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NPOタクシーの先駆者(三重県熊野市五郷)

15年前から、総務省の「ふるさとづくり大賞」の受賞者数百人を動画取材をしていますが、特に印象に残っている方がいます。三重県熊野市の峪口(さこぐち)祥治さんです。

2018年10月に取材をしたのですが、一ヶ月後に急逝されました。享年69歳でした。奥様から訃報のご連絡をいただいた時には言葉を失いました。峪口さんは氏子役員をされていた神社の駐車場で、早朝倒れていたそうです。

峪口さんは「NPO法人のってこらい」の初代理事長でした。三重県で初めてNPOタクシー、公共交通空白地有償運送(*)に取り組まれました。

(*)交通空白地有償運送・・・バスやタクシーなどの公共交通機関によっては住民に対する移動手段が確保できないと認められる場合において、NPO法人などの非営利団体が営利目的とは認められない範囲の運送の対価によって、自家用自動車を使用して運送する運行形態。2種免許を必要としないのがポイント。旧称は過疎地有償運送。

「のってこらい」は平成29年度にふるさとづくり大賞の団体表彰を受賞されましたが、理事長の峪口さんがほぼ一人で運転手をされていました。

その苦難と成功までの道のりは以下の動画で紹介しています。ご覧いただければ幸いです。

動画のタイトルの「一隅を照らす(*)」は最澄の有名な言葉から取りました。実は峪口さんが最も好きな言葉で、のってこらいの設立趣意書の巻頭に書かれたほどです。

(*)「一隅を照らす、これ即ち国宝なり」・・・自分自身が置かれた場所で精一杯努力し、光り輝くことができる人こそ、国の宝であり、一人一人が自分の持ち場で輝くことができれば、国全体が明るく照らされていく…という意味がある

「のってこらい」は現在も活動を継続しています。(峪口さんが後継者を見つけていたことは特筆に値すると思います)

取材の合間、峪口さんと二人でカップラーメンを啜ったことが今でも忘れられません。峪口さんの思いがいつまでも地域に引き継がれることを心から願っています。

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