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【本】『翻訳の授業 東京大学最終講義』
大学院の教育学研究科に属していた私は、「絵本の原作と翻訳を比較することを通してものの見方を育む英語教育の実践」を研究していた。
そのなかで出会った本がこちら。
山本史郎 (2020) 『翻訳の授業』.朝日新書
この本は、ほんっとうに面白かった。翻訳に興味のある方にも、または文学に興味のある方にも、ぜひともお勧めしたい一冊である。
はじめに
はじめに、からもう気になる言葉だらけなのである。
翻訳には必ず原作と翻訳が存在するのだが、その「起点テクスト」(つまり原作)を重視するべきか、「目標テクスト」(翻訳)を重視すべきかと思考することがもう翻訳論になっているとのことだ。
自分の判断の背後には何があるのかを考え、自分が無意識のうちに何を前提としていたのか、というところへ考えを深めるところから、本当の学問が始まります。
この自分の背後にあるもの、無意識に何を前提としているのか、を考えさせることが、私が研究デザインとして実践で使用している手法である。この文章に出会ったとき、「私の実践や研究を言語化する言葉に出会った」と雷に打たれたかのような衝撃を受けた。
筆者は続けて、
こうして同じ考えを共有するものたちがどんな無意識の前提をもっているか、炙り出していくのが翻訳研究であり、文化の研究です。
と語っている。わたしはこれを教育に生かしたいと考えているいち教員だ。
めくるめく上質。
本当に上質。
東京大学の最終講義の内容とのことだが、わたしは正直なところ、生まれて初めて「東大で授業を受けてみたい」と真剣に思ってしまった。それくらいのインパクトがある。
ディケンズから村上春樹まで、AIにはけっして真似できない、深い深い思索の冒険。
そう、知識ではなく、思考させることを筆者は実現している。
チャットGPT
最近話題のチャットGPTに尋ねたら、どんな答えが返ってくるのだろうか。これは、まだ試していなくて。もし試してみたら、追記します。
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