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【映画】女神の継承を観ました

信仰を試すな

タイ発ホラー映画『女神の継承』を観ました。
インターネットサバト(※有志によるインターネット上での同時上映会)でコクソンを見ており、コクソンは平気だったので、これも観れるかな、と思い 何より土着信仰は『怖い』一方で『興味深かった』ので観ました。

結論から言いますと、映画としての完成度がすごく高かったです。
めちゃくちゃ怖かったし、見るのも辛いシーンが続くけど、怖いというのはホラーとして正解なので、多分傑作ホラーだと思います。
ストーリーも、軸は土着信仰と悪霊と言った霊的なものですが、ひとつひとつ検証して解決に導こうとする様子はミステリー・サスペンスとしても面白く、怖いながらもこの先どうなるんだろう、と物語を追わせる力がありました。
なので、怖かったけど観て後悔はしていないです。
観終わった後めちゃくちゃぐったりしたし、ジャンプスケアでジャンプしたり、目を覆ったり、終わった後同居人の手を握ったり、夕飯に用意してた肉を食べる気になれず素麺にしたりしましたが、後悔してないです。本当に。


※ここからネタバレ感想となります。
 まだ本作を見ていない方はブラウザバックを推奨します。
 また、本記事は鑑賞直後に書いたふせったーの内容を
 加筆修正したものになります。
 予めご了承ください。


女神の継承、してねええええええぇぇぇ!!!!!!
事前情報などから、てっきりニムの一族が受け継いでいる『女神・バヤン』が何らかの理由で、或いは元々何か良くない精霊だった、という話だと想像しながら挑んだのですが、実際は
罪業が深過ぎる一族が関わってきたことによる破綻』
なのは罠すぎる。
まさかの外部。これには土地神のバヤンも困惑したでしょう。
自身を信仰する土地の民に恩恵を与えることはできても、外からやってきた罪業の深すぎる一族と彼らに憎悪を向ける悪霊の集合体が来て、更にご神体と聖域を荒らされ壊されたら太刀打ちできない、というのがなかなか理にかなっているような気がします。
外部の未知のもの、大体の土地のものに強い。
バヤンが良き神だったかは微妙なラインですが(次代の巫女の兆候がえぐすぎる)

ミンが『女神の器たる家系出身故に霊的なモノを受け入れる素養がある、かつ、女神を拒んだ前歴がある女の娘』というのがしんどい。
親世代の業を知らないうちに引き継いでしまった完全な被害者……
しかもその『前歴のある女』たる母は、キリスト教に入信しつつ、法的にも(おそらく宗教的にも禁止されている)犬肉販売店をやっている、という捻じれ。本当にキリスト教を信じていたのかも微妙なラインに見えてくる、悪い意味で現実主義者だったように思いました。(バヤンもキリストも信じていない、という)

器の話に戻りますが、ミンに突然生理が来たシーンについて
もう生理というより多量出血だよ!?というぐらいの出血量で(実際夜用ナプキンが血でべとべとになるくらい出血しているのは、病院案件)、あんなに大量に血が出たら死んじゃうよ!?!?って思ったんですが、
それでもミンが一応生きていたのは、上記バヤンの継承方法を含め、大量出血しても耐えられる血筋だったんだな、適性があるんだな、という妙な納得感がありました。

それはそれとして仕事中にトイレに駆け込まなければならないほど多量出血と体調不良が発生してる時点で、職場は休職させるとか対応をした方が良いと思ったんですが、しなかったですね(クビになったのはあくまで職場で淫行をしていたことが原因)
その辺りの制度とかやっぱり日本と違うのかな……

話をメインに戻すと、ドキュメンタリー形式なのもあり、途中まで完全に『うおおおニムさんを応援するしかない! 頑張れニムさん!』
って、怖いよりも応援の気持ちが勝ってました。
起きてる現象は怖いし、変な人はいっぱい出てくるけど、ニムさんという経験者が居ることで安心感を得られてたし、彼女がどう解決するのか、というのも本作の見どころのひとつだったと思います。
視聴者的にも、取材班が撮影し編集した体の映像を見ている形式だったので、何があっても多分解決する!という根拠のない前提を持った状態で視聴していたかと思います。
まあ、結局取材班も含め全員死んだんですけど
(じゃあこのビデオ誰が編集して誰が見れる状態にしたんだよ)
ニムさんが途中で亡くなったのは意外でしたが、私としては彼女は悪霊にやられたというより、
悪霊に吹き込まれた『姉が女神を拒む為に何でもやっていた』という話と、信仰の依り代であるバヤン像や周辺を破壊されてたことで、これまで信じてきたものが揺らいでしまって心が折れちゃった結果、ストレスの過負荷に耐えられなかった、というように見えました。
最後のインタビューでバヤンの存在を疑ったことを吐露していたけれど、今まで実際に除霊等は出来ていたわけだし、実力があったのは事実だろうと思うとよりやるせない。
信仰を試すな
この辺り、コクソンで若きキリスト教徒を惑わせた國村隼を思わせる描写で、やっぱ同じ人が原作だな~という印象。
悪霊の行動や仕草も、「お前は誰だ」という問いかけに対して嘲る、「放尿する」「無節操な淫行に及ぶ」など、どちらかと言うと「悪魔」と呼ばれるものと「悪魔祓い」に近い印象を受けたのもあり、根底にはやっぱりキリスト教があるのかな、などと。
タイの宗教・悪霊パターンに全く明るくないのでわからないですが!!

個人的に本作で一番かわいそうだと思ったのが、ニムさん・ノイさんの兄であるマニおじさん。
妹二人は仲が悪いし、姪はどんどんおかしくなって押し倒して襲ってくるし。
更に妻と息子と愛犬をヤられてるのが本当につらい。
お調子者でちょっとエロじじいな側面はあっても、ちゃんと家族を大事に想っていて、ニムの能力のこともきちんと信じている(同じ土地の出身だからバヤンを信じていて当然、ではあるんですが、一方で血を分けた妹が祈祷師として実力を持っていることも理解し、信頼している描写が随所に感じられたのが良かったな、と)
隠し撮りを許可してない!というのも、家族のプライバシーを守るためだっただろうし、隠し撮り映像で姪がかなりおかしくて危険な行動を取っていて、「こんなヤツと一緒に暮らせない!」と言っていた割に、まだ家に留まっていたり、口ではそう言いつつ見捨てられない情を感じました。
他では感動要素だけど、この作品ってホラーなのよね(頬杖)
でもやっぱり悪霊が息子に手を出した時点で妻と子供を遠ざけた方がより良かったな!!
遠ざける手段とか無かったのかもしれん(ホテル代が無いとかそういう)
でもやっぱ霊が関わってる時点で何が起きてもおかしくないから遠ざけておくべきだった。
少なくともパンさんとポンくんを悪霊を閉じ込めた部屋の傍に置いておくべきじゃなかった。結果論だとしてもそう思わざるをえませんでした。
ホラーってこの手の「身内のフリをする何者か」に騙されてお祓いとか失敗しますよね。
教訓にしましょう。

その他
息子のポンくんが最初に連れ出された時点で「無残な姿で発見されそう」「赤子の遺体は嫌だな」と思ったけど、無事だったのが意外でした
でもより最悪な形で無事じゃなかったね!!! 遺体を映さないのがせめてもの救いだな……
犬は 最初に「犬は無事じゃない」と聞いていたのである程度覚悟していったのですが、やっぱり堪えますね……カルトでは大丈夫だったんだけどな(※あちらはモザイク&クリーチャー化してたのが大きい)
フィクション内で子供や動物が犠牲になっても抗議したりはしないんですけど、気分が悪くなるのはまた別の問題なんだぜ……

総合的にやっぱり面白い!ってなるんですが、もう一回観たいかというと首を振る映画でした。
次に観るならサバトかけられたときかな

……とか思ってたら公式がスピンオフの予告を出してました。
は?????
しかも中央に居るのはどう見ても今回悪霊に取り憑かれてしまったミンちゃんなんですけど???
何??? 何するの???

というわけで続報を楽しみにしています……
えーん

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