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鬱病虐待サバイバーが自家焙煎コーヒーショップを開業するまで①


私は東京で小さな自家焙煎のカフェを経営している。余裕がある生活とは言えないが、街に根差し、私の焼いたコーヒーを美味しいと通ってくださる温かいお客様に囲まれながらもうすぐ31歳の誕生日を迎えようとしている。

正直自分が30年も生きるなんて思っても見なかった。今までの30年の人生は、ほとんどをうつ病と共に生き、数えきれないくらい自殺を試みた。

ドアノブ、スチールラック、窓枠、ベットフレーム、カウンターテーブルのフレーム。とにかく至る所に延長コードや麻紐をくくり付けてきた。
結局のところ私はそれをやり遂げることなく今こうして生きているわけだが、その順調とは言えない人生の荒波の中で私自身は大きく解体され、そして再構築された。

結果だけ見ると遠回りをして同じ場所に戻ってきたように見えるのだけれども、私はそのプロセスを辿ることで大きく内面性を深めたと思っている。他人から見れば無駄とも思える遠回りをすることで、自分と世界とをかなり肯定的に捉えるられるようになったのだ。

パートナーに勧められて自分の半生を綴ることにしたのだけれど、私はこの記事を通して同じ境遇の人を勇気づけたいなんて高尚なことは言わない。ただ、私が踏み躙られ、傷つきながらも逆境に立ち向かい、トラウマを乗り越え、鬱を飼い慣らし生きたことを何処かに書き残したくなっただけなのだ。

それが誰かの目に留まり、何か心に残すことができれば少しは救われるような気がする。
そんなこんなで私の波瀾万丈な半生についてのエッセイにお付き合いいただければ嬉しいです。

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