『教会史』第2巻 第10章 ヘロデと呼ばれるアグリッパが使徒たちを迫害し、直ちに神の報復を味わった次第について(エウセビオス)

http://www.newadvent.org/fathers/250102.htm


第10章 ヘロデと呼ばれるアグリッパが、使徒たちを迫害し、直ちに神の報復を味わった次第について


1節
その王の、使徒たちに対抗する措置についての諸々の結末は、先延ばしにされることがなかった。神の正義についての復讐する公使が、彼の[使徒たち]への諸々の企ての後、直ちに彼を襲った。それは[使徒]行伝書の記録する通りである。というのも、彼がカイサリアへの旅行をした際、著名な祝祭日に、荘厳な王室の衣服で身を包み、彼は法廷の前の高い座から人々へと式辞を届けた。そして全ての群衆がその演説を、あたかもそれが人のものでなく、神の声であるかのように賞賛した。聖書は主の使いが彼を撃ち、蛆虫たちに食べられながら彼は息を引き取ったと語っている。[使徒 12:23]

2節
我々はヨセフスの報告を、それがこの驚嘆すべき出来事に関して神の聖書群と合致しているゆえに、称賛しなければならない。というのも彼はその『古代誌』の第十九書においてその真実に対して明白に証言しているのである。そこで彼は以下の諸々の言葉でその驚異を語っている。

3節
…彼はその全ユダヤに渡る統治の第三年、カイサリアに来た際に、ストラトンの塔とかつて呼ばれたものを完成させた。そこで彼はカエサルに敬意を表する諸々の試合を開催した。これがカエサルの安全のために遵守される祭りであったことを学んだのである。この祭りには、その地域で最高の、最も栄誉ある人々が大勢集められた。

4節
そして諸々の試合の第二日に、彼は日中の休みに劇場へと向かった。全体が銀とすばらしい織物から成る衣装を着ていた。そしてそこですぐさま太陽の光線の反射によって照らされたその銀は驚嘆するばかりに輝き、ある種の畏怖を彼を見つめた者たちに起こさせるほどに明るく光った。

5節
そして直ちに彼のおべっか使いたちがある所からある者たちが、別の[所]から別の者たちが、彼の身のためにならないやり方で彼らの声を上げた。つまり、彼を神と呼んで、言った。「慈悲深くあってください。この時に至るまで私たちがあなたを人として畏れてきたとしても、これから私たちはあなたが死すべき者たちの性質より優れた者であると告白します。

6節
王は彼らを叱責せず、彼らの不敬虔なお世辞を拒むこともなかった。しかし少し後に、見上げると、彼は自分の頭上に座っている御使いを見た。そしてすぐに彼は、かつては幸運を引き起こすものであったその[即位前に予兆として見たような光景]が、[今回は]悪を引き起こすものとなることに気づいた。そして彼は心臓を貫く痛みに撃たれた。

7節
そしてすぐに、苦痛が、極めて大きな暴力から始まって、彼の諸々の腸を襲った。彼は自分の友人たちを見上げて言った。「あなたがたの神である私は、今この生から発つことを命じられている。それゆえこの点における運命があなたがたがまさに私に関して発言した嘘の諸々の言葉を反証している。あなたがたによって不死と呼ばれてきた者は今、死へと導き去られている。しかし私たちの宿命は神がそれを決めたものとして受け入れられなければならない。というのも私たちは決して不名誉な生を過ごしたのではなく、幸福と呼ばれるあの輝きのうちで過ごしたのである。

8節
そして彼がこれを言った際、痛みの増大に苦労した。それに伴って彼は王宮に急いで運ばれたが、一方で王は疑いなくすぐに死ぬだろうという報告が全ての者に広まった。しかし群衆は、自分たちの父祖たちの慣習に従って麻布に座り、王のために神に懇願し、あらゆる場所が悲嘆と涙で満たされた。そして王は、高い部屋で横たわり、地面に伏している彼らを見て、自分自身、泣き止むことができなかった。

9節
そして五日間、諸々の腸の痛みを絶え間無く受苦した後で、彼はこの生を発った。それは彼の齢の第五十四年であり、彼の統治の第七年であった。彼は四年間、ガイウス帝の下で統治したが、そのうちの三[年]はフィリポの四分統治に渡るものであり、それにヘロデの[四分統治]が四年目に加えられたものである。そして[彼は]三年間を皇帝クラウディウス帝の統治の間に[統治した]。

10節
私はヨセフスが、他の諸々のことと同様、これらの諸々のことにおいて神の聖書群とこれほど十全に合致していることに大いに驚嘆する。もしその王の名前に関して不一致があるように見えるとしても、その時と諸々の出来事は同じ人物のことを意味していることを示している。名前の変更は写字者の誤りであるか、彼が多くの者たちと同様に二つの名を持っていたことのためかのどちらかである。

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