教について

1節
全ての善なることを憎み、人々の救済に対抗して企てる悪の力は、その時代にあってそのような邪悪の父祖としてまた創始者としてシモンを任命し、あたかも、我らの救助者の、偉大な霊感された使徒たちの力強い敵対者に彼を成したかのようであった。

2節
というのも

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『教会史』第2巻 第13章 シモン・マゴスについて

http://www.newadvent.org/fathers/250102.htm

第13章 シモン・マゴスについて

1節
しかし我らの救助者であり主であるイエス・キリストにある信仰は全ての人々の間に拡散していったので、人の救済の敵は自身のために帝都を襲うための企てを考案した。彼はそこに上述のシモンを導き、その欺きに満ちた諸々の芸において彼を助け、ローマの多くの住民たちを堕落へと導き、その

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『教会史』第2巻 第12章 オスロエネの女王ヘレンについて

http://www.newadvent.org/fathers/250102.htm

第12章 オスロエネの女王ヘレンについて

1節
「この時代に、ユダヤで大いなる飢饉が起こるということがあった。そこで女王ヘレンは、エジプトから大きな総量の穀物を購入し、それを困窮したものたちに分配した。」

2節
この言明も使徒たちの行伝と合致していることがわかるだろう。そこではアンティオケアの弟子たち

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『教会史』第2巻 第11章 詐欺師テウダとその追随者たちについて

http://www.newadvent.org/fathers/250102.htm

第11章 詐欺師テウダとその追随者たちについて

1節
ルカは、使徒行伝において、使徒たちに関して持たれた協議で、ガマリエルが以下のように言っていることを紹介している。つまり、参照されているその時代に、テウダが自身を何者か[すごい者]であるかのように豪語して立ったが、虐殺され、彼に従っていた多くの者たち全てが

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『教会史』第2巻 第10章 ヘロデと呼ばれるアグリッパが使徒たちを迫害し、直ちに神の報復を味わった次第について(エウセビオス)

http://www.newadvent.org/fathers/250102.htm

第10章 ヘロデと呼ばれるアグリッパが、使徒たちを迫害し、直ちに神の報復を味わった次第について

1節
その王の、使徒たちに対抗する措置についての諸々の結末は、先延ばしにされることがなかった。神の正義についての復讐する公使が、彼の[使徒たち]への諸々の企ての後、直ちに彼を襲った。それは[使徒]行伝書の記録

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