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言葉について【コロナの頃】

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言葉について書いたことはこちらに。
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劇場が生活に波及してきた。

劇場が生活に波及してきた。

5月6日、ゴールデンウィーク最終日に、「12人の優しい日本人 を読む会」のライブ配信を観ました。楽しみで楽しみで、幕が開く前からログインして待っていました。

12人の優しい日本人 を読む会(前編)​

12人の優しい日本人 を読む会(後編)

(2020年5月末までアーカイブが残るそうなので、間に合えばぜひ。)

幕開きからカーテンコールまで、擬似ではあるけれど、劇場にいるみたいに感じました。

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変わらなければ

変わらなければ

全世界で累計2800万部、日本だけでも400万部を突破した超ベストセラー『チーズはどこへ消えた?』(スペンサー・ジョンソン)。

20年前の書籍ですが、色あせないどころか、コロナ禍で急激に社会が変わりつつある今、ヒントが満載の本だと思います。私も気持ちを新たにしたいと思って本棚から引っ張り出してきました。

『チーズはどこへ消えた?』は、迷路で起きた出来事をめぐる物語。物語に登場する二匹のネズミ「

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振り分けられないところ。

振り分けられないところ。

元・東大助手共闘会議、現・和光大学名誉教授の最首悟さんという方がいらっしゃいます。ダウン症の星子さんのお父さんでもあります。

最首さんの講演をもとに編まれた『半生の思想』というブックレット。

「はんなまのしそう」と読みます。

「小学校が九年かかった。だから、諸君のような予備校生になったのは、もう二十歳を過ぎていました。駿台です。」と観客に語りかけているのと、発行所が河合文化教育研究所発行なの

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退職金が出ない人

退職金が出ない人

2019年12月発行の『退職金がでない人の老後のお金の話』(横山光昭)という本を買っていました。

タイトルが、私の不安にドンピシャ過ぎるので。

以前、情報誌の編集部にいたとき横山さんには何度かお話をうかがいに行ったことがあり、お人柄と姿勢には信頼を置いていることもあって、出版されてすぐ入手しました。

章立ては3つ。1章_退職金が出ない人、2章_年金が少ない人、3章_貯金がない人、です。それぞ

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大勢に影響ない。

大勢に影響ない。

うちの子たちは保育園育ちです。そこで、ママ友もできました。

私自身はしがないフリーライターですが、きちんと毎日同じ場所へお勤めする看護師さんや、公務員、大企業に勤めるママたちとも、ここで知り合いました。

あまり仲良くはならなかったママがよく言っていました。たぶん、大きな仕事をされていた方なんだと思います。ちょっとした失敗は、これで乗り切ってこられたのでしょう。

自分が失敗したり凹んだりしたと

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「新しい人」の方へ

「新しい人」の方へ

ノーベル文学賞を受賞した作家・大江健三郎さんのエッセイに『「新しい人」の方へ』(朝日新聞社)があります。

書店や図書館がお休みなので、書棚の本を読み返しています。この単行本は2003年発行ですが、今は新しい項が加えられて文庫になっているようです。

コロナ蟄居になってウェブサービスをたくさん利用していると、急速に時代が変わっていくことを感じます。デジタルの面だけでなく、環境の面でも、「温室ガス減

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人には追い風が必要だ。

人には追い風が必要だ。

『わたしは、ダニエル・ブレイク』という映画があります。

監督はケン・ローチ。第69回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した映画なので、ごらんになった方も多いかと思います。

公式サイトはこちら https://longride.jp/danielblake/

公式サイトのストーリーには「イギリス北東部ニューカッスルで大工として働く59歳のダニエル・ブレイクは、心臓の病を患い医者から仕事を

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ありがとう。

ありがとう。

5月2日は忌野清志郎さんの命日なので、世界中で清志郎さんの話がされるだろうなと思います。

甲本ヒロトさんの弔辞の話も。

「なるべく笑うよ。そんでね、ありがとうを言いに来ました。清志郎、ありがとう。」(甲本ヒロト)

コミュニティの問題で重要なのは。

コミュニティの問題で重要なのは。

平野啓一郎さんの『私とは何か 「個人」から「分人」へ』を読み返しました。

いま、本当に時間があるので、自宅にある本の積読を読み進めたり、過去に読んだ本の再読をしたりしています。

出版元の講談社のホームページに行くと、この本の内容説明は「嫌いな自分を肯定するには? 自分らしさはどう生まれるのか? 他者との距離をいかに取るか? 恋愛・職場・家族……人間関係に悩むすべての人へ。小説と格闘する中で生ま

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そこに「自分」はあるか。

そこに「自分」はあるか。

大正生まれの思想家に鶴見俊輔という人がいます。

官僚で政治家だった後藤新平を祖父、政治家の鶴見祐輔を父に持ち、15歳で渡米。日本にアメリカのプラグマティズムという考え方を紹介し、「ベトナムに平和を!市民連合」(ベ平連)の発足メンバーでもありました。24歳で創刊した雑誌に『思想の科学』があります。

自身がフリーランス、奥様が大学で働いていた時期は「主夫」の立場でもあったため、肩書に「主夫」「主夫

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ぼくがきみに手紙を出した。

ぼくがきみに手紙を出した。

小学校の国語の教科書に採用されたことで、ある世代以下の子どもたちに広く知られた『おてがみ』(アーノルド・ローベル)は、『ふたりはともだち』に収載されています。

「だれも ぼくに おてがみなんか くれた ことが ないんだ。」と悲しくつぶやく、がまがえるくん。

いつも一緒に過ごす親友・かえるくんに、一度ももらったことがない手紙を待つ時間の悲しみを訴えます。

今日も来るはずがない、やっぱり来なかっ

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言葉を友人に持とう。

言葉を友人に持とう。

ロングセラーの文庫は、ときどきカバーが変わります。

『ポケットに名言を』(寺山修司/角川文庫)も、そう。

現在(2020年)のカバーは、ピンクとグレーのすっきりとした縦じまカバーですが、私が持っている版は江原利子さんのイラストカバーです。

林静一さんのイラストだったときもあるし、着物姿の女優さんの写真だったときもあります。

どれもすてき。気分によってカバーだけ付け替えて読みたいと思えるくら

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風たちぬ

風たちぬ

新緑が目にまぶしい、ツバメが飛び交う季節になりました。

ただ、今年はどこにも出かけられそうにないですね。

このゴールデンウィークは、各地方の方がご近所の画像をアップしてくださるインターネット上の写真を見て、季節を感じることにしましょう。

今日は東福寺の新緑を拝見し、京都の風を想像していました。

新緑の間を心地よい風が抜けていくこの季節になると、堀辰雄の『風立ちぬ』を思い出します。正確には、

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誰かの言葉で生きている。

誰かの言葉で生きている。

「おお、これは!」と思った言葉を、やたらあちこちに書き溜める習慣があります。

書き溜めているノートや、端々に書き散らかしている過去のスケジュール帳を開いて眺めてみました。これも時間だけがある今だからできること。

「喋るように書くと必ず伝わる」(上阪徹『超スピード文章術』)のように、過去の自分が出典まで書いておいてくれるといいのですが、だいたいは言葉だけ。

「年をとるとメンタルとフィジカルが合

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