『教会史』第2巻 第14章 使徒ペテロのローマにおける宣教について

http://www.newadvent.org/fathers/250102.htm


第14章 使徒ペテロのローマにおける宣教について


1節
全ての善なることを憎み、人々の救済に対抗して企てる悪の力は、その時代にあってそのような邪悪の父祖としてまた創始者としてシモンを任命し、あたかも、我らの救助者の、偉大な霊感された使徒たちの力強い敵対者に彼を成したかのようであった。

2節
というのも神の、また天の、恩寵は、その奉仕者たちと共に働いており、彼らのの出現と登場に際して、燃え立った悪の炎をすぐに消し去り、神の知識に対抗して自らを高めた高ぶったものを、彼らを通して低め、投げ落とした。[第2コリント 10:5]

3節
そこでシモンの謀略も、その期間に興った他の者たちのどんな[謀略]もその使徒的な諸時代において何事も成し遂げ得なかった。というのも、真理の諸々の輝きによって、また神の言葉自体によって、あらゆることが征服され、鎮圧されたのである。その[言葉]は最近になって人々に対して天から輝き始めたものであり、それから地に繁栄し、使徒たち自身のうちに住まわっていた。

4節
直ちに上述の詐欺師は自分の心の両目において、神の奇跡的な光によって打ち負かされ、彼によって為された悪しき諸々の行いがユダヤにおいて使徒ペテロに検知された後で、彼は逃亡し、東から西へと海を渡った大きな旅をした。彼が自分の心に従って生きるためにはそうするしかないと考えたのである。

5節
そしてローマの都市へと来ると、そこで待ち伏せしていたあの力が強く共に働くことによって彼は短い時間、彼の事業に成功し、そこに住む者たちが像の建設によって彼に神として名誉を帰するほどであった。

6節
しかしこれは長くは続かなかった。というのも直ちに、クラウディウスの統治の間に、全てのことを見通す全的に善なる慈悲深い摂理によって、ペテロがローマへと、この生についての大いなる堕落者に対するべく、導かれたのである。[ペテロ]は使徒たちのうちで最強で最大なる者であり、彼の徳のために全ての他の者たちのための代弁者であった。神の高貴な指揮官のように神の武具に覆われて、彼は東から西に住まわる者たちへと、理解の光の高価な品を運び、光それ自体と、諸々の魂に救済をもたらす言葉を宣言し、天の王国を宣教した。

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