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地域はつづくよ、どこまでも(島根県邑南町羽須美)

廃線か存続か。いま、ローカル鉄道が走る多くの地域が激しく揺れています。この問題をややこしくしているのは「利用しないけれど鉄道は残したい」という住民がかなり多いことです。

住民の郷愁だけでは鉄道を残せません。しかし、鉄道がなくても郷愁を残した取り組みはいくつか存在します。

その一つが島根県邑南町にあるNPO法人江の川鐡道の活動です。

広島県三次市(みよし)の三次駅から島根県江津市(ごうつ)の江津駅までの35駅を結んでいたJR三江線。

日本一の赤字路線となり5年前に廃線となりましたが、現在はNPO法人江の川鐡道が観光トロッコを週末に走らせています。(線路や駅はJRが邑南町に無償譲渡し、NPOが指定管理者となっています)

ポイントは島根、広島から集まる鉄ちゃん(鉄道ファン)と地元住民が協力してNPOを運営していることです。

手ぬぐいなどグッズ販売の利益で購入したトロッコ

地域外からやってくる鉄道ファンたちはトロッコの運転手や車掌、駅長、きっぷ売り、さらには枕木交換などの線路整備まで嬉々として行います。もちろんボランティアです。

江の川鐡道の活動は関係人口の優良モデルとして全国的に注目され、昨年、総務省のふるさとづくり大賞を受賞されました。詳しくは以下の動画をご覧ください。

【おまけ話】
NPOのあるメンバーの話です。
その方はふだん広島市のコンビニで働いています。夜勤です。土曜の早朝に仕事が終わると家で眠ることなく電車とバスで移動。3時間かけてトロッコの発着地である島根県邑南町の旧口羽(くちば)駅にやってきます。

午前10時から夕方まで運行に関わり、地元NPOのメンバー宅に泊まる。翌日の日曜も午前10時から夕方まで運行を手伝い、3時間かけて広島に帰ります。そして休む間もなく夜勤に入ります。

このようなハードな遠征を多い時は月に3回こなします。理由はNPOのメンバーの負担を減らすためです。もはや鉄道と関わりたいを超えています。

ふるさととは自分が生まれ育った場所だけではなく、自分が強く思いを寄せる人たちがいる場所も指すのではないかと思います。

NPO江の川鐡道の皆さんと(右端が著者)

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