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ミュージシャンがクラウドファンディングをやって感じたこと 175%達成できた理由

もう1年半も前のことになりますが、僕が所属しているバンドshannonsはフルアルバムの制作を掲げクラウドファンディングを実施し、175%のハイ達成を記録しました。

まずは記事の内容に入る前に、投資していただいた皆様、そして応援いただいた皆様、本当に心からありがとうございます。

かけがえのない経験をすることができました。
皆様のおかげで、今の僕たちがあります。

ミュージシャンがクラウドファンディングを行うことに対して、賛否はあると思います。
しかしながら、僕は実施して本当によかったと感じています。

今更ではありますが、なぜ成功できたのか、何を得られたのかを時を経て振り返りたいと思います。

クラウドファンディングをやりたいと考えている方、とりわけ芸術の分野で考えている方の参考になればと存じます。

ミュージシャンをはじめとした芸術活動をされている方に、クラウドファンディングをお勧めする理由

クラウドファンディングの挑戦を悩んでる方は、やってみることをお勧めします。
なぜかというと、クラファンの経験を通して、お金以上に得たものが大きすぎたからです。

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こちらは支援いただいた方からのコメント。
僕たちは総勢74名の方から支援をいただきました。
つまり、74名の方からコメントを頂いたのですが、
それはどれも僕たちを励ましてくれるような内容でした。

支援をいただいているのに、お金を出していただいているのに、
応援してもらえる。

この時、音楽との付き合い方が変わったと思います。
こうやって聴いてくれて、応援してくれる人たちのために、
活動しているんだなって。

どうしても僕たちのような売れないミュージシャンは、
”どうやって自分たちが売れるか”
という、自分目線で考えがちです。
でも、こうやって人からの応援に直接触れることで、
「誰かのために頑張る」
ことで人は力を出せるし、最高のものが作れるんだと知ることができました。

仕事をするとは、人の役に立つというのと同義だと知りました。
クラウドファンディング期間はかなりハードになりますが、
こう言った応援してくれる方からのコメントに直接触れる機会は人生を変えるほどの影響があります。
それだけで、やってよかったなと思いますし価値があると思っています。

クラウドファンディングが成功した理由

音楽や芸術系のクラウドファンディングが難しいのは、支援の結果作られるものが
”実用的なもの”ではないからだと思います。

商品化プロジェクトや新規事業のクラウドファンディングだと、
”この商品によってあなたの生活は豊かになりますよ”
とプレゼンすることで、投資を得やすくなります。

芸術系のクラファンは実用性ではなく、共感し、応援したいと思ってもらえることが支援につながるので、ある意味定量的なプレゼンがしづらいです。

そんな中、shannonsのプロジェクトが達成できた要因を考え直すと、以下の挙げられると思います。

理由①キュレーターの方のアドバイス
理由②共感できるストーリー
理由③各々のキャリア
理由④徹底した連絡
理由⑤確実にいいものを作っていくこと

理由①キュレーターの方のアドバイス

概ねクラウドファンディングのプラットフォームには、アドバイザーがつくプランとつかないプランがあると思います。

僕たちが使ったプラットフォームは"Readyfor"というサイトです。
Readyforの場合、アドバイザーのサポートがつかないシンプルプランの場合手数料が12%、サポートがつく場合は17%と5%の手数料の差がついています。

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特に初めてクラファンをされる場合は、サポートのあるプランをお勧めします。
クラウドファンディングの進め方だけではなく、
どのようなテキストが人に刺さるのか、どんなリターンを用意するといいのか、
本当に細かいところまでサポートしていただき、助かりました。

正直初めてのクラウドファンディングはわからないことだらけです。
5%の手数料分の価値は十分あると思っています。

理由②共感できるストーリー

なぜクラウドファンディングを行っているのか。
どういった気持ちでプロジェクトに挑んでいるのか。
それが、真摯なストーリーであれば、共感を得ることができると思います。

前述の通り、芸術系のクラファンは”実用的かどうか”より、”共感を得られるか”が大事です。

間違えてはいけないのは、
「人から共感してもらえそうなエピソードを考える」
のではなく、
「素直に、真摯に、なぜプロジェクトを実施しようと思ったのかを伝える」
ことが大事だなと思います。
作られた共感エピソードは、気づかれてしまうと思うんですよね。

そういった意味だと、我々shannonsは、ボーカルの大濱くんの経験が大きかったんだと思います。

彼がメジャーシーンで苦節してきたこと。
10年来の仲間と別れ、一人上京してきたこと。
そうして始まったshannonsで、音楽を追求していること。

僕自身も、彼のエピソードに共感し、shannonsという船に乗りました。
同じように彼のエピソードが、多くの方の共感につながったのだと思います。

そんな大それた話は持ってないよという方も、多分大丈夫です。
クラウドファンディングをやってまで実現したいと思うものがある時点で、
きっと共感できるエピソードが、あるはずです。
素直な気持ちでそれを言葉にすればいいのだと思います。

理由③各々のキャリア

だんだんとフィジカルな話になってきました。

これまで各メンバーが歩いてきたキャリアが、僕たちを成功させてくれたなと感じます。

僕個人のお話をすると、shannonsに加入する前に退社した、新卒として入社した会社の同期が、たくさん支援をしてくれました。
音楽とは全然異なる分野での経験でしたが、その会社は挑戦し続ける人が多く、多くの同期が僕の新しい試みを応援してくれました。
(パーソルキャリアという素晴らしい会社です。転職の際は是非DODAで。)

ただそれは、(非常に手前味噌ですが)僕自身が”社会人としての自分”も必死に頑張っていたからだと思います。
同期はその意味で共に頑張る戦友でした。
そして悩みに悩んだ末に仕事をやめ、音楽の世界に帰っていったからこそ、
同時の仲間は今の僕の取り組みに、共感してくれたのだと思います。

これは僕だけではありません。
ボーカルの大濱くんのメジャーシーンでの活動もそうです。
ギターの心晴さんやベースの詩織さんの活動も同じです。
これまでのキャリアを見てくれていた人たちが、
支援をしてくれました。

目の前のことに全力で取り組み経験(キャリア)を積むこと。
それが信頼につながり、支援いただけたのだと思っています。

理由④徹底した連絡

さらに泥臭い話になります。

クラウドファンディングは、素晴らしいページを用意して華々しいプレゼンができれば支援が集まってくるわけではありません。

知り合いに協力をお願いすることも、非常に大事になります。
クラウドファンディングは概ね、
直接の知り合いからの支援:間接的な知り合いからの支援:全く知らない人からの支援=1:1:1
と言う法則があると言われています。


なので、徹底的に連絡をし、支援いただけるよう頭を下げる必要があります。
僕の場合は、前述の会社の同期、音楽仲間、親戚、幼なじみ。。。
いろんな人に直接連絡を入れました。

この時のコツを伝授しましょう。。。
それは、
”定型文を使用しない"
と言うことです。

どうしてもたくさんの人に連絡を送るとなると、
宛名だけ変えて同じ内容で送りたくなります。

しかし”支援をお願いする”=”お金を頂戴する”
のに、定型文で送るのは、効果云々よりそもそも失礼ですよね。

送る方に対して、その方の近況を労い、しっかりと敬意を説明して、
支援のお願いをする。

その上で返信がなくても当然くらいの気持ちで!

理由⑤確実にいいものを作っていくこと

あえていうまでもないことかもしれませんが、
作っているものがちゃんと高いクオリティで制作していることが全ての前提です。

理由①〜④は、誠実に物づくりに向き合っているからこそ、成立するものです。
繰り返しになりますが、案外人は嘘を見抜けると思っていて、
真摯にものづくりをしているかどうかって見分けられてしまうと思います。

当たり前のことですが改めて。そして、自戒の意味も込めて。

それでも、クラウドファンディングは数打てない

クラウドファンディングをやってみた感想、そして成功した理由の分析を書いてみました。

一つ、芸術家向けのクラファンのデメリットをお伝えすると、
クラファンは繰り返し継続して行うことが難しいということです。

事業家であれば、事業を立ち上げる度にクラウドファンディングを実施することも可能でしょうが、
ミュージシャンがアルバムを作るごとにクラファンをやっていると、いいかげん飽きられるでしょう。

ここは僕たちの反省点でもあり、
「クラウドファンディングでアルバムを作った後の活動戦略」
が明確ではなかったため、その後の動きが鈍ってしまう場面もありました。

ある意味劇薬のようなところもありますので、
クラファンの実施と、その後のことも見越して計画できれば、
間違いなく素晴らしい経験になると思います。


いかがだったでしょうか。
みていただいた方の参考になれば幸いです!
それではまた!





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