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夏のおわりのVesper

unfriendという言葉がある。否定語+friend、SNSの友達だったのを友達じゃなくすという意味だ。断ち切りたいほどに思う人ってもはやfriendでもないんではないか、という思いが脳裏をよぎる。しかしふたりの仲が今はどうであれ、関係性の最後にもう一度「friendということにする」というのも素敵なことなのかもしれない。friendだったこともあったのだ。初めてつながった日のどきどきや、笑いあった日々も確かにあった。お互いにずっとよき関係でいたいと思ってつながったはずだ。今となっては思わず苦笑してしまうほど、ありふれた幸せを想像しながら。もったりとした夏の夕方、かつてを振り返りながら空を見上げる。

暮れていく空には宵の明星があかあかと輝いていた。星占いでは、金星は愛と美を司る星である。きらめく日もあった。お話の続きが「いつまでも幸せにくらしました」でなかったとしても、「あった」ということに変わりはないのだ。

unにするのは一瞬なのに言葉遊びなんかに拘泥しているのは、終わりを引き延ばそうとしている証拠なのだろうか。ひと思いに切ってしまえるほど憎んででもいたのなら、簡単だったのにね。

さまざまな思い出がフラッシュバックするなかスマホを手に取る。いつもより重たく感じられるのは、きっと気のせい。視界がにじんでいるのも、スカートの膝にぱたぱたと温かいものが音を立てているのも、きっと気のせいなんだ。


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