『願い事』

どんなことでもひとつだけ、願い事が叶うなら

みなさんは何をお願いしますか？

「お金持ちになりたい」

なるほど

「めちゃめちゃモテたい」

ほう

「世界から戦争や差別、いじめがなくなりますように」

えらいね

「ランボルギーニ・ムルシエラゴが欲しい」

言いたかっただけ

私の場合はこうです

「どんな無茶な願い事も自分が叶えようと思えば実現する能力がほしい」

さてここからが問題でして

上述のようなオールマイティなお願いは大変無謀なんですね

お金持ちになりたいも、めちゃめちゃモテたいも同じなんですが

要件定義されてないんで

すごく危ないんですよ

お金持ちになりたいと言っていきなり目の前に札束が沸いてきて

それがホンモノだと言い切れますか？

それがクリーンなモノだと言い切れますか？

下手すりゃ捕まりますよあなた

もてるようになったからと言って

自分のストライクゾーンじゃなきゃ意味ないでしょう

ランボルギーニが貰えてもイタリアからの空輸代や関税などの諸経費

それと普通の駐車場だと狭すぎるから借りないといけないし

メンテナンスできるエンジニアも限られている

カネと手間がかかってどうしようもない

そもそも乗りこなせるかって話もある

色はどうすんの

現実離れした例を出していますが

これって割と日常でもあって

ビジネスでも家庭でも

「休みがほしい」

「一生休んでろ」

こうなっちゃいますからね、気を付けないと

じゃあ私の思う

「どんな無茶な願い事も自分が叶えようと思えば実現する能力がほしい」

これを定義していきますか

神様（←急）「お前の願い事ひとつだけ、なんでも叶えてやろう」

私「書面で提出してもいいですか」

神「えっ、いいけど」

私「ありがとうございます」

ー 数分後 ー

私「できました」

神「いったん読み上げてみなさい」

私「『私は、どんな無茶な願い事(※1)も自分が叶えようと思えば(※2)実現(※3)する能力(※4)がほしいです』」

神「すげーこと書いてあるけどその一文だけ？じゃその紙もらうよ」

私「どうぞ、お読みください。でもね神様、米印ありますでしょ、それが大事なんすよ」

神「そうなの？」

私「そうなんです。まず※1ですがね。これはもう、この地球上の、いや宇宙の万物に対して適用されることになります。例えば、あくまで例えばですが、太陽系一周してみたいとかそういう今の科学技術をもってしても難しいような技術も含みます」

神「あっそお」

私「※2に移りますけど、この思えばっていうのは言葉のあやですからね。例えばあいつし.ねって思っただけでし.なれちゃ困るんすわ」

神「だよね」

私「そう。ですから私が独自に作成した別紙の願い事依頼書に必要事項を記載し神様に手渡しあるいはＷＥＢフォームから申し込むこととさせてもらってます」

神「便利じゃんミスらないで済むねこっちも」

私「でしょー？納期についてもちゃんと書くし、今日いきなりやれとかは極力言わないようにしますね」

神「助かるわ」

私「あと※3ですが、これはやさしさでして」

神「うん」

私「あんまり人に迷惑をかけてはいけないし、自分も悪者になりたくないんで。さっき言ったように、あいつし.ねって思った場合でも、うまくやりたいんすわ」

神「どうやって」

私「これも例えばですがね、憎い奴が偶然田んぼの真ん中歩かざるを得ない状況になるんすよ。その時に、あ、だめだ田んぼの持ち主の人に申し訳ないからそれはだめで、えっと、国有林の中に迷い込むわけですよ。そしてそのとき単独で落雷に遭ってしまう、とかね」

神「まあ国有林なら迷惑じゃないね、いや、税金使うぞ」

私「あそっか、だからまあそこをちゃんと定義するわけで。で、※4だけど、実現に手間をかけたくないわけ。さっきのとおり私は申込みだけすればあとは神様が適当にやってくれるってのを所望するの。カネも払いたくないし、捕まったりもしたくないんすよ」

神「欲張るなあ」

私「ひっひっひ、すいませんね。じゃ整理しますよ、ね」

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『私は、どんな無茶な願い事(※1)も自分が叶えようと思えば(※2)実現(※3)する能力(※4)がほしいです』　

※1 影響の及ぶ範囲についてはこれを無限とし、人間が認知できるレベルの最大限を指す。現在の科学技術等での実現可否はこれを問わない

※2 実現に際しては、その希望納期とともに所定の書式、方法を以って神様へ提出すること。また神様はその申請を却下することはこれを認めない

※3 実現の方法については、申請者が悪人となるような、かつ第三者が直接的、間接的に巻き込まれるような手段を採用しないこととし、周辺環境に配慮すること

※4 申請者は申請後、何らの身体的、精神的、金銭的、社会的責任その他負担を強いられることはないよう神様は配慮し、これを遵守する

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神「めんどくせえよ」

私「いったん弁護士に見せたほうがいいかなあ、ねえ弁護士」

神「やめよう、やめ」

私「えぇーそれは困る。認められるまで帰らないから」

神「じゃあこっちも弁護士つけるわ法廷で会うか」

私「ぎゃふん！」

神「ざまぁ」

私「『幸せになりたい』これでいいです。紙にも書かないんで」

神「考えとくわ」

私「たのんます」