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【詩をひとつ。】 つきぬける

予約をいくら入れても

たくさんの無効が

かえってくる そんな

ショッピングモール


どの店をおとずれても

確証はない

うつくしい商品が並んでいるだけ

なんだな

手にとることはできる

それだけ

なんだな


照明が多すぎて

筋肉がなえてしまう

カードに指紋がついている

そのことも問題

らしい


きれいに視線をはずす

店員たちが身につけている

売りものの薄いドレス


かのじょたち皆しずかに

いらだっているような手つきで


私も 身にまとうなにかを

一枚だけ買いたい ささやかな気持ちで


こんなひどい場ちがいを

思い知るために きっと

来てしまったんだな

指紋をつけてしまって


お客さま このカードは当店では

とりあつかっておりません と

すずやかに言われて


見上げるとショッピングモールの高い天井は

すっかり抜けてしまって

この冬のつきぬけるような空が

まともに眼をたたく


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