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16/100 山田詠美著「放課後の音符」/いつか自分のものにする

先週はなかなかハードだった。特に朝6時半から11時まで、2日に渡ってUSメンバー交えての英語でのワークショップ、これに肉体的にも精神的にも疲弊した。相手の言っていることを不完全にしか理解できない、そして思ったことをうまく言葉にできない、そんな歯痒さを久々に味わう。

最後にこの気持ちになったのはいつのことだろう、と思い返すと実は数年前。所属しているオンラインサロン、コルクラボで、確かそんな時があった。それは、言っていることが分からない、とは少し違うのだけれど、その場の雰囲気に気後れし、うまく言葉を紡げず、ただ愛想笑いをしていることが、何だかとても滑稽で悲しかった。

ただほどなくして、私は何だか吹っ切れて、その気持ちをバネに、夢中で発言するようになった。
恥をかいてもいい、と開き直れた人間は強く、その余韻を抱えて、私はずいぶんと生きやすくなった。

いま先週を振り返ると、英語がうまく扱えず悔しい気持ちは残れど、英語を勉強しよう、そう私を奮い立たせる出来事になっている。

何度となく繰り返し読んでいる山田詠美の「放課後の音符」の中に、失恋した相手の新しい恋人を当初恨んでいたのだけれど、その女性の魅力に圧倒され、それで自分磨きに邁進しようと立ち直る女の子の話がある。

「私、自分のことを待ってる。赤い口紅が似合うようになったら、サエキくんをものにしてみせる。とても素敵な心で彼を自分のものにする」
山田詠美著「放課後の音符」

そう、歯がゆさをエネルギーにすることができたら、怖いものなど何もない。小説の子と自分がシンクロする、そんな心持ち。


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