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【詩をひとつ。】 祖父

大空を鳥がゆくのを見ると

僕も

鳥であればよかったと思う


ちいさな子どもが街の角を曲がるのを見ると

僕も

あの角であればよかったと思う


誰かがいっしんに本を読んで

ときおり涙をうかべているのを見ると

僕はこの身体が

文字であればよかったと思う


くちびるを閉じて

つよい心で道を歩く祖父のように


もうこの世にはなくても

しずかに思いをつたえている


あたたかい無名のものに

僕は

なりたいと思う


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