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リーダーってなんだろう? 「学習する学校を描く」からもらったヒント。

最近、女性リーダーについて考える機会がありました。
その際、ふと「その職種において求められるリーダーシップとはなんだろう?」というそもそもの問いが浮かびました。

日頃からSNS上で表示されるイベントの告知や記事を見かけるたびに「なぜ登壇者に男性ばかりが選ばれているのだろうか?」と、その構造の裏にどんな「アタリマエ」や「アンコンシャス・バイアス(無自覚の思い込み)」があるのだろうと、興味と残念な想いが交差しており、日本社会におけるジェンダーギャップについて個人的に関心を持っていました。

そうして漠然と見ていたときには思い浮かばなかったのですが、職種を具体的に限定しリーダー育成について考えるテーブルについて初めて、たくさんのリーダー手前の「その人」を思い浮かべ、「その人にとってのリーダーシップとはそもそもどういったあり方なのだろうか。」と疑問が湧き上がりました。

きっと「リーダーというポジション」は、目的ではなく結果でしかないはず。

そして、その職種で求められる適切なリーダーシップがあり、さらに言えば、これまでの男性優位な風土に適合した形ではなく、ジェンダーに限らずあらゆる個々の状況に適した活躍ができる組織文化や環境のもとで発揮される必要があるのではないだろうか。

ただ単に「目標に向かって人々を牽引する人」というステレオタイプな意味として捉えるのはしっくりこない。

「リーダーとはいったいなんだろう?」

あらためて「わからない」ことに気付き、数日ぼんやりと考え続けていました。

そんな休日の昼下がり、飛び込んだあるオンラインイベントで、思いがけず「あぁ、そうかぁ!」とリーダーについて心から腑に落ちたことばをいただきました。

それは、いつもお世話になっている京都芸術大学教授の本間正人先生と、娘やその友人を中心とした大学生たちがお世話になったシステム思考教育家の福谷 彰鴻さんがイベントでご一緒されるというとても嬉しい教育フォーラムでのことでした。

https://peatix.com/event/3116042


ここで福谷さんからリーダーについて、

リーダー(Lead) の語源はLeithで、「境界線を超えて踏み出す」という意味があります。
リーダーとはポジションのことではなく、未来のことを考え、不確かな中で自分自身を危険に晒しながらも、勇気をもってリスクを選び、前に一歩進んでいく実践者のことです。
「私からはじめていく」人です。

というお話がありました。
その一言一句が心に響いて、「私が探していたリーダーの意味はまさしくこれだ。」と霧が晴れる思いでした。

そういえば、「これからの『社会の変え方』を探しにいこう。」(英治出版)という書籍の第二章「システムリーダーシップの夜明け」に書いてあったじゃないか、と気づきイベント後に読み返してみました。

「なんだか前回読んだときとは全く違う文章として入ってくる。」
文字を記号として追っていただけでは自分の中にいかに実感として入らないものかを痛感しました。

同じく、本日のイベントの中で「時代の変化とともに教育も変わる必要がある」という説明を、イベント主催の「未来の先生フォーラム」実行委員長の宮田純也(みやた なおや)さんがとてもわかりやすく説明してくださっているのを伺いながら、先生方はじめ子どもたちに関わる全ての大人が、頭で納得するだけではなく「時代の変化をまず実感すること」が大切なのだろうなぁと考えてもいたのでした。

そのためにも失敗を恐れず実践する「試行錯誤」が必要だと思ってしまいますが、本間先生から「失敗ということばより、未成功と呼ぼうよ。」「「Try & Error」よりも「Try & Learn」と言うと素敵でしょ。」と提言がありました。


かえつ有明中・高等学校教員の田中理紗先生が愛情豊かに見守る中、中学2年生の生徒さんと卒業生で大学4年生の方がサイエンス科の授業実践の様子のプレゼンや想いを語ってくれました。

前述の書籍の同じ章の中には

「とにかくやってみる ---- すべての学びはやってみるから生まれ、実践は本質的に成長につながる」

という記述がありました。
また、こうも書いてありました。

最高のリーダーは、人々に「自分たちの力でやった」と言わせる。

これからの「社会の変え方」を、探しに行こう。


まさに、彼らにこのハレの場での挑戦を提案し、信頼して任せ、愛情をもって見守り、そして彼らは誠実に準備をし臨み、緊張を乗り越えイキイキと自分の言葉で発言しやり遂げました。

そこに流れる温かい雰囲気が、これまで丁寧に積み重ねてきた双方向の「Try & Learn」を物語っていました。




そして冒頭の宮田さんの講演にあった新しい教育の説明を参考に、本間先生がまとめ、

これまでの社会(工業社会)は教育においても競争社会で、マテリアルな物質主義とも言える。これはゼロサムゲーム(一方が得すれば他方はその分だけ損をし、利害の総和がゼロになる関係)だった。
けれど知恵はシェアリングができ、誰かに分けると減るどころかどんどん広がり増えていく。その方が素敵だよね。
老朽化した社会システムに対して、今まさにソフトウェアの立て直しが必要なんだ。

19世紀からの "機械の時代" の「近代学校教育」を、21世紀の "人の時代" においてはどう言い表すとよさそうかな?と問いかけました。

それに対し、福谷さんは

社会の一端を担っている私たちが、学校や人生を通じてよりよい社会を残していけるような「社会を創り出す学び」なのかな、と思います。

とこたえ、


つぎに本間先生が参加者の私にも、
ラーニングエコシステムというアイディアが、井上真祈子さんと話していて浮かんだんだよね。」と声をかけてくださいました。

これを受けて福谷さんが「エコシステム」に関して、
「システム」という語彙は、その語源から「共に立つ」(Interdependence)という意味もある、と教えてくれました。

そして、

学ぶことがカルチャーになると、生きることが楽しくなる。

と、祈るように大切に言葉を紡いでいました。


「生命をどう輝かせていくのか」

本間先生のこの言葉で、二時間半にも及ぶ
【未来の先生フォーラム】学習する学校を描く―多様な目標や価値観が創り出される“発散型”の学校教育を創る
は終了しました。

心に残る金言やいただいたたくさんの学びに、本日も心から感謝です。
関係者の皆様、ありがとうございました。








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