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偉いな、私のからだ〜日々の葛藤にマケズ〜

夏を迎えるこの時期、息子の体調はいつもとても不安定だ。
暑さに慣れていない中で汗がうまくかけないから、毎年ぐったり。

今年はさらにてんかんによるしんどさが加わっているのか、すこぶる消耗が激しい様子。
イライラして、物に当たる、私に当たる。
それに加えて、ここに来て次なる新たなこだわり。

”水分を日中全く摂らない”

まだ食事は少しずつでも取れていることが救いだけれど、朝も昼もお茶もジュースも飲まず、ゼリーすらも食べない。
暑さが本格的になってきて、軽い発作を起こしたり、熱が急に上がったり。仕事をしていてもいつ呼び出されるかわからないというヒヤヒヤの中、私は毎日気が気じゃない。

そんな中、以前から予約を入れていた自分の胃カメラの日を迎えた。
正直、キャンセルしようかなと思っていた。
毎日忙しすぎるし、今は自分のからだどころではないかも...。

でも、やっぱり行くことにした。
このところ胸焼けがすることが多いし、だるいし疲れやすい。
なんだかんだ、私がしゃんとしてないと、支えることもできなくなってしまう。
生まれて初めての胃カメラ、やっぱり受けよう!
気合を入れて気持ちを切り替えた。

胃カメラは経鼻で行われた。
鼻の通りをよくするお薬、それから経鼻での麻酔。

「自分の身体の中、見るの初めてでしょう。
しっかり目を開けて見ててくださいね。」


先生が優しく言って、看護師さんが背中をさすっていてくれた。

最初鼻をカメラが通るときは緊張した。
ひぃー、どうなっていくの?という気持ち。
でもそこから。

「はーい、じゃあごっくんって一回唾を飲むよー。
ごっくん」

先生の掛け声に合わせてごっくん、と私。

「入ったねー、見えますか。
これが身体の中ですよ」

目の前のカメラ一面に、控えめなピンクの、つやつやした粘膜が映し出された。

「なんか宇宙みたいでしょう」

看護師さんが後ろからそう囁いた。

よく宇宙へ行った人が地球を見て
”なんて碧くて美しいんだ!”
って言うけれど、きっと看護師さんはそういうことを言いたかったんだと思う。

宇宙から地球を見た人は、自分の生きる惑星の美しさに見惚れるだろうし、その時の私はといえば、自分の持つ、あまりに美しい小宇宙に見惚れていた。

先生は慎重に食道、胃、十二指腸、胆嚢に続く道のりをチェックしていく。

「あ、ポリープがありますね」

え!?と目を見開いた私に先生は笑ってこう続けた。

「大丈夫。これは良性の、ピロリ菌のいない健康な胃にできる...いわば、ハッピーポリーブです」

ハッピーポリーブ!

「ここにもありますね...ここにも」

先生がおめでとうと言わんばかりに、嬉しそうにポリープを見つける。
ポリープはまるでキノコみたいに、いくつも優しく佇んでいる感じだった。
ちょっと泣きそうになった。

こんな過酷な毎日。
息子を追いかけて、泣いて、早食いしたりむちゃ食いしたり。
カフェインも甘いものも揚げ物も、ストレスを解消するみたいに食べたり飲んだり。
そんな日々を私と一緒に過ごしながら、そんな過激な食べ物を流し込まれながら、この胃袋はずっとこうして元気でいてくれた。
”ありがとう”
心の底からそう思った。


「はーい、おしまいです」

カメラがゆっくり鼻から抜かれて、終了した。
やっぱり来てよかった。
私はずっと背中をさすっていてくれた看護師さんにお礼を言って検査室を後にした。

あれから1週間。
ジャンキーなものを食べたくなったら、あの美しい小宇宙を思い描くようにしている。

”大事にしていくからね”

時々そう、自分に声をかける。

息子も大事。
でも自分も大事。
どんな時も私を支えてくれるからだに感謝して、歩んでいこうと思う。
ちなみに胸焼けはごく軽い逆流性食道炎とのこと。
疲れて食べた後ついうたた寝てしまうから、これからはうんと早く晩ごはんを終わらせようと思う。

まだまだ先は長い。
今の息子の不調もきっと、息子の健気なからだが一生懸命支えているんだろうな。
しっかりサポートしてあげようと思う。

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今年の息子の誕生日は、息子の大好物のブルーベリーの苗をプレゼント。
これからどんどん実るかな。

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